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第24話 騎士って大変なんですね
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「レイナ嬢、俺も回復お願いします」
「俺も!」
「こっちも頼む!」
「はいっ!」
次々と怪我をした人をレイナは治療していく。
擦り傷ぐらいの軽いものから少し深い傷まで。
模造刀を使っているとはいえ、対人訓練をしていれば怪我も多くなってしまう。
今回レイナが呼ばれたのは回復要員としてだ。
まごまごしていられない。
しっかりやらなければ来た意味が無いだろう。
レイナもそのことが分かっているからか、懸命に作業していく。
騎士団は他国からの侵略や魔物から国を守らなければならない。
体を張って民達を守る責任があるとレイナはイーサンから聞かされていた。
その為、騎士団には強さが必要なのは当たり前。
だからなのか、ここでは実践さながらの訓練が行われている。
どうしても怪我人が多くなってしまうのは仕方がない事なのかもしれない。
その間にも怪我人は次々とレイナの元にやってくる。
レイナは何とか拙い【ヒール】で傷を治していく。
毎日魔力循環を行っている為か、レイナの【ヒール】の威力も上がってきている。
これぐらいの傷ならレイナでも治せる様になってきた。
魔力を正しく使うって大事な事だとレイナは実感する。
師匠が良かったのだろうとレイナは思う。
「回復は苦手と聞いていたけれど、そんな事もないじゃないか」
バレンが訓練の合間にレイナに声を掛けてきた。
意外と言っては失礼かもしれないが、バレンは細かい気配りが出来る人間だ。
豪快な性格と体躯からは想像しにくい。
男性の中に女性が一人なのでレイナに気を使ってくれているのが分かる。
そんなバレンの心遣いにレイナは感心する。
「ニコラ様に魔力循環を鍛えられているので上達したみたいです」
レイナとしては余り自信はなかったのだが、役に立てている事にレイナは嬉しくなる。
「ニコラが指導者とは、兄上も面白い事を考えるな」
「イーサン様が私の教育係にニコラ様を推薦されたのですよね?」
「ああ、そうらしい。ニコラは天才肌だからな。人に教えるのは苦手だと思ったのだが。レイナ嬢を見てると改めないといけないかもしれない。流石は兄上の慧眼と言うところか……」
確かにニコラにはどこか人を寄せ付けない雰囲気がある。
簡単に魔法が使えてしまう天才だから、出来ない人の気持ちが分かり難いのだろう。
出来の悪いレイナにも苛立ちを感じているはずだ。
しかしそれでも少しずつ心を開いてきてくれているとレイナは感じている。
それはレイナの自惚れなのか、本当にそうなのかは微妙なところだ。
そんなニコラをイーサンは魔法の先生としてレイナに付けた。
もしかしたらイーサンはレイナの魔法向上の為だけでなく、ニコラの変化を期待してとの考えがあったのかもしれない。
今度会えた時にでも確認してみようと、レイナはイーサンの顔を思い浮かべる。
「しかし随分と実践的な訓練をされるのですね」
「ああ、国土や資源が欲しい奴らが定期的に仕掛けてくるからな。油断は出来ないんだ」
「そんなに頻繁にあるのですか?」
「そうだな。人がいるかぎり戦争はなくならないからな」
戦争や魔物もいる世界。軍事力は必要なのだろう。
「そうなんですね……」
つくづく自分が無謀な事をしたのか、今更ながらにレイナは思う。
攻撃魔法を持たない自分が、女の一人旅が出来ると信じていたのだから。
ほとんど外出させて貰えなかったリーネも平和な国で育った『神木れいな』も世間知らずだったのは間違いない。
「私も強くならないと。商人なんてできませんよね」
「商人か。そういえば、剣の稽古もしているんだったな」
「はい。まだ始めたばかりですけれど、サムエル様にご指導いただいています」
「そうか。じゃあ今度見てやろうか」
「よろしいのですか?」
護身用の剣術と騎士としての剣術とでは全然違うはず。
教わるなんて恐れ多いとレイナは思う。
「ああ、問題ない。その代わりまた回復要員として来てくれ」
「ええ、勿論ですわ」
回復魔法の練習になるから、バレンの提案はレイナとしても有り難い。
「レイナ嬢がいると皆の士気も上がるみたいだからな」
「えっ、そうなのですか?」
どういう事なんだろうと思うもレイナの疑問には答えずバレンは言う。
「よし、お前ら気合入れろ! 怪我してもレイナ嬢が治してくれるぞ!」
「「「おおっ!」」」
騎士団の人達の歓声が辺りに響いた。
「俺も!」
「こっちも頼む!」
「はいっ!」
次々と怪我をした人をレイナは治療していく。
擦り傷ぐらいの軽いものから少し深い傷まで。
模造刀を使っているとはいえ、対人訓練をしていれば怪我も多くなってしまう。
今回レイナが呼ばれたのは回復要員としてだ。
まごまごしていられない。
しっかりやらなければ来た意味が無いだろう。
レイナもそのことが分かっているからか、懸命に作業していく。
騎士団は他国からの侵略や魔物から国を守らなければならない。
体を張って民達を守る責任があるとレイナはイーサンから聞かされていた。
その為、騎士団には強さが必要なのは当たり前。
だからなのか、ここでは実践さながらの訓練が行われている。
どうしても怪我人が多くなってしまうのは仕方がない事なのかもしれない。
その間にも怪我人は次々とレイナの元にやってくる。
レイナは何とか拙い【ヒール】で傷を治していく。
毎日魔力循環を行っている為か、レイナの【ヒール】の威力も上がってきている。
これぐらいの傷ならレイナでも治せる様になってきた。
魔力を正しく使うって大事な事だとレイナは実感する。
師匠が良かったのだろうとレイナは思う。
「回復は苦手と聞いていたけれど、そんな事もないじゃないか」
バレンが訓練の合間にレイナに声を掛けてきた。
意外と言っては失礼かもしれないが、バレンは細かい気配りが出来る人間だ。
豪快な性格と体躯からは想像しにくい。
男性の中に女性が一人なのでレイナに気を使ってくれているのが分かる。
そんなバレンの心遣いにレイナは感心する。
「ニコラ様に魔力循環を鍛えられているので上達したみたいです」
レイナとしては余り自信はなかったのだが、役に立てている事にレイナは嬉しくなる。
「ニコラが指導者とは、兄上も面白い事を考えるな」
「イーサン様が私の教育係にニコラ様を推薦されたのですよね?」
「ああ、そうらしい。ニコラは天才肌だからな。人に教えるのは苦手だと思ったのだが。レイナ嬢を見てると改めないといけないかもしれない。流石は兄上の慧眼と言うところか……」
確かにニコラにはどこか人を寄せ付けない雰囲気がある。
簡単に魔法が使えてしまう天才だから、出来ない人の気持ちが分かり難いのだろう。
出来の悪いレイナにも苛立ちを感じているはずだ。
しかしそれでも少しずつ心を開いてきてくれているとレイナは感じている。
それはレイナの自惚れなのか、本当にそうなのかは微妙なところだ。
そんなニコラをイーサンは魔法の先生としてレイナに付けた。
もしかしたらイーサンはレイナの魔法向上の為だけでなく、ニコラの変化を期待してとの考えがあったのかもしれない。
今度会えた時にでも確認してみようと、レイナはイーサンの顔を思い浮かべる。
「しかし随分と実践的な訓練をされるのですね」
「ああ、国土や資源が欲しい奴らが定期的に仕掛けてくるからな。油断は出来ないんだ」
「そんなに頻繁にあるのですか?」
「そうだな。人がいるかぎり戦争はなくならないからな」
戦争や魔物もいる世界。軍事力は必要なのだろう。
「そうなんですね……」
つくづく自分が無謀な事をしたのか、今更ながらにレイナは思う。
攻撃魔法を持たない自分が、女の一人旅が出来ると信じていたのだから。
ほとんど外出させて貰えなかったリーネも平和な国で育った『神木れいな』も世間知らずだったのは間違いない。
「私も強くならないと。商人なんてできませんよね」
「商人か。そういえば、剣の稽古もしているんだったな」
「はい。まだ始めたばかりですけれど、サムエル様にご指導いただいています」
「そうか。じゃあ今度見てやろうか」
「よろしいのですか?」
護身用の剣術と騎士としての剣術とでは全然違うはず。
教わるなんて恐れ多いとレイナは思う。
「ああ、問題ない。その代わりまた回復要員として来てくれ」
「ええ、勿論ですわ」
回復魔法の練習になるから、バレンの提案はレイナとしても有り難い。
「レイナ嬢がいると皆の士気も上がるみたいだからな」
「えっ、そうなのですか?」
どういう事なんだろうと思うもレイナの疑問には答えずバレンは言う。
「よし、お前ら気合入れろ! 怪我してもレイナ嬢が治してくれるぞ!」
「「「おおっ!」」」
騎士団の人達の歓声が辺りに響いた。
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