婚約破棄と追放をされたので能力使って自立したいと思います

かるぼな

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第82話 ピンチですね

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 一匹一匹はそれほど強くはない。
 しかし数の多さは厄介だ。
 体力魔力が奪われていくので長期戦は厳しい。
 それは皆分かっている様だが現状防戦一方だ。
 先ずは魔物の数を減らさなければならないだろう。

 魔物達の攻撃パターンもばらばらで、まるでレイナ達の強さを測るかの様に変化をつけて襲って来る。
 ボスがいるからなのか魔物達は攻撃は統率されており、狩りを楽しんでいるかの様だ。
 もしかしたら狼タイプの魔物なので習性なのかもしれない。

 只、エリス達も上手く対処している。
 護衛達はエリスを守る陣形をとり魔物達の爪や牙の攻撃を盾で防ぎ、躱し、剣で攻撃を加えていく。
 更にエリスの攻撃魔法で数を減らし押し返す。
 レイナは傷ついた仲間達を回復させていく。

「あれ? 私って防御系の魔法って持っていない……」

 今更ながらレイナはそんな事を思う。
 ニコラにも特に教わっていなかった。
 回復要員という事なので回復魔法が使えれば良いのかとレイナは考えるが、防御系があった方がより良いとも思う。

「まあ、やりようはあるけれど!」
「キャン!」

 飛び掛かり襲ってくる魔物にレイナは魔力の壁をぶつけた。
 弾かれて転がった魔物に護衛達が剣で一撃を加える。
 ニコラの魔法を防いでいた障壁だが意外に使える事をレイナは発見した。

「いいかも」

 更にレイナは向かってくる魔物達の足元を魔力で柔らかくしたり盛り上げたりする。
 急に変化した地面の土で魔物達はバランスを崩して転ぶ。
 それを護衛達が屠っていく。
 自分も戦力になれている様だとレイナは安堵する。

「くっ、一体何匹いるの!」

 どれぐらいの時間戦っているのか分からない。
 倒した数も20や30は越えているだろう。
 それでも減らない魔物達にエリスの弱音が漏れる。
 魔物達も諦めない。

「エリス様、魔力も回復します使ってください!」

 疲労の見えるエリスにレイナはピンク色の回復薬を渡す。
 国を出る時にイーサンがレイナに持たせたものだ。
 出発前に薬草の引取り代金と回復薬を数本渡された。
 備えという形だったが役に立つ事になる。

「ありがとう」

 エリスは回復薬を飲み干す。

「何これ! 凄い効き目ね!?」

 どうやら体力魔力ともエリスの思った以上に回復した様だ。
 そう言ったエリスは魔力を高めて言う。

「これならいけるわ! 強力な魔法を撃ちます!」

 今までとは違う魔力の高まりをレイナはエリスから感じる。
 だが高まっていく魔力は不安定だ。
 これがニコラの言っていたエリスの不安要素。

「ううっ……」

 エリスも分かっている様で必死に安定させる様に努める。
 歪み始めた魔力は制御出来ているのか微妙であり暴発寸前だ。

「な、なんで」

 エリスの顔に焦りの表情が浮かぶ。
 学園に通い訓練を重ね、魔力制御に自信をつけたはずだった。
 実践の追い込まれたプレッシャーの中で、押さえ込んでいた弱点が露呈してしまう。

 エリスがこれ程の数の魔物と戦うのは初めての経験。
 落ち着けと言うのも無理な事なのかもしれない。
 更に運が悪い事が重なる。

「魔法だ! 避けろ!!」

 魔物達のボスである一匹から火属性の魔法がエリスに向かい放たれる。
 魔法が使える個体であった様で、不安定であるエリスを狙う辺り戦い慣れしている様だ。

 レイナは火の魔法とエリスの間に飛び込む。
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