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#005 ゼロからの始まり
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コンビニを間近に控えて、琴吹さんが僕に話しかけてくる。
「見えてきましたね。必要なものを購入し、速やかに帰還しましょう……」
その時だった。背後から、粘つくような、知性の欠片も感じさせない声がかけられた。
「おい、待ちなそこのお二人さん」
振り向くと、そこには染色体の異常を疑うような、典型的な不良グループが複数立っていた。そのうちの一人が、琴吹さんの身体を頭から爪先まで品定めするように舐め回し、下卑た笑みを浮かべる。
「めちゃくちゃ良い体してんじゃねえか姉ちゃん。こんなガリガリ野郎なんかといねえで俺らと一緒に遊ぼうぜ?」
「やめてください!あなた方のような、建設的な対話が成立しないであろう方々とお付き合いするつもりはありません」
「彼女が拒絶しています。相互の合意なき交渉は不毛です。やめてください」
僕の論理的な制止は、彼らの原始的な脳には届かなかったらしい。リーダー格の男が、僕の胸倉を掴み上げた。
「ガリガリ野郎はすっこんでろぉ!」
「あぐっ……」
腹部に走る、慣性の法則に従った鈍い衝撃。僕の脆弱な身体は、いとも簡単に地面に叩きつけられた。
「物部くん!」
「ほら姉ちゃん。俺らと一緒に……」
「い、嫌……!」
その、混沌と暴力だけが支配する空間に、場違いなほど冷静で、しかし絶対的な圧力を持つ声が響いた。
「――待ちたまえ」
聞き覚えのある声。顔を上げると、そこに立っていたのは、一分の乱れもなく着こなされたダークスーツに白衣を羽織り、杖を携えた男性。言うまでもない、蟹江翔太教授だった。
「んだぁおっさん……正義の味方気取りかぁ?俺らみてぇな若者に勝てると思ってんならとんでもねぇバカだぜ、あんた」
その言葉を聞いた瞬間、教授の口元に、まるで美しい数式を見つけたかのような愉悦の笑みが浮かんだ。
「フフフ……フハハハハハハ!これは面白い。こんな知性のエントロピーが増大しきった輩どもが、この私を馬鹿と呼ぶとは。宇宙の神秘すら感じる喜劇だ!」
「んだとごらぁ!おっさんだろうが容赦しねぇぞ!」
輩の一人が、非効率なフォームで殴りかかる。教授はそれを……
「遅い、遅すぎる。君の拳が僕の顔面に到達するまで、あと0.3秒。その間に僕はコーヒーを一杯淹れることすら可能だ」
杖で、まるで赤子の手をひねるように軽々と受け流した。そして、
「ふっ!ふっ!はあっ!」
「ごはっ!?ぐはっ!?があっ!」
杖による、人体の急所を的確に突く連撃。輩の一人が、短い悲鳴と共に崩れ落ちる。
「なっ……!?この野郎ぉぉぉ!」
別の輩が、今度は警戒しながら殴りかかってくる。すると教授は、持っていた杖をこともなげに琴吹さんへと投げ渡し、こう言った。
「本当の打撃とはな、こうするのだよ!」
教授は、相手の拳を最小限の動きで受け止めると同時に、その体勢を崩さぬまま、目にも止まらぬ速度で相手の腹部に無数の拳を叩き込んでいく。
「ふぅぅぅぅぅぅぅあ!」
「がばごえぐげがぶらばあっ!?」
相手の口からは、もはや言語としての意味をなさない断末魔が漏れる。そして…
「ふぅん!」
最後に振りかぶられた、完璧な体重移動を伴った一撃が、輩の顔面を的確に捉えた。
「ぐあぼらばっ!?」
輩は吹き飛び、地面でわずかに痙攣している。
「さて……どうだね諸君。君たちの貧弱な前頭前野でも、この状況を正しく分析し、最適な行動を選択することは可能だと信じたいのだが」
「な……何だよこのおっさん……やべぇよ……」
「う、うわあああああ!撤退!撤退だあああ!」
輩たちは、残った仲間を抱え、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「ふう。全く、物理法則で教えるより、運動力学で教えた方が早い輩ばかりのこの世界には失望させられる。我々の研究を理解できる者だけで構成された、もっと美しい世界になればいいのだが」
「あ、あの……ありがとうございます。貴方は……」
「蟹江だ。そこで観測対象として無様に転がっている物部愛都の、指導教官でもある」
「あ、貴方が……」
琴吹さんが、畏怖と、そして明らかな困惑が入り混じった視線で蟹江教授を見つめていた。
コンビニで夜食を調達し、僕たちは蟹江教授をドックへと案内した。僕たちが夜食で胃を満たす一方で、アンファングのコンソールに表示されたログデータを見た教授は、満足げに頷いた。
「……なるほど。パイロットとして君たち二人の生体情報が、既にシステムのルート階層にインプットされてしまっている。これを外部から解除するのは、量子暗号化されたメインフレームをこじ開けるに等しい。不可能だな」
教授は、改めて琴吹さんに向き直った。
「……琴吹美生奈、だったかね。君の所属は?」
「あ、はい。合成生物学セクションで、生体高分子化学を」
「合成生物学というと……ああ、紫京院女史の学生か。彼女の、生命の理に正面から喧嘩を売るようなやり方には、いつも驚かされる」
「紫京院女史?」
「40代でありながら、自身の研究成果によって20代の肉体を維持し続ける美魔女教授として有名な方だよ。物部君も一度会ってみるといい。君の、異性に対する無関心という名の観測放棄も、少しは改善されるかもしれんぞ?」
「あり得ません」
「それほどに、彼女の存在そのものが一つの科学的奇跡だということだ。私も彼女の存在を目にした時、人類という種の可能性を信じたくなったものだよ」
「紫京院教授のことより!どうするんですか、この状況は!どう説明を……!」
「まあ落ち着きたまえ。君たちは、予測不能な事象に対し、取りうる最善の行動を取った。それだけだ。後のことは私に任せなさい。頭の固い上層部は、私が何とか言いくるめておく」
教授の言葉に、琴吹さんが僕に不安げな視線を向けてくる。
「だ……大丈夫なんですか、あんな人に任せて?」
「他に選択肢がないでしょう。紫京院教授は、話を聞く限りこの手のハードウェアの専門家ではない。僕らは僕らにできることをするだけです。つまり、明日も研究をする、と」
その翌日、アンファングの開発プロジェクトは上層部によって一時凍結され、僕と琴吹さんはそれぞれの研究室で待機を命じられた。蟹江教授は朝からどこかへ出かけている。
そして午後を過ぎた頃、研究室に戻ってきた教授は、まるで面白い実験結果でも出たかのように、ケラケラと笑いながらこう言った。
「朗報だよ、諸君。アンファングのプロジェクトは公式には『失敗』と見なされ、白紙に戻る。そして、今あるこの初号機は、全ての責任と共に、我々の手に委ねられることになった」
後日、僕と蟹江教授、琴吹さんと彼女の指導教官である紫京院教授にアンファングプロジェクトの最高責任者高坂、そして材料工学の篠宮教授が集まった。
ちなみに、初めて目にした紫京院教授は、確かに噂に違わぬ人物だった。40代とは思えぬ艶のある肌に、知性では説明のつかない豊満な体躯。なるほど、あれは生物学というより、もはや物理法則の歪みの一種かもしれない。だが、今はそれどころではなかった。
「……今回のことはすまなかった。我々もなるべくアンファングプロジェクトに残るよう声をかけたのだが、新たなプロジェクトを立ち上げた矢部教授と伊集院監査官の元へと次々に引き抜かれていってしまい、残ったのは良くて2割、といったところだ」
プロジェクト最高責任者の高坂が重々しく口を開く。
「そんな……そこまでいなくなってしまったんですか」
「で……その理由なのだが、よりによってパイロットがあの悪名高い物部くん、というのが災いしてね……」
「は?僕が悪名高い?どういう風にですか」
「その協調性の無さ、傲慢さ、運動神経の無さ...それらが合わさって、彼にパイロットなど無理だ、という者が続出してしまったのだよ」
「……しょうがないでしょう。あの時僕の判断がなければ、アンファング自体が今ここに存在しなかったんですから」
「どうするんですか!?私たちだけの手に負えるわけがありません!」
琴吹さんが、この中で唯一の常識人であるかのように叫んだ。
「彼らは、この失敗作を活かし、より安全でつまらない2号機を作るつもりらしい。だが問題はない」
蟹江教授が、事態を楽しんでいるかのように話を続けた。
「流石の堅物どもも、無責任にこの巨人を押し付けるほど非情ではない。全国、いや世界中から、アンファングの維持と研究を引き継ぐためのチームを公募するそうだ。それまでは、暫定的に彼らの部下が後処理をしてくれる」
「そうですか!?それはよかった……」
「いや、よくない」
蟹江教授は、眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせた。
「彼らだけに任せておけば、つまらないお役所仕事しかできん連中が送り込まれてくるだけだ。それでは、この宇宙からの『問いかけ』に答えることなどできん。だからこそ、こちらでも仲間を探すのだ。我々と波長の合う、常識の外側を歩ける、愉快な仲間たちをな」
狂気の物理学者と、生命を弄ぶ生物学者。
二人の常軌を逸した天才が、まるで世界の終わりを前にした子供のように、無邪気に笑っていた。
僕と琴吹さんは、これから始まるであろう、あまりに巨大で、あまりに危険な「研究」の渦中に、否応なく放り込まれたことを悟るしかなかった。
「見えてきましたね。必要なものを購入し、速やかに帰還しましょう……」
その時だった。背後から、粘つくような、知性の欠片も感じさせない声がかけられた。
「おい、待ちなそこのお二人さん」
振り向くと、そこには染色体の異常を疑うような、典型的な不良グループが複数立っていた。そのうちの一人が、琴吹さんの身体を頭から爪先まで品定めするように舐め回し、下卑た笑みを浮かべる。
「めちゃくちゃ良い体してんじゃねえか姉ちゃん。こんなガリガリ野郎なんかといねえで俺らと一緒に遊ぼうぜ?」
「やめてください!あなた方のような、建設的な対話が成立しないであろう方々とお付き合いするつもりはありません」
「彼女が拒絶しています。相互の合意なき交渉は不毛です。やめてください」
僕の論理的な制止は、彼らの原始的な脳には届かなかったらしい。リーダー格の男が、僕の胸倉を掴み上げた。
「ガリガリ野郎はすっこんでろぉ!」
「あぐっ……」
腹部に走る、慣性の法則に従った鈍い衝撃。僕の脆弱な身体は、いとも簡単に地面に叩きつけられた。
「物部くん!」
「ほら姉ちゃん。俺らと一緒に……」
「い、嫌……!」
その、混沌と暴力だけが支配する空間に、場違いなほど冷静で、しかし絶対的な圧力を持つ声が響いた。
「――待ちたまえ」
聞き覚えのある声。顔を上げると、そこに立っていたのは、一分の乱れもなく着こなされたダークスーツに白衣を羽織り、杖を携えた男性。言うまでもない、蟹江翔太教授だった。
「んだぁおっさん……正義の味方気取りかぁ?俺らみてぇな若者に勝てると思ってんならとんでもねぇバカだぜ、あんた」
その言葉を聞いた瞬間、教授の口元に、まるで美しい数式を見つけたかのような愉悦の笑みが浮かんだ。
「フフフ……フハハハハハハ!これは面白い。こんな知性のエントロピーが増大しきった輩どもが、この私を馬鹿と呼ぶとは。宇宙の神秘すら感じる喜劇だ!」
「んだとごらぁ!おっさんだろうが容赦しねぇぞ!」
輩の一人が、非効率なフォームで殴りかかる。教授はそれを……
「遅い、遅すぎる。君の拳が僕の顔面に到達するまで、あと0.3秒。その間に僕はコーヒーを一杯淹れることすら可能だ」
杖で、まるで赤子の手をひねるように軽々と受け流した。そして、
「ふっ!ふっ!はあっ!」
「ごはっ!?ぐはっ!?があっ!」
杖による、人体の急所を的確に突く連撃。輩の一人が、短い悲鳴と共に崩れ落ちる。
「なっ……!?この野郎ぉぉぉ!」
別の輩が、今度は警戒しながら殴りかかってくる。すると教授は、持っていた杖をこともなげに琴吹さんへと投げ渡し、こう言った。
「本当の打撃とはな、こうするのだよ!」
教授は、相手の拳を最小限の動きで受け止めると同時に、その体勢を崩さぬまま、目にも止まらぬ速度で相手の腹部に無数の拳を叩き込んでいく。
「ふぅぅぅぅぅぅぅあ!」
「がばごえぐげがぶらばあっ!?」
相手の口からは、もはや言語としての意味をなさない断末魔が漏れる。そして…
「ふぅん!」
最後に振りかぶられた、完璧な体重移動を伴った一撃が、輩の顔面を的確に捉えた。
「ぐあぼらばっ!?」
輩は吹き飛び、地面でわずかに痙攣している。
「さて……どうだね諸君。君たちの貧弱な前頭前野でも、この状況を正しく分析し、最適な行動を選択することは可能だと信じたいのだが」
「な……何だよこのおっさん……やべぇよ……」
「う、うわあああああ!撤退!撤退だあああ!」
輩たちは、残った仲間を抱え、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「ふう。全く、物理法則で教えるより、運動力学で教えた方が早い輩ばかりのこの世界には失望させられる。我々の研究を理解できる者だけで構成された、もっと美しい世界になればいいのだが」
「あ、あの……ありがとうございます。貴方は……」
「蟹江だ。そこで観測対象として無様に転がっている物部愛都の、指導教官でもある」
「あ、貴方が……」
琴吹さんが、畏怖と、そして明らかな困惑が入り混じった視線で蟹江教授を見つめていた。
コンビニで夜食を調達し、僕たちは蟹江教授をドックへと案内した。僕たちが夜食で胃を満たす一方で、アンファングのコンソールに表示されたログデータを見た教授は、満足げに頷いた。
「……なるほど。パイロットとして君たち二人の生体情報が、既にシステムのルート階層にインプットされてしまっている。これを外部から解除するのは、量子暗号化されたメインフレームをこじ開けるに等しい。不可能だな」
教授は、改めて琴吹さんに向き直った。
「……琴吹美生奈、だったかね。君の所属は?」
「あ、はい。合成生物学セクションで、生体高分子化学を」
「合成生物学というと……ああ、紫京院女史の学生か。彼女の、生命の理に正面から喧嘩を売るようなやり方には、いつも驚かされる」
「紫京院女史?」
「40代でありながら、自身の研究成果によって20代の肉体を維持し続ける美魔女教授として有名な方だよ。物部君も一度会ってみるといい。君の、異性に対する無関心という名の観測放棄も、少しは改善されるかもしれんぞ?」
「あり得ません」
「それほどに、彼女の存在そのものが一つの科学的奇跡だということだ。私も彼女の存在を目にした時、人類という種の可能性を信じたくなったものだよ」
「紫京院教授のことより!どうするんですか、この状況は!どう説明を……!」
「まあ落ち着きたまえ。君たちは、予測不能な事象に対し、取りうる最善の行動を取った。それだけだ。後のことは私に任せなさい。頭の固い上層部は、私が何とか言いくるめておく」
教授の言葉に、琴吹さんが僕に不安げな視線を向けてくる。
「だ……大丈夫なんですか、あんな人に任せて?」
「他に選択肢がないでしょう。紫京院教授は、話を聞く限りこの手のハードウェアの専門家ではない。僕らは僕らにできることをするだけです。つまり、明日も研究をする、と」
その翌日、アンファングの開発プロジェクトは上層部によって一時凍結され、僕と琴吹さんはそれぞれの研究室で待機を命じられた。蟹江教授は朝からどこかへ出かけている。
そして午後を過ぎた頃、研究室に戻ってきた教授は、まるで面白い実験結果でも出たかのように、ケラケラと笑いながらこう言った。
「朗報だよ、諸君。アンファングのプロジェクトは公式には『失敗』と見なされ、白紙に戻る。そして、今あるこの初号機は、全ての責任と共に、我々の手に委ねられることになった」
後日、僕と蟹江教授、琴吹さんと彼女の指導教官である紫京院教授にアンファングプロジェクトの最高責任者高坂、そして材料工学の篠宮教授が集まった。
ちなみに、初めて目にした紫京院教授は、確かに噂に違わぬ人物だった。40代とは思えぬ艶のある肌に、知性では説明のつかない豊満な体躯。なるほど、あれは生物学というより、もはや物理法則の歪みの一種かもしれない。だが、今はそれどころではなかった。
「……今回のことはすまなかった。我々もなるべくアンファングプロジェクトに残るよう声をかけたのだが、新たなプロジェクトを立ち上げた矢部教授と伊集院監査官の元へと次々に引き抜かれていってしまい、残ったのは良くて2割、といったところだ」
プロジェクト最高責任者の高坂が重々しく口を開く。
「そんな……そこまでいなくなってしまったんですか」
「で……その理由なのだが、よりによってパイロットがあの悪名高い物部くん、というのが災いしてね……」
「は?僕が悪名高い?どういう風にですか」
「その協調性の無さ、傲慢さ、運動神経の無さ...それらが合わさって、彼にパイロットなど無理だ、という者が続出してしまったのだよ」
「……しょうがないでしょう。あの時僕の判断がなければ、アンファング自体が今ここに存在しなかったんですから」
「どうするんですか!?私たちだけの手に負えるわけがありません!」
琴吹さんが、この中で唯一の常識人であるかのように叫んだ。
「彼らは、この失敗作を活かし、より安全でつまらない2号機を作るつもりらしい。だが問題はない」
蟹江教授が、事態を楽しんでいるかのように話を続けた。
「流石の堅物どもも、無責任にこの巨人を押し付けるほど非情ではない。全国、いや世界中から、アンファングの維持と研究を引き継ぐためのチームを公募するそうだ。それまでは、暫定的に彼らの部下が後処理をしてくれる」
「そうですか!?それはよかった……」
「いや、よくない」
蟹江教授は、眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせた。
「彼らだけに任せておけば、つまらないお役所仕事しかできん連中が送り込まれてくるだけだ。それでは、この宇宙からの『問いかけ』に答えることなどできん。だからこそ、こちらでも仲間を探すのだ。我々と波長の合う、常識の外側を歩ける、愉快な仲間たちをな」
狂気の物理学者と、生命を弄ぶ生物学者。
二人の常軌を逸した天才が、まるで世界の終わりを前にした子供のように、無邪気に笑っていた。
僕と琴吹さんは、これから始まるであろう、あまりに巨大で、あまりに危険な「研究」の渦中に、否応なく放り込まれたことを悟るしかなかった。
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