絶対盟約の美少年従者(メイデンメイド)

あさみこと

文字の大きさ
29 / 46

#029 僕の純情はもう持たない♡

しおりを挟む
「――晴人さん、入ってよろしいですわよ」
 扉の向こうから聞こえてきた杏那さんの声に、僕の心臓は、まるで警鐘のように激しく脈打った。ごくり、と乾いた喉を鳴らし、僕は覚悟を決めて、その重厚なドアノブに手をかける。
 あの日、杏那さんが提案した悪魔の囁き――『ダブルご奉仕』が、ついに実行される日が来てしまったのだ。
 扉を開けると、そこは僕が今まで見たこともないような、豪奢な空間だった。柔らかな間接照明に照らされた、だだっ広い部屋。その中央には、天蓋付きの、巨大なキングサイズのベッドが鎮座している。ここは、学園の来賓をもてなすための、特別なスイートルームらしい。
 そして、そのベッドの上。僕の二人のご主人様が、その蠱惑的な姿で、僕を待ち構えていた。
「……あら、遅かったですわね、私のかわいいメイドさん」
「ふふ♡ 待ちくたびれちゃったわよ、ハルきゅん」
 ベッドのシーツに身を横たえ、僕を迎えたのは、美王先生と、杏那さん。その二人の姿を視界に入れた瞬間、僕の脳の処理能力は、完全に限界を超えた。
 二人とも、身にまとっているのは、布地の面積があまりにも心許ない、それぞれの下着だけ。
 杏那さんは、黒を基調とした、レースがふんだんにあしらわれた、気品と妖艶さが同居するランジェリー姿。普段の厳格な彼女からは想像もつかない、隠された女性としての魅力が、惜しげもなく晒されている。
 一方の美王先生は、白の、ほとんど透けているのではないかと錯覚するほど薄い生地の、シンプルなデザイン。だが、そのシンプルさ故に、彼女の規格外の豊満なボディラインが、一切のごまかしなく強調されていた。
 二つの、あまりにも刺激的すぎる肢体が、僕の瞳に焼き付く。もう、この時点で、僕の理性は風前の灯火だった。
「……ぼーっとしてないで、こちらへいらっしゃいな」
 杏那さんの、少し呆れたような声で、僕はハッと我に返る。そうだ、僕は、これからこの二人にご奉仕をしなければならないのだ。
 震える足でベッドサイドへと歩み寄ると、杏那さんが、僕に一つの小さなボトルを手渡した。中には、黄金色に輝く、とろりとした液体が入っている。マッサージオイル、というやつだろうか。
「さあ、始めなさいな。まずは、お姉様から。私はあなたの手つきが本物かどうか、じっくりと見させていただきますわ」
「……は、はい」
 僕は、言われるがまま、うつ伏せになった美王先生の背後に正座する。その、なだらかで、どこまでも広がる白い背中を前にして、僕はゴクリと唾を飲んだ。
「……あの、失礼します」
「だーめ♡」
 僕がオイルを手に取ろうとした瞬間、美王先生が、楽しげに僕を制した。
「メイドさんなら、ちゃんと、ご主人様を敬う言葉を使わないと。ねぇ、杏那?」
「ええ、その通りですわ。晴人さん、言い直しなさいな」
 二人の悪魔が、にんまりと笑う。僕は、屈辱に顔を歪めながらも、観念して、深々と頭を下げた。
「……杏那様、零音様。まことに、申し訳ございません」
 そして、僕は、これから始まる地獄の儀式の開始を、震える声で告げた。
「――それでは、少々、お戯れを」
 オイルを数滴、手のひらに垂らす。人肌で温められたそれは、甘く、そして官能的な香りを放った。僕は、意を決して、その手を、零音先生の滑らかな背中へと滑らせる。
「……ひゃんっ♡」
 僕の手が触れた瞬間、零那先生の口から、可愛らしい声が漏れた。その小さな反応だけで、僕の身体は過剰なまでに熱を帯びていく。
 オイルによって、彼女の肌は、ヌルリとした艶めかしい光沢を帯び始めた。照明の光を反射し、きらきらと輝くその様は、もはや芸術的ですらあった。
 僕は、無心になることを心がけ、ただただ、マッサージという業務に集中しようと努めた。肩から、腰へ。背中から、太ももへ。その曲線美をなぞるたびに、僕の心臓は悲鳴を上げる。
「あぁ~ん……♡ そこぉ~……♡ ハルくん、上手ぅ……♡」
 零音先生は、わざととしか思えない、吐息混じりの、甘く、エッチな声を上げる。その声が、僕の耳を、そして理性を、じわじわと蝕んでいく。
 下着越しとはいえ、当然、その豊満なヒップにも触れなければならない。僕は、できるだけ邪な気持ちを押し殺し、その柔らかな、しかし弾力のある丘を、丹念に揉みほぐしていく。そのたびに、零音先生の腰が、びくん、と艶めかしく跳ねた。
「――交代ですわ」
 僕が限界を迎えようとしていた、その時。救いの女神――あるいは、次の地獄への案内人か――の声が響いた。
「あら、もう?しょうがないわねぇ……じゃあ、あたしもこの目でハルくんのそれ、見させてもらうわ♡」
 汗だくの僕の前に、今度は、杏那さんの完璧な背中が晒される。
 美王先生とは対照的に、杏那さんは、静かだった。僕の手が、彼女の肌の上を滑っても、彼女はただ、目を閉じ、その感触を確かめるように、静かに呼吸を繰り返すだけ。
 だが、その沈黙が、逆に僕の緊張を極限まで高めていった。
 彼女の肢体は、美王先生とはまた違う、引き締まった、しなやかな美しさを持っていた。日々の鍛錬によって磨き上げられた、無駄のない筋肉のライン。だが、その下にある、女性ならではの柔らかな曲線。
 僕の手が、彼女の腰のくびれから、丸みを帯びたヒップへと移動した、その時。
「……あんっ……♡」
 それまで沈黙を守っていた彼女の唇から、か細く、そして、紛れもない、熱を帯びた声が漏れた。
「……そこ、ですわ……っ♡」
 静かに、だが、確かに聞こえた、いやらしい声。
 その一言が、僕の中に残っていた、けじめという名の最後の防波堤を、完全に決壊させた。
 ダメだ。もう、限界だ。
 僕のメイド服の下で、男としての本能が、完全に目を覚まし、その存在を、恥も外聞もなく主張し始めていた。スカートの生地が、窮屈に盛り上がっているのが、自分でも分かる。
「……ふぅ。ご苦労様でしたわ、晴人さん。とても、お上手でしたわよ」
 どれくらいの時間が経っただろうか。僕が意識を失いかける寸前、ようやく、杏那さんからの終了の合図が出された。
 僕は、ぜえぜえと肩で息をしながら、なんとか立ち上がる。
 もう、帰りたい。一刻も早く、この空間から逃げ出したい。
 だが、僕の試練は、まだ終わっていなかった。
 ベッドの上で、艶めかしく身体を起こした二人のご主人様が、まるで示し合わせたかのように、僕に、次の命令を下したのだ。
「さあ、私のメイドさん」
「今度は、あたしたちに」
 二つの、抗いがたい、甘い声が重なる。
「「――その手で、服を着せて頂戴」」
 目の前には、それぞれの制服が、丁寧に畳まれて置かれていた。
 これから、僕のこの手で、あの扇情的な下着姿の二人に、一枚一枚、服を着せていかなければならない。
 それは、先ほどのマッサージとは、また質の違う、新たな地獄の始まりを告げていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」

(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。 王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。 風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...