風の魔導師はおとなしくしてくれない

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一章 海の国へ

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 ルイは朝の仕事を終えたあと、馬車に乗って王立アクトール魔導院に向かった。カリバン・クルスは円形の街だが、その北端に出っ張る形でアクトール魔導院の建物と裏の森がある。広い敷地内に教育棟、研究棟、宿舎、温室、図書館が寄り集まっていて、街の一番端っこなのでとても静かで、裏手に広がる森からの豊富な魔力に包まれていた。

 ルイはアクトールの門の前で馬車をおり、ホルシェードに連れられて中に入った。ホルシェードはライオルと一緒にリーゲンスに来た茶髪の兵士で、ルイも何度も顔を合わせていたが、特に会話をした記憶はなかった。背が高く男前で、氷やみぞれを操り、魔導を使って攻撃のできる珍しい魔導師だった。

 ルイは無口なホルシェードと一緒に、気づまりな思いをしながらアクトール魔導院の敷地を歩いた。ひときわ大きい灰色の建物が、元々神殿だった建物を再利用して使っている教育棟だ。教育棟の中はひんやりしていて、大広間ではアクトール院生があちこちで本を読んだり魔導の勉強をしたりして過ごしていた。

 ホルシェードは長い階段を上がり、一つの部屋の前で立ち止まるとやっとルイに声をかけた。

「ここが教育棟の責任者の部屋だ。今からコニアテス先生に挨拶する」
「わかった」
「……お前の名前はルイ・ザリシャだったよな?」
「そうだよ。さあ、行こう」

 ホルシェードは部屋のドアをノックした。どうぞと声がかけられ、二人は部屋に入った。

 丸い窓が一つあるだけの小さな部屋だった。大きな机の上には本がたくさん積み上げられていて、本の山に隠れるようにしてコニアテスが座っていた。長い灰色の髪を後ろで束ね、眼鏡をかけた年齢不詳の男だ。手に持った紙の上をせわしなく動いていた目は、ホルシェードを見るとぱっと輝いた。

「ホルシェード、久しぶりだな!」
「お久しぶりです」

 ホルシェードは少し照れたように笑った。

「二年ぶりかい? なつかしいな。師団は忙しいか?」
「まあ、そうですね。いろいろなところに行きますから」
「そうかそれは大変だな。それで、そっちの彼が例の地上から来た魔導師だね」

 ルイは前に進み出て一礼した。

「ルイ・ザリシャです。はじめまして」
「風の魔導師だって? 海の国に来てくれてとても嬉しいよ。ずっと地上の魔導師と交流してみたかったんだが、そうもいかなくてさ。ここの院生にいろいろ話を聞かせてやってくれよ」
「はい」
「きみも院生になるんだろう? 王宮魔導師を目指すのかい?」
「いや、そういうわけじゃないです。今、王宮で風を吹かせる仕事をしているんですけど、なかなか思い通りにならなくて。それでここで修行させてもらいたいと思ったんです」
「ふーん」

 コニアテスは話を聞いているのかいないのか、おもしろそうにルイを観察している。

「ここのことはホルシェードがよくわかってるから、彼に聞いて。たくさん修行するといいよ。裏の森はなかなかおもしろいから探検してみてね。あ、でも結構広いから迷子にならないでね。あと、温室は魔導師でも扱いにくい危険な植物もあるから注意すること」
「わかりました」
「コートはそこに置いといたから持って行って。じゃあ、がんばってね」

 ルイとホルシェードは椅子の上に置いてあった二着のコートを受け取って部屋を出た。ルイはもっとたくさん聞かれるかと思っていたが、ずいぶんあっさりと帰されてしまった。二人はまた長い階段を下りていった。

「言い忘れてたけど」

 ホルシェードが言った。

「お前はライオル様とはもう接点はないということにしておいてくれ。同じ屋敷に住んでいることも言わないほうがいい」
「なんで?」
「あんまり王太子候補と親しいとわかると変な奴らに絡まれるから」
「変な奴らって?」
「ここは王宮魔導師を目指す者のたまり場だ。野心家が多い」
「ふうん……?」
「俺はアクトールに同行するが、今日以降は別々に行く。今日はたまたま一緒に来たということにする。帰りは一画向こうに馬車をつけるから、そこで待ち合わせて一緒に帰るぞ」
「了解」

 修行は裏の森で行うので、二人はアクトール院生に支給されるコートを着て裏の森に向かった。黒いコートの襟元にはアクトールの紋章が刺繍されていて、薄手だがかなり固い生地でごわごわしていた。ホルシェードはコートを着ながらうなった。

「このコートは燃えにくいし丈夫なんだが、着心地がな……」
「うん、着心地はかなり悪いな」

 ホルシェードはいやがってコートのボタンを留めなかったが、ルイはきちんと前でボタンを留めた。

 二人はアクトールの広い敷地を突っ切り、大きな温室の横を抜けて森の入り口にやってきた。入り口付近は開けているが、奥はうっそうとした深い森だ。太い木々が密集していて、なぜ入り口のほうまで森が浸食してこないのか不思議なほどだった。

 開けたところにはアクトール院生が何人も座りこんでいて、土をもこもこふくらませたり魔導具をまわしたりして、魔力を研ぎ澄ませていた。

 ルイたちのあとから一人の院生がやってきて少し離れたところに座り、緑の丸い物体を地面に置いた。彼は黙って緑の物体をじっと見つめている。すると、緑の物体が震えて形を変えた。緑の物体は大きな種だったようで、あっという間に芽が出て、茎がぐるぐると蛇のように曲がりながら伸びていった。伸びる速度が鈍くなってくると、つぼみを付け出した。だが花が咲く前につぼみは霞と化し、次第に枯れていった。

 ルイがその不思議な様子をじっと見ていると、ホルシェードが脇から手を伸ばしてきた。

「やる」
「あ、これ」

 ホルシェードが差し出したのは今見ていた緑色の種だった。

「今の見てただろ。これは一番手っ取り早い魔力の修行になる。魔導は自然から得られる力だから、植物を操るのはたやすい。こいつは魔力で育つから、育ててみろ。魔導師の魔力の質によって育ち方が変わっていく」
「おもしろいな。海の国の植物か?」
「そうだ」

 ぶっきらぼうなホルシェードはそれ以上説明してくれそうになかったので、ルイはとりあえずその場に座って目の前に種を置いた。種をじっと見つめて集中する。しばらくなにも起きなかったが、次第に種がぶるぶる震えだした。時間をかけてぱかりと割れ、双葉が顔を出した。

 眉間にしわを寄せるルイの前髪を風がなでた。種が風にあおられてころりと転がった。

「無駄な魔力を使うな! 目の前のものだけに集中しろ!」

 ホルシェードに注意されてルイは種をにらみつけた。双葉が大きくなり、次の葉っぱが出てきた。だが次第に小さくなっていき、ひゅんと風を切る音を立ててしなびてしまった。

「こ、これ、難しいぞ!」
「基本だけど」
「……あ、そう」

 ルイは乱れた髪の毛を指でとかしながらため息をついた。ふと周りを見ると、おのおの修行に励んでいたアクトール院生が全員こちらを見ていた。

「風の魔導だ……」

 ルイの起こした風に気づいたようで、皆目を皿のようにしてルイを見ている。そこにホルシェードがもう一つの種をルイの前に置いてきた。

「もう一回やってみろ」
「え、でも結構疲れたし……気づいてないようなら教えるけど、さっき朝の仕事を終えたばかりだよ」
「もう一回くらいならできるだろ」

 アクトールで修行した経験のあるホルシェードにとっては、なんということはないのだろう。ルイは苦々しく思いながらも、再度種に向き合った。

 二度目なので多少コツをつかみ、さっきより早く発芽した。だがどうしても種に収まりきらない魔力が風になってしまう。しゅるりと細い茎が伸びていったが、すぐにまた枯れてしまった。

「今日は本当にもう無理……」
「ここは魔力の濃い森だ。少し休めば魔力も戻るからまだやれるだろ」
「きみは結構厳しいな……」

 ホルシェードはあきれたようにルイを見た。

「お前、修行しに来たんだろ? 魔力を高めたいんじゃなかったのか?」
「そうだけども」

 朝の仕事でかなりの魔力を使った上、また大量に魔力を消費してしまい疲労困憊だった。夕方の仕事までに回復するかも怪しい。ルイはあきれるホルシェードに支えられ、森をあとにした。ルイを見ていたアクトール院生たちは、ルイがすぐにつぶれてしまったのでがっかりしたようだった。


 ◆


 次の日、ルイは朝の仕事を終えるとまたアクトール魔導院にやってきた。門から少し離れたところで馬車をおりてホルシェードと別れ、一人で裏の森へ向かった。温室に修行用の種が山積みになっていたので、それをいくつかもらって昨日と同じところに陣取った。

 もくもくと修行していると、教師が回ってきてルイにいろいろ教えてくれた。種の性質をきちんと知れば、より繊細に種に働きかけられるようになった。種はルイが育てるとツル状に変化し、ひゅんひゅんと音を立ててよく動いた。だがちょっと集中力を切らすとすぐに枯れてしまい、まだまだ修行が必要だった。

 四個目の種が枯れてしまい肩を落としていると、ルイの顔に誰かが影を落とした。見上げると、青みがかった髪の美青年が立っていた。

「もうお昼だよ。お昼ご飯食べに行かない?」
「一緒に行っていいのか?」
「うん、もちろん。きみ、風の魔導師でしょう。ぜひお話したいんだ」
「ありがとう。ルイ・ザリシャだ」
「俺はティルナ。よろしく」

 ルイはティルナと握手した。ティルナはルイを宿舎の一階にある食堂に案内してくれた。教育棟に在籍する院生はだいたいここで朝昼晩のご飯を食べるそうだ。

「外に食べに行く人もいるけどね。あと数は少ないけど、王都に家があって帰れる人は昼以外はあまり来ないかな。俺はずっとここで食べてるよ」
「広いんだね」

 食堂は百人は入れそうなほど広く、長方形のテーブルが所せましと詰めこまれていた。奥の厨房から調理係の人たちがせっせと食事の乗った皿を持ってきて院生に渡している。ルイはティルナについて食事を受け取る列に並び、温かい昼食をもらった。木の深皿に熱々のリゾットと煮物が乗せられている。

「こっちだよ」

 ティルナはルイを奥の席に連れて行った。手前の席は十代とおぼしき少年たちが座り、にぎやかにおしゃべりしながらご飯をつついている。奥にはティルナやルイのような二十代くらいの年長者が多くいて、比較的静かだった。

「ゾレイ、そこ座っていい?」

 ティルナは本を読みながら一人でご飯を食べていた銀髪の青年に声をかけた。顔を上げた銀髪の青年は、ルイを見るとぱっと顔を輝かせた。

「あ! 風の魔導師の人でしょ! どうぞ座って!」

 ゾレイの大きな声を聞いた周囲の院生が視線を向けてきた。

「どうも……」

 ルイは愛想笑いを返し、ティルナに続いてゾレイの向かい側の席に座った。ゾレイはにこにこしながらテーブルの上に身を乗り出し、ルイに握手を求めた。

「こんにちは。僕はゾレイ。よろしく」
「ルイ・ザリシャです。よろしく」
「昨日も来てたよね? 魔力の基礎訓練に難儀してたみたいだけど、やっぱり地上とは勝手が違うのかな?」

 悪気なく言われ、ルイはそうかもねと適当に返した。ゾレイはさらさらの銀髪でまつげが長く、貴族のように優雅な容姿だったが、食事の仕方はぞんざいだった。リゾットを片手でかきこみながら、ルイから目を離さずに質問攻めにした。どうして海の国に来たのか、どうやって来たのか、どこで風の魔導を習得したのかなど、聞きたいことがあふれかえっているらしい。
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