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第2章 ここらあたりで救いがなければ物語としては不十分で即終了だ、でもこれが救い?
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100個の罠を設置した、罠の森天国バージョンが完成して3日後。今日は久しぶりにファル先生の術式講義が始まると思って暗記していたはずの術式たちを思い浮かべながら、ぼんやりと罠ゾーンを見ていた。
最初はやる気もなく、さも面倒くさそうに俺たちが罠について話している中に入り込むと、饒舌にトラップとはなんであるかを延々と語りだしたファル先生。
小柄な虫サイズだから外敵と戦うには罠が必須だったんだろう。やたらと罠について詳しかった。罠には相手を阻害する目的の物と、相手を殺傷する目的の物が合って、それぞれ役割が違うから、設置場所から考える必要があるなって話は初めて聞いた。
そりゃ罠それ単体については、図書室にあるそれ専用の本を読めば構造とか、作るのに必要な材料は判る。だがしかし、罠を設置した事が無いし、設置したら捕まりそうな世の中で、最適な設置場所の見分け方なんか判るわけがない。
餌で誘き寄せて、捕獲する狸とか狐取りの罠とは次元が違うんだ。相手は人間サイズかそれ以上の悪魔。種族によっては鎧がなくとも、皮膚の鱗のみで鉄の矢を弾くのもいる。
単純で簡単な罠だと、傷つけて手負いにして暴れられて逆襲を食らう可能性がある。
斥候の一番手なんてやる悪魔は、指揮官クラスの上級ではなく、功名心に逸った中級辺りが少数で進んでくると思う。中級と言えばインプ10匹を瞬く間に撲殺した御者と同じランク・・・。それが武装して進んできたら、罠があっても震えが止まらない。
最初の斥候だったら、日中ではなく、視界が悪くなる夜を選んでくるだろうから、もしかしたら、今この瞬間に罠にかかった中級悪魔がいるかもしれない。
「おっ、今日もあんたは真面目だねぇ、いい加減自分には才能が有りませんってあきらめて来るかと思ったのに、あれから何日よ?もうすぐ3桁になるじゃない、そろそろ私はもどりたいんだけどなぁ」
「そりゃないですよファル先生、まともになるまでは教えて貰わないと~、それにもうすぐ始まるんでしょ戦、せめて初陣を見守ってくださいよ先生なんだから・・・」
我が見張り小屋を統括する下級悪魔の話によると、ついに隣の領主が中央の魔王からこのあたり一帯の領有権を認められたらしい。それを証明する書付が中央からやってくるみたいだが、その書付を隣の領主が持った瞬間に攻めて来るのが濃厚だそうだ。
対してこちらは、砦の修復、増築が急ピッチで進められ、農奴たちが狩り入れたばかりの麦を砦に運んでいたり、普段は農奴と会うことも無い狩人や木こりたちが総出で周囲の木を伐採して壁を強化したり、罠を作ってたりする。砦は200人が中に籠って戦える規模になり、いざ戦闘となれば、領主一族のことごとくが砦に入り籠城する。
その裏で隣の領主と仲が悪い勢力に声をかけ、背後でゲリラ的に糧食を焼く策に出て、砦が落ちる前に諦めさせる策なんだそうだ。もちろん背を見せたら最後、砦からも打って出て、追い打ちに追い打ちを重ねるまでが作戦なんだろう。
作戦としては旨く行けば、うまく行くけれど、なんとなくどっかで信用しすぎな策でもある。だいたい悪魔だってのに外からの救援を当てにしていると言うのが馬鹿らしい。
いかに仲良しでも、いかに血の繋がりがあったとしても、悪魔が戦場で有利な方に裏切らないわけがない。自分が行っても滅びるだろうと予測された場合、助けに行こうと動くのはかなりの馬鹿か、情というしがらみから逃れられない人間位だ。
この戦、最初に守りに入った方が負ける。
つまり我が領主様は砦にこもった時点で敗北必至だ。
砦に入らずにその周囲を囲む敵を背後から闇に紛れて突き崩し、遠距離からちくちくと術式で嫌がらせ攻撃を続ける方が、対外的には互角か有利をアピールできる。攻めて来る領主と仲の悪い味方として期待できる勢力も、約束上自分の仲間が有利なら、そのまま約束を守った方が得と考えるだろう。
結局信義とは、相手の信じるだけの利益を確保して提供できる関係という前提があっての話で、そうで無いことを忘れると古代秦国の中華統一戦や、二次大戦のドイツやソビエトのだまし討ちとなる。結局のところ約束よりも、自分や自分の陣営がどれだけお得かが大事と言うのは、ゆるぎない歴史の真実だ。
最近の例で言えば選挙もそうだろう。勝ちそうな人にすり寄り、当選後の甘い汁を見据えてサポートフォローするが、いざスキャンダルで当選危うしとなったら、いっきに手のひらを返して一緒になってスキャンダルを暴きたて、叩くことに専念する。
だれだって賭けに負けたくないのは判る。それを否定して、やれ勇気だ、こちらが正義だとか言い出したら、悲惨な結末しか見えてこない。
「駄目ね、今夜はぜんっぜん集中できてない、そんなんじゃ教える価値さえないわね、今夜はもう終わり、もし明日の夜も同じだったら私は帰るから・・・」
ファル先生を怒らせてしまったみたいだ。訓練をこちらがせがんだ癖に、全然集中せずに戦の事ばかり考えていたのを見透かされたのだろう。誰だって生徒が授業を聞いていなかったり、自分の歌を聞かないで駄弁り続けられたら、売れない地下アイドルだって怒りそうだ。しかし表明上彼女たちはそれでも、自らに投資してくれた金額の分だけは怒りを隠して、笑顔で握手するのだろうけれど。
「すみません先生、どうにも戦が怖くて仕方がなくて、このまま戦が始まったら俺なんてどうなるのか・・」
「あほ・・、あんたの実力じゃ怖がったら死ぬだけよ、戦うにも逃げるにも、怖がるなんてのはナンセンス、冷静に強い相手とは戦わず逃げる、弱くて勝てそうで、そのうえ仲間にもならないどうしようもない奴なら闇討ちする、それぐらいの判断を瞬時にしないと駄目、本当、今夜はもういいから、ちょっとそこらへん考えて、黒猫の依頼もあるから仕方なく明日の夜までは居るから・・・」
その体は相変わらず米粒の様に小さいけれど、今晩のファル先生は頼れる先生の様に見えた。
ここで下手な言い訳をしても、仕方がない。今晩は頭を整理する時間と割り切って、寝るとしよう。淡い光を放ちながら去っていくファル先生を見送りながら、自分も小屋へと戻ろうとした時、ファル先生とは違う灯りが揺れるのが見えた気がした。
灯りの色は赤っぽい炎の色。つまり松明か何かだろう。
待ちわびていた敵が来たのか?
最初はやる気もなく、さも面倒くさそうに俺たちが罠について話している中に入り込むと、饒舌にトラップとはなんであるかを延々と語りだしたファル先生。
小柄な虫サイズだから外敵と戦うには罠が必須だったんだろう。やたらと罠について詳しかった。罠には相手を阻害する目的の物と、相手を殺傷する目的の物が合って、それぞれ役割が違うから、設置場所から考える必要があるなって話は初めて聞いた。
そりゃ罠それ単体については、図書室にあるそれ専用の本を読めば構造とか、作るのに必要な材料は判る。だがしかし、罠を設置した事が無いし、設置したら捕まりそうな世の中で、最適な設置場所の見分け方なんか判るわけがない。
餌で誘き寄せて、捕獲する狸とか狐取りの罠とは次元が違うんだ。相手は人間サイズかそれ以上の悪魔。種族によっては鎧がなくとも、皮膚の鱗のみで鉄の矢を弾くのもいる。
単純で簡単な罠だと、傷つけて手負いにして暴れられて逆襲を食らう可能性がある。
斥候の一番手なんてやる悪魔は、指揮官クラスの上級ではなく、功名心に逸った中級辺りが少数で進んでくると思う。中級と言えばインプ10匹を瞬く間に撲殺した御者と同じランク・・・。それが武装して進んできたら、罠があっても震えが止まらない。
最初の斥候だったら、日中ではなく、視界が悪くなる夜を選んでくるだろうから、もしかしたら、今この瞬間に罠にかかった中級悪魔がいるかもしれない。
「おっ、今日もあんたは真面目だねぇ、いい加減自分には才能が有りませんってあきらめて来るかと思ったのに、あれから何日よ?もうすぐ3桁になるじゃない、そろそろ私はもどりたいんだけどなぁ」
「そりゃないですよファル先生、まともになるまでは教えて貰わないと~、それにもうすぐ始まるんでしょ戦、せめて初陣を見守ってくださいよ先生なんだから・・・」
我が見張り小屋を統括する下級悪魔の話によると、ついに隣の領主が中央の魔王からこのあたり一帯の領有権を認められたらしい。それを証明する書付が中央からやってくるみたいだが、その書付を隣の領主が持った瞬間に攻めて来るのが濃厚だそうだ。
対してこちらは、砦の修復、増築が急ピッチで進められ、農奴たちが狩り入れたばかりの麦を砦に運んでいたり、普段は農奴と会うことも無い狩人や木こりたちが総出で周囲の木を伐採して壁を強化したり、罠を作ってたりする。砦は200人が中に籠って戦える規模になり、いざ戦闘となれば、領主一族のことごとくが砦に入り籠城する。
その裏で隣の領主と仲が悪い勢力に声をかけ、背後でゲリラ的に糧食を焼く策に出て、砦が落ちる前に諦めさせる策なんだそうだ。もちろん背を見せたら最後、砦からも打って出て、追い打ちに追い打ちを重ねるまでが作戦なんだろう。
作戦としては旨く行けば、うまく行くけれど、なんとなくどっかで信用しすぎな策でもある。だいたい悪魔だってのに外からの救援を当てにしていると言うのが馬鹿らしい。
いかに仲良しでも、いかに血の繋がりがあったとしても、悪魔が戦場で有利な方に裏切らないわけがない。自分が行っても滅びるだろうと予測された場合、助けに行こうと動くのはかなりの馬鹿か、情というしがらみから逃れられない人間位だ。
この戦、最初に守りに入った方が負ける。
つまり我が領主様は砦にこもった時点で敗北必至だ。
砦に入らずにその周囲を囲む敵を背後から闇に紛れて突き崩し、遠距離からちくちくと術式で嫌がらせ攻撃を続ける方が、対外的には互角か有利をアピールできる。攻めて来る領主と仲の悪い味方として期待できる勢力も、約束上自分の仲間が有利なら、そのまま約束を守った方が得と考えるだろう。
結局信義とは、相手の信じるだけの利益を確保して提供できる関係という前提があっての話で、そうで無いことを忘れると古代秦国の中華統一戦や、二次大戦のドイツやソビエトのだまし討ちとなる。結局のところ約束よりも、自分や自分の陣営がどれだけお得かが大事と言うのは、ゆるぎない歴史の真実だ。
最近の例で言えば選挙もそうだろう。勝ちそうな人にすり寄り、当選後の甘い汁を見据えてサポートフォローするが、いざスキャンダルで当選危うしとなったら、いっきに手のひらを返して一緒になってスキャンダルを暴きたて、叩くことに専念する。
だれだって賭けに負けたくないのは判る。それを否定して、やれ勇気だ、こちらが正義だとか言い出したら、悲惨な結末しか見えてこない。
「駄目ね、今夜はぜんっぜん集中できてない、そんなんじゃ教える価値さえないわね、今夜はもう終わり、もし明日の夜も同じだったら私は帰るから・・・」
ファル先生を怒らせてしまったみたいだ。訓練をこちらがせがんだ癖に、全然集中せずに戦の事ばかり考えていたのを見透かされたのだろう。誰だって生徒が授業を聞いていなかったり、自分の歌を聞かないで駄弁り続けられたら、売れない地下アイドルだって怒りそうだ。しかし表明上彼女たちはそれでも、自らに投資してくれた金額の分だけは怒りを隠して、笑顔で握手するのだろうけれど。
「すみません先生、どうにも戦が怖くて仕方がなくて、このまま戦が始まったら俺なんてどうなるのか・・」
「あほ・・、あんたの実力じゃ怖がったら死ぬだけよ、戦うにも逃げるにも、怖がるなんてのはナンセンス、冷静に強い相手とは戦わず逃げる、弱くて勝てそうで、そのうえ仲間にもならないどうしようもない奴なら闇討ちする、それぐらいの判断を瞬時にしないと駄目、本当、今夜はもういいから、ちょっとそこらへん考えて、黒猫の依頼もあるから仕方なく明日の夜までは居るから・・・」
その体は相変わらず米粒の様に小さいけれど、今晩のファル先生は頼れる先生の様に見えた。
ここで下手な言い訳をしても、仕方がない。今晩は頭を整理する時間と割り切って、寝るとしよう。淡い光を放ちながら去っていくファル先生を見送りながら、自分も小屋へと戻ろうとした時、ファル先生とは違う灯りが揺れるのが見えた気がした。
灯りの色は赤っぽい炎の色。つまり松明か何かだろう。
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同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
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