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23.接近
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ヒューという音と共に夜空に赤い光が上がり辺りを照らす。
それは球状に光を放ち、暫くの間夜空に留まる。
「綺麗ですわね」
「綺麗ですね」
「ああ、綺麗だな」
光を受け夜空を見つめる美少女達の表情は絵になる。
俺は二人と美しい花火を見られる幸せを噛みしめた――
――というロマンチックな展開ではない。
これは改良版の《発光トーチ》からの光の合図だ。
指定範囲に人間が来た場合に光で知らせる機能を追加してある。
セットしていたところはシーナ達が送られてきた転送用の魔法陣がある石造りの場所だ。
「転送魔法陣に誰か来たみたいだな」
「「えっ?」」
急いでインベントリからもう一つの《発光トーチ》を取り出し地面に刺す。
「先端の水晶からあちらの状況が見える」
改良版は監視の機能もあり暗闇でも見えるようにしてある。
あちらに映るものをこちらでも見ることが可能になった。
鎧を着た兵士たちが50人ほど見え、武器も持っている。
「罪人ではないようだな」
流刑で送られてきた人間にしては装備が充実しているし人数も多い。
「あれはわたくし達の国の兵士達ですわ」
鎧から自分たちの兵士だとシーナは判断した様だ。
「やはり来たか」
シーナたちを亡き者にしたかった奴はかなり周到な人物だ。
装備を剥ぎ取りシーナに呪いまでかける慎重さ。
そんな人物がシーナの生存確認をしないはずがない。
監視用の《発光トーチ》を設置しておいて正解だ。
もしかしたらあちらにはシーナの生存を確認できる方法があるのかもしれない。
まだ生きているのが分かりこの軍勢を送り込んできた、というのがしっくりくる。
「あっ! あいつはザギル!」
「知っている奴なのかネネ?」
他の兵士より黒塗りで軽装備だが目つきが鋭い人物。
この兵士達のリーダのようで指示を出しているようだ。
「はい。ザギルといって主に裏の仕事をしている人物です。残忍でしつこい性格と有名です」
言葉の端に嫌悪感がみてとれる。
あまり係わりたくない人物のようだ。
「ということは狙いはシーナか」
「おそらくはそうかと思われます」
たしかに執念深かそうな面構えをしている。
「ネネより強い奴なのか?」
「そうですね。暗殺者ですけれど、まともに戦えば強いはずです」
気付かれず殺すことが生業だろうけど、正攻法でも強いということか。
まあ今のネネなら遅れはとらないはず。
まだ戦うとは決まってはいないけど準備はしておいた方がいいだろう。
「一度二人のステータスを確認しておこう」
**************************
名前:シーナ=スカーレット(第一王女)
種族:人間
LⅤ :140
HP :1050/1050
MP :5250/5250
攻撃力:1820
防御力:1750
魔力 :7000
俊敏 :1050
―スキル―
『浄化』『回復』『光纏』『光槍』『光盾』
『光矢』『光弾』『解毒』『治癒』『水弾』
―特別スキル―
『聖女』
**************************
**************************
名前:ネネ=ライリーン(侍女兼護衛)
種族:人間
LⅤ :160
HP :2000/2000
MP :3200/3200
攻撃力:4000
防御力:3200
魔力 :3200
俊敏 :2000
―スキル―
『剣術』『槍術』『風纏』『護身』『刀術』
『斬撃』『風盾』
―特別スキル―
『魔装』
**************************
二人共レベルがかなり上がった。
スキルも増えて全体的に強化されている。
やはり二人がいた国より、ここの魔獣は経験値的にいいということか。
シーナよりネネ方がレベルが高いのは、近接でとどめを刺すことが多いためだろう。
「二人共かなり強くなったな」
『鑑定』で読み取った二人のステータスを『転写』により空中に描きだす。
「「えっ!」」
「こ、これはわたくしたちのステータスですわね」
「レンヤさんはこんなことも出来るんですね」
『転写』は『鑑定』をもってない二人にも見せられるように作っておいたスキルだ。
「わたくしたちの国では鑑定石に触れて確認しておりましたわ」
なんでも鑑定石に触れると頭の中にステータスが浮かぶらしい。
それでレベルを確認していたとのこと。
「レ、レベルが100を超えましたわ!」
「本当ですね。信じられません……」
レベルが100を超える者は数えるほどしかいないらしい。
それをあっさりと超えてしまって驚いているようだ。
毎日のように魔獣と戦っていたから当然と言えば当然だろう。
「でもネネにレベルが20も離されてしまいましたわ」
悔しそうな表情をみせるシーナ。
「まあ前衛と後衛の違いもあるし仕方がないだろう」
「そうなんですけれど……」
子供のような拗ねた表情になんだか苦笑してしまう。
「ですがシーナ様はスキルが凄く増えましたね」
「そうだな。結構有用なスキルが増えたみたいだ」
「そうなのですわね。説明していただいてもよろしいですか?」
はじめてみるスキルもあるので俺も気になる。
「ああ、そうだな。説明するのでこれから戦闘で使っていくようにしてくれ」
シーナは主に光系が伸びた。
攻撃系で『光矢』『光弾』『水弾』、防御系は『光盾』。
『解毒』は毒の治療で『治癒』は麻痺などの治療が可能だ。
ネネは風系だな。
『刀術』は剣とは違う魔力刀を使用することで得られたのだろう。
『風盾』は読んで字のごとく風の盾だ。
属性が違うだけでシーナも光系で今回取得した。
『斬撃』は刀による遠距離攻撃が可能で斬撃を飛ばすことができるようだ。
これだけあれば戦略の幅も増える。
「二人共色々と試して戦闘に組み込むようにしていこう」
それは球状に光を放ち、暫くの間夜空に留まる。
「綺麗ですわね」
「綺麗ですね」
「ああ、綺麗だな」
光を受け夜空を見つめる美少女達の表情は絵になる。
俺は二人と美しい花火を見られる幸せを噛みしめた――
――というロマンチックな展開ではない。
これは改良版の《発光トーチ》からの光の合図だ。
指定範囲に人間が来た場合に光で知らせる機能を追加してある。
セットしていたところはシーナ達が送られてきた転送用の魔法陣がある石造りの場所だ。
「転送魔法陣に誰か来たみたいだな」
「「えっ?」」
急いでインベントリからもう一つの《発光トーチ》を取り出し地面に刺す。
「先端の水晶からあちらの状況が見える」
改良版は監視の機能もあり暗闇でも見えるようにしてある。
あちらに映るものをこちらでも見ることが可能になった。
鎧を着た兵士たちが50人ほど見え、武器も持っている。
「罪人ではないようだな」
流刑で送られてきた人間にしては装備が充実しているし人数も多い。
「あれはわたくし達の国の兵士達ですわ」
鎧から自分たちの兵士だとシーナは判断した様だ。
「やはり来たか」
シーナたちを亡き者にしたかった奴はかなり周到な人物だ。
装備を剥ぎ取りシーナに呪いまでかける慎重さ。
そんな人物がシーナの生存確認をしないはずがない。
監視用の《発光トーチ》を設置しておいて正解だ。
もしかしたらあちらにはシーナの生存を確認できる方法があるのかもしれない。
まだ生きているのが分かりこの軍勢を送り込んできた、というのがしっくりくる。
「あっ! あいつはザギル!」
「知っている奴なのかネネ?」
他の兵士より黒塗りで軽装備だが目つきが鋭い人物。
この兵士達のリーダのようで指示を出しているようだ。
「はい。ザギルといって主に裏の仕事をしている人物です。残忍でしつこい性格と有名です」
言葉の端に嫌悪感がみてとれる。
あまり係わりたくない人物のようだ。
「ということは狙いはシーナか」
「おそらくはそうかと思われます」
たしかに執念深かそうな面構えをしている。
「ネネより強い奴なのか?」
「そうですね。暗殺者ですけれど、まともに戦えば強いはずです」
気付かれず殺すことが生業だろうけど、正攻法でも強いということか。
まあ今のネネなら遅れはとらないはず。
まだ戦うとは決まってはいないけど準備はしておいた方がいいだろう。
「一度二人のステータスを確認しておこう」
**************************
名前:シーナ=スカーレット(第一王女)
種族:人間
LⅤ :140
HP :1050/1050
MP :5250/5250
攻撃力:1820
防御力:1750
魔力 :7000
俊敏 :1050
―スキル―
『浄化』『回復』『光纏』『光槍』『光盾』
『光矢』『光弾』『解毒』『治癒』『水弾』
―特別スキル―
『聖女』
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名前:ネネ=ライリーン(侍女兼護衛)
種族:人間
LⅤ :160
HP :2000/2000
MP :3200/3200
攻撃力:4000
防御力:3200
魔力 :3200
俊敏 :2000
―スキル―
『剣術』『槍術』『風纏』『護身』『刀術』
『斬撃』『風盾』
―特別スキル―
『魔装』
**************************
二人共レベルがかなり上がった。
スキルも増えて全体的に強化されている。
やはり二人がいた国より、ここの魔獣は経験値的にいいということか。
シーナよりネネ方がレベルが高いのは、近接でとどめを刺すことが多いためだろう。
「二人共かなり強くなったな」
『鑑定』で読み取った二人のステータスを『転写』により空中に描きだす。
「「えっ!」」
「こ、これはわたくしたちのステータスですわね」
「レンヤさんはこんなことも出来るんですね」
『転写』は『鑑定』をもってない二人にも見せられるように作っておいたスキルだ。
「わたくしたちの国では鑑定石に触れて確認しておりましたわ」
なんでも鑑定石に触れると頭の中にステータスが浮かぶらしい。
それでレベルを確認していたとのこと。
「レ、レベルが100を超えましたわ!」
「本当ですね。信じられません……」
レベルが100を超える者は数えるほどしかいないらしい。
それをあっさりと超えてしまって驚いているようだ。
毎日のように魔獣と戦っていたから当然と言えば当然だろう。
「でもネネにレベルが20も離されてしまいましたわ」
悔しそうな表情をみせるシーナ。
「まあ前衛と後衛の違いもあるし仕方がないだろう」
「そうなんですけれど……」
子供のような拗ねた表情になんだか苦笑してしまう。
「ですがシーナ様はスキルが凄く増えましたね」
「そうだな。結構有用なスキルが増えたみたいだ」
「そうなのですわね。説明していただいてもよろしいですか?」
はじめてみるスキルもあるので俺も気になる。
「ああ、そうだな。説明するのでこれから戦闘で使っていくようにしてくれ」
シーナは主に光系が伸びた。
攻撃系で『光矢』『光弾』『水弾』、防御系は『光盾』。
『解毒』は毒の治療で『治癒』は麻痺などの治療が可能だ。
ネネは風系だな。
『刀術』は剣とは違う魔力刀を使用することで得られたのだろう。
『風盾』は読んで字のごとく風の盾だ。
属性が違うだけでシーナも光系で今回取得した。
『斬撃』は刀による遠距離攻撃が可能で斬撃を飛ばすことができるようだ。
これだけあれば戦略の幅も増える。
「二人共色々と試して戦闘に組み込むようにしていこう」
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