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第2章 ルシェルタリア国編
15話 とある小さな国の話
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ヨルの森から少し離れた場所にある一つの小さな国。名をルシェルタリア国と言う。
豊かな水を所持しており、街中にいくつもの水路を用いたとても綺麗な国だ。
しかし今現在、その国は正体不明の魔物に襲撃され壊滅の危機に陥っている。白色で統一された美しい建物も瘴気の黒に染まり、見る影もない。
小さな国にしては立派な騎士団があったのだが、物理攻撃が全く効かない相手には部が悪かった。一人、また一人と瘴気に飲まれてその場に倒れゆく。
国から見てヨルの森のある北東側から大量の魔物が姿を現す。後から後から押し寄せるようにして黒い闇の塊が押し寄せる。
国民は、ただひたすらに祈っていた。
何者でも構わない。どうか、どうか我らをお救い下さい。と。
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一方、ルシェルタリア国の王城では緊急の会議が催されていた。
貴族らしき男のひとりが叫ぶようにして発言をする。それに続けるように幾人もの男達から続けて発言、いや叫び声があがる。
「あの魔物達はあの森の方角から進んできている!あの森から溢れ出ているのではないだろうか!?どうにかして止めねばならぬ!!」
「しかしどうすればいいのだ!?騎士団もそう長くは持たないぞ」
「古の大国ではこういった災害が起きると贄を捧げたという文献が残っているのだが参考にしてみるのはどうだ!?」
「贄とは何を捧げれば良いのだ?あいにくともうこの国には捧げられるようなものが残っていないぞ」
「文献には見目麗しい少女が捧げられた、と書かれていた」
「今から生き残りの中から探し出すか?奴隷の女ならすぐに見つかるとは思うが・・・」
次々とまくし立てる男達。
もはや冷静さの欠片も残っておらず、口々に叫ぶだけだった。
見かねた王の脇に控える宰相が男達を鎮めようと一歩足を踏み出そうとした。しかし、王は宰相を左手で制すると今まで開かずにいた口を開いた。
「・・・皆、聞いてくれ。贄には私の娘を出そう。第四王女のリリーシャ・ルシェルタリアを。王ではなく、一人の父として娘を贄にするというのはとても心が痛む。しかし、今は少しでも可能性があるならばそれに縋りたいのだ」
王が口を開くとその場はすぐに静まり返る。男達は普段の優しい父としての王を知っていた為、その決断に驚きを隠せなかった。
しかし男達は驚く反面、胸をなでおろしていた。〈ルシェルタリア国〉の第四王女リリーシャ・ルシェルタリアといえば黄金色に輝く長く美しい髪に翡翠色の大きな瞳をした国で一番の美少女。
15歳の誕生日を迎えたばかりの純粋な心優しく美しい姫。贄として彼女ほど適した娘はいないだろうとこの場の全員が考えていた。
誰もが考えてはいたが言い出せなかった事を王自らが言い出したのだ。しかも、年の離れた末の娘のリリーシャを王は溺愛していた。そんな愛する娘を贄として差し出すと決めた王は今、どのような思いを胸に抱いているのだろうか。
「異論は・・・ないな。では皆準備を整えてくれ。リリーシャには私から伝える」
男達が呆然としていると王はそう言い残し、その場を去った。
残された男達は王の背が見えなくなると同時にそれぞれのやるべき事をする為に一人、また一人とその場を急ぎ足で後にする。
すべては国のため、愛する娘を差し出すと言った王の思いに報いるために。
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たくさんのお気に入り、コメントありがとうございます!!
通知が来る度に嬉しくて舞い上がっております!!!
読み返す度に自分の納得出来ない点が多く出てきてしまいちまちまと変更させていただいています。
もし、お時間があるようでしたらちらりと読み返していただけたら嬉しいです
これからも頑張って書いて参りますのでどうぞよろしくお願いいたします!!!
応援ありがとうございます!
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