風の魔導師はおとなしくしてくれない

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一章 海の国へ

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 ルイはあらかじめ用意していたストーリーを話して聞かせた。自分はリーゲンス国の港町フルクトアトの商人の息子で、知り合いの魔導師に稽古をつけてもらったこと。商人のつてで海の国の商人と話をつけてもらい、移住という形で海の国に来る許可をもらったこと。実際は城で魔導師の先生に手ほどきを受けたのだが、特に隠す必要もないので稽古の内容は包み隠さず話した。

 ゾレイとティルナだけでなく、周囲の院生たちも食事の手を止めてルイの話を聞いていた。地上の魔導師と会話するのは初めてらしく、皆興味津々だった。

「それで、ライオル様に連れてきてもらったんでしょ?」

 ゾレイに言われ、ルイはぎくりとした。

「えっ?」
「え、違うの? ライオル様の凱旋と一緒にカリバン・クルスに来たんじゃないの?」
「あ、ああ……うん、そうだよ。ちょうど同じタイミングで」
「いいなあ!」

 ゾレイはうらやましそうに言った。ティルナは興味なさそうに昼食を食べ始めたが、ほかの院生たちも同じくうらやましそうにしている。

「ねえ、ライオル様ってどんな方だった?」

 一人の院生がゾレイの奥から声をかけてきた。よほど気になるらしい。

「いや……よくわからない」

 ルイがそう言うと、ゾレイは不満そうな声をもらした。

「えー? だって一緒に来たんでしょ? 知らないはずないんじゃないの?」
「確かにここにはライオル……様と一緒に来たけど。でもそれだけだし、たいして話もしなかった。忙しくしていたからそんなに関わらなかった」
「でもちょっとはお話したんでしょ?」

 あんまりゾレイがしつこいので、ルイはうーんと考えこんだ。

「どんな人かと言うと、強引というかなんというか……表情と本心が合っていない感じ?」
「確かにクールな感じだよね!」

 好きなように解釈したゾレイはうんうんとうなずいた。ティルナが反応しないので、ゾレイは近くの院生たちに同意を求めた。彼らも同意見のようだった。ルイはホルシェードがライオルと接点がないということにしておけと言った意味を理解した。

「かっこいいよな、ライオル様。王太子候補の中で一番かっこいいと思う。火の魔導師だし」

 アクトール院生たちは王太子候補の話で盛り上がり始めた。

「俺はギレット様のほうがかっこいいと思うけどなあ。剣の腕ならたぶん騎馬師団一だよ。このあいだのチャティオン盗賊団を壊滅させたのなんかすごかったじゃないか」
「でも今回のライオル様の戦果はそれ以上だろ。リーゲンスに単身乗りこんで、エディーズ商会の人たちを殺した頭のおかしい王様を討ち取ったんだよ!」

 話が大きくなっている気がするが、ルイは黙って冷めてしまったリゾットを口に運んだ。

「すごいよなあ……俺、絶対戦争になると思ったよ」
「確かにあれはひどかったよな。でも必要以上の血が流れずに事が収まってよかったよね」
「ルイはその王様が人を殺しまくった港町にいたんでしょ? 大丈夫だった?」

 急に話を振られ、ルイは慌ててリゾットを飲みこんだ。

「なんとか」
「そっか、よかったね」

 ルイはなにも知らない彼らの小さな気遣いが嬉しかった。

「そういえば、ルイも王宮魔導師になるつもりなの?」

 不意にゾレイがたずねた。ルイは顔の前で手を振った。

「いや、そんなつもりはないよ。俺は本当ならここに来られる実力なんてないんだ。ただ、今王宮からカリバン・クルスに風を吹かせる仕事をしてて……」
「ああ、最近のあれきみなのか! すごいな!」
「あ、ここには届いてるのか……そう、でも俺の魔力じゃカリバン・クルス全体に行き渡らせるには足りなくて。だから特別にここで修行させてもらってるんだよ」
「なるほどね」

 ゾレイはほっとしたようだった。ルイが不思議そうにしていると、気づいたゾレイは不敵に笑った。

「なんでもないよ。ただ王宮魔導師を目指されなくてよかったと思って。次の王宮魔導師試験に合格するのは僕だからね」

 ティルナが食器から顔を上げてゾレイをにらみつけ、ゾレイはあごを上げてティルナを見下すように笑った。急に剣呑な雰囲気になりルイは肝を冷やしたが、どうやらいつものことらしく、周囲の院生たちが二人をいなした。

「はいはい、俺たちも試験は受けるからな。それで、王宮魔導師になって王宮の皆さんと仲良くなるんだろ、ゾレイ」
「もちろんだ。歴代の王太子候補の中には王宮魔導師と結婚した人もたくさんいるんだからな!」

 野望を語るゾレイに周りは笑っていたが、ルイは彼らとの根本的な考え方の違いを見せつけられて静かに動揺していた。テオフィロに聞いたところによると、王太子候補は全員男だ。そして、ゾレイを含めここにいるアクトール院生も男しかいない。それでもそんな話が出るのは、地上の人間と海の人間では体のつくりが異なるためだ。

 海の人間は全員男として生まれてくる。そして結婚してつがいができると片方が女に変化する。だがそれも古い話で、魔導師の手で変化促進剤が開発されてからは、二番目以降に産まれた子供を赤子の頃に女にして育てるのが普通になった。そうなると不思議なもので、男同士で結婚しても片方が変化しなくなった。だが変化の薬を使えば男でも子供を産めるようになるので、結婚は普通にできるらしい。

 ルイは性別が変わる魚の存在は知っていたが、海の人間も同じ性質を持っていると知ったときは驚愕した。見た目はまったく変わらないのに、全然違う種族なのだと改めて思い知らされた。淡々と教えてくれたテオフィロは、ルイが驚いていることに驚いていた。


 ◆


 その後、ゾレイとティルナはルイと一緒に行動するようになった。ほかの院生の話によると、この二人が今のアクトールの教育棟でもっとも優秀な魔導師で、王宮魔導師の座を巡って争っているそうだ。二人とも風の魔導を覚えたくてルイにくっついていたが、ゾレイはほかにも理由がありそうだとルイは思っていた。二人はしょっちゅう喧嘩をしていたが、ルイの修行を手伝ってくれるので助かっていた。

 そんな折、ルイはある夜ライオルの部屋に呼び出された。

「狩りの日?」
「そう」

 帰宅したばかりのライオルは濃灰の軍服を脱ぎながら言った。

「祭りの名前だけど、地上ではやらないか?」
「いや聞いたことはあるな。悪魔が人間狩りをするのを神様が退けた記念日だっけ」
「そうそれ。なんだ同じのあるんだな」
「いや、歴史の授業で聞いただけ。昔はリーゲンスも狩りの日とか足跡をつけた日とか祝ってたけど、お金がかかるし世俗的になったって寺院が難色を示したせいでもう長いあいだやってないんだ。隣のフェデリアでは確か狩りの日やってたはず」
「そういうのは知ってるんだよな……」

 ライオルはソファに座って熱いお茶に息を吹きかけているルイを見ながら、しみじみと言った。

「それで?」
「ああ、海の国では狩りの日をきちんと式典として祝う。王宮が主体になってカリバン・クルス全体でやるでかい祭りだ。もちろん俺たち全員参加する。そこでお前に頼みがある」
「なに?」
「祭りの開幕で退魔の花を噴水広場に向かって撒くんだけど、風の魔導でそれを舞い上げて盛り上げてほしいんだ」

 突然の大きな仕事の話にルイは固まった。

「そんな重要なことを俺がやっていいのか……?」
「主催者の依頼だ。それに、花びらを撒くのは広場を見下ろせる劇場の屋上からで、お前自身はまったく目立たないから安心しろ。修行して少しは魔力増えたんだろ? 王宮魔導師候補のゾレイとティルナに教えてもらってるって言ってたじゃないか」
「まあね。まだコントロールがうまくできないんだけど、二人とも本当に熱心な勉強家だからいろいろ学んでいるよ」
「よかったな」
「ライオルは本当に魔導師たちに人気だよ。聞いてるこっちが恥ずかしくなる」
「へえ」

 ライオルはそっけない返事をしつつも機嫌よく口角を上げた。

「俺のことを聞かれたのか? なんて言ったんだ?」
「いや俺は接点ないことになってるから。お前と一緒に住んでるなんて知られたらどんな目に遭わされるか……ホルシェードの忠告がなかったら今頃死んでたよ」

 柔らかい白いシャツに着替えたライオルは、ソファの後ろに立つとルイのあごをつかんで上を向かせた。

「教えてやればいいじゃないか。キスがうまいって」
「だ、ま、れ」

 ルイはライオルの手を払いのけ、一口すすっただけのお茶をテーブルに置いて立ち上がった。

「仕事ならやるさ。で、狩りの日はいつなんだ?」
「六日後」
「えっ!? もうちょっと早く言えよ!」

 まだ修行途中のルイには準備期間が足りない。ルイは頭を抱えた。



 翌日、アクトール魔導院でルイは事の次第をゾレイとティルナに語って聞かせた。

「と、いうわけで。だからなんとしても狩りの日までにコントロール力を身につけないといけないんだ。二人の力を貸してほしい!」

 ティルナは青い顔をするルイの肩に手を置いた。

「もちろん手伝うよ。一緒にがんばろう」
「ありがとうティルナ。ゾレイは?」
「ああ、僕も手伝うよ……でもなあ」

 ゾレイは眉尻をつり上げてルイの鼻先に顔を近づけた。

「狩りの日の開幕で魔導を任されるなんて……大したことないただの風の魔導師のくせに、出世が早いんじゃないか」
「あは……」
「手伝うから僕も一緒に行かせろ!」
「いやいや、全然目立たない裏方だよ? 人前に出るわけでもないし、劇場の屋上から噴水広場に風を送るだけだから。誰の目にも留まらないと思う。もちろん王宮の人たちと会うこともないよ」
「本当か!?」
「本当だって」

 ゾレイは少しがっかりしたようだった。真面目なティルナはそんなゾレイを冷たい目で見つめている。

「よしじゃあさっそく特訓だ!」

 ゾレイは足早に裏の森に向かい、ルイとティルナもそれに従った。

 いつもは森の入り口で修行するのだが、今日は森の中へと足を踏み入れた。三人はあちこち伸びている木の根で凸凹した道なき道を進んでいった。

「どこまで行くんだ?」
「この先にちょっと広いところがあるから、そこでやる」

 先頭を行くゾレイは迷うことなく森を歩き、しばらくすると小さな原っぱに出た。

「ここがいいだろう。新鮮な森の魔力がたっぷりだから力も湧くし、思いっきり風を使っても文句を言われない」

 ティルナもうなずいた。

「そうだね、いい練習場所だと思う。ルイ、コントロールをつけたいならこれを使ってみて」

 ティルナが渡してきたのは、細い縄の切れ端だった。

「縄?」
「そう、縄。風は目に見えないから目印があったほうがやりやすいはずだよ」
「でも重いだろ? 物を飛ばそうと思うとどうしても力んでしまって、すぐに落ちてしまうんだ」
「大丈夫、種を成長させるのもだいぶ早くなってきたから、縄も飛ばせるようになってるはずだよ。森の中なら特にやりやすいはずだから」
「そうか、わかった」

 ティルナの指摘はいつも的確なので、ルイは素直に縄を受け取って飛ばす訓練を始めた。手に持った縄を投げ、風を起こして頭上高くに舞い上げた。

「もっと左に寄せて!」

 ティルナが叫んだ。ルイは必死にティルナの指示に従った。重量のあるものを飛ばすのは大変だったが、昔よりはずっと簡単にできるようになっていた。

 ルイとティルナが訓練に励むかたわらで、ゾレイは木にもたれかかって座り、小さな紙を取り出してなにか書きつけていた。落ちた縄を拾って戻ってきたルイは、訓練に参加する気のなさそうなゾレイを見てため息をついた。

「ゾレイ、なにしてるんだよ」
「これ僕が作った魔導具」

 ゾレイは手に持った紙を掲げてみせた。鳥の形に折られた紙だ。ゾレイがひょいと投げると、紙の鳥はひょろひょろ飛んでルイの額にぶつかった。

「なにこれ? どうやって飛ばしてるの?」
「紋章を描いて簡単な使い魔みたいにしてるんだよ。鳥にしたから、好きなところに飛ばせるよ」

 紙の鳥はルイの周りを飛んでいたが、次第に上昇し始めた。ふわふわ揺れながらどんどん高度を上げていく。

「器用だな……」

 ルイはゾレイの能力に感心した。魔導具を作る本職の紋章師でさえ、新しい魔導具を創作するのは並大抵の努力ではできない。簡単な魔導具とはいえ、ゾレイのセンスは天才的だった。

「こんなことができるんだから、王宮魔導師にこだわらなくてもいいのに」

 紙の鳥を見上げてティルナが言った。

「きみ、作った魔導具を売って商売してるだろ。それだけでも十分生きていけるだろうに」
「えっ、そうなのか?」
「アクトールに長くいる俺たちみたいな魔導師は、仕事をしながら勉強するのが普通なんだ。でも、そもそもゾレイの家はカリバン・クルスにある薬草店だよ? ご両親はどっちも魔導師で優秀な薬師さ。薬草店を継げばいいのに」

 どうやらゾレイは魔導師の家系の出身らしい。ティルナの言うことはもっともだったが、ゾレイは首を横に振った。

「いや、僕は王宮魔導師になるんだ! つまらない薬草店なんかごめんだね!」
「贅沢な奴だな……」
「ルイもそう思うでしょ」

 むっとしたゾレイはルイに食ってかかった。

「のんきに喋っていていいのか? 僕の鳥を見ろ! お前の風なんかよりずっと遠くに飛べてるぞ!」

 ルイが慌てて頭上を見ると、紙の鳥は背の高い梢のはるか上まで飛んでいっていた。ルイはもう一度縄を飛ばした。

「たたき落とす!」
「やってみろって」

 対抗心を燃やしたルイは何度も風を起こし、ゾレイの鳥を追いかけた。結果的にいい訓練となった。
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