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第89話 Uターンですね
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「只、【飛竜】も大分疲弊しています。休憩が必要です」
ラウルは言う。
本来なら一日は掛かる距離を急いで来たのだから魔物と言えども疲労はあるだろう。
「そうよね」
エリスはそう言うと水魔法で水を作り【飛竜】に飲ませる。
ごくごくと美味しそうに水を飲む姿はこんな時であるが、レイナは何だか可愛らしく感じてしまう。
「【ヒール】!」
レイナは回復魔法を【飛竜】に掛ける。
大きな体に癒しの光が降り注ぐ。
【飛竜】は喜んだように「くぅー」と声を上げる。
どうやら魔物に対しても魔法で体力回復出来る様だ。
その光景を見てエリスは言う。
「レイナ、貴女やっぱりデタラメなのね」
「えっ? どう言う事ですか?」
エリスに言われた意味が分からずレイナは問い返す。
「体の大きい魔物である【飛竜】を簡単に回復させるなんて。ニコラの弟子は只物じゃなかったって事ね」
確かに人間の数十倍の大きさである体を回復させるにはそれだけの魔力が必要になるのはレイナとしても想像できる。
でも今のエリスなら同じ事が出来ると思う。
レイナは【鑑定】をかけ【飛竜】を確認すると体力的には完全に回復している様で安心する。
これなら今直ぐにでも出発出来るだろう。
「急いで王宮に帰りたいの。お願い力を貸して」
レイナが【飛竜】の顔をなでながら話しかけると「任せておけ!」と返事をした気がした。
遠目から見えた背中に付いている箱状の様な物は人が数人乗れるゴンドラだった。
ラウルが言うには速度が出ても中の人間を守れる仕組みになっているらしい。
これも魔導具の一種なのだろう。
「確かにこれなら問題無さそうだ。出発しましょう!」
ラウルは言う。
レイナ達が乗り込むと【飛竜】はゆっくりと垂直に飛び立つ。
空高く上空まで来ると、地面と水平方向に動き始め徐々に加速していく。
ドンッとスピードが上がると、あっという間に景色が流れる。
「速い!」
この速度なら半日で着いてしまうのも当たり前だ。
エリスの話によると王家のみ所有を許された魔物であり緊急時にしか使用されないらしい。
今回のバレンの件はそれに該当する。
王族の命の危機ならば使用許可も出るのだろう。
レイナは派兵前の嫌な予感が当たってしまった事が残念でならない。
毒消しについて勉強しておくべきだったと後悔する。
そうすればバレンに効く薬が事前に出来ていたかもしれない。
「今、そんな事を考えても仕方がない!」
レイナは自分に言い聞かせる様に言った。
今は少しでも早く帰り、治療する事だけを考えよう。
レイナは前を向く。
夜になると飛べなくなると言うので暗くなる前に到着しなければならない。
竜といえど明るい中でしか飛べない様だ。
本当なら飛べるかもしれないが、暗闇で飛ぶ必要が無いのかもしれない。
夜行性でもなければ、暗くなったら睡眠をとるのは生物なら普通な事のはず。
竜の生態は知らないが、不安を押し殺すためにレイナはそんな事を考えるしかなかった。
ラウルは言う。
本来なら一日は掛かる距離を急いで来たのだから魔物と言えども疲労はあるだろう。
「そうよね」
エリスはそう言うと水魔法で水を作り【飛竜】に飲ませる。
ごくごくと美味しそうに水を飲む姿はこんな時であるが、レイナは何だか可愛らしく感じてしまう。
「【ヒール】!」
レイナは回復魔法を【飛竜】に掛ける。
大きな体に癒しの光が降り注ぐ。
【飛竜】は喜んだように「くぅー」と声を上げる。
どうやら魔物に対しても魔法で体力回復出来る様だ。
その光景を見てエリスは言う。
「レイナ、貴女やっぱりデタラメなのね」
「えっ? どう言う事ですか?」
エリスに言われた意味が分からずレイナは問い返す。
「体の大きい魔物である【飛竜】を簡単に回復させるなんて。ニコラの弟子は只物じゃなかったって事ね」
確かに人間の数十倍の大きさである体を回復させるにはそれだけの魔力が必要になるのはレイナとしても想像できる。
でも今のエリスなら同じ事が出来ると思う。
レイナは【鑑定】をかけ【飛竜】を確認すると体力的には完全に回復している様で安心する。
これなら今直ぐにでも出発出来るだろう。
「急いで王宮に帰りたいの。お願い力を貸して」
レイナが【飛竜】の顔をなでながら話しかけると「任せておけ!」と返事をした気がした。
遠目から見えた背中に付いている箱状の様な物は人が数人乗れるゴンドラだった。
ラウルが言うには速度が出ても中の人間を守れる仕組みになっているらしい。
これも魔導具の一種なのだろう。
「確かにこれなら問題無さそうだ。出発しましょう!」
ラウルは言う。
レイナ達が乗り込むと【飛竜】はゆっくりと垂直に飛び立つ。
空高く上空まで来ると、地面と水平方向に動き始め徐々に加速していく。
ドンッとスピードが上がると、あっという間に景色が流れる。
「速い!」
この速度なら半日で着いてしまうのも当たり前だ。
エリスの話によると王家のみ所有を許された魔物であり緊急時にしか使用されないらしい。
今回のバレンの件はそれに該当する。
王族の命の危機ならば使用許可も出るのだろう。
レイナは派兵前の嫌な予感が当たってしまった事が残念でならない。
毒消しについて勉強しておくべきだったと後悔する。
そうすればバレンに効く薬が事前に出来ていたかもしれない。
「今、そんな事を考えても仕方がない!」
レイナは自分に言い聞かせる様に言った。
今は少しでも早く帰り、治療する事だけを考えよう。
レイナは前を向く。
夜になると飛べなくなると言うので暗くなる前に到着しなければならない。
竜といえど明るい中でしか飛べない様だ。
本当なら飛べるかもしれないが、暗闇で飛ぶ必要が無いのかもしれない。
夜行性でもなければ、暗くなったら睡眠をとるのは生物なら普通な事のはず。
竜の生態は知らないが、不安を押し殺すためにレイナはそんな事を考えるしかなかった。
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