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第6章「第二次タンネンベルク会戦」
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なだらかな丘陵地帯に所々点在する畑では、小麦の収穫も終わり、働いている農夫の姿は無い。だがもし季節が農繁期であろうと、自分の視界に農夫たちの長閑な作業風景を捉える事は出来なかっただろう。
彼、ポーランド合衆国陸軍、突撃第二師団、第四大隊大隊長グスタフ・フォン・バルフット中佐は赤毛の髪の毛の間から狐種の耳を立てて、丘を渡る風を感じていた。
「もう少しでタンネンベルグ高原につく、あの時、俺たちはあの高原を越えることが出来なかった、背後に七万の味方が居たのにだ、あれから俺たちの何が変わった?俺たちはあの時とは比べ物にならない少数で侵攻している・・・・・・」
彼の背後には進撃開始の合図を待つ部下たち七百名が、それぞれの武器を携えて待機している。
「私たちは変わりましたよ隊長、あの大戦末期のタンネンベルグ高原会戦の際、隊長の指揮する兵士は三十人も居ませんでした、武器も小銃と手榴弾で、機関銃が配備されているのは精鋭のみ。喉から手が出る程欲しかった大砲も結局は配備してもらえなかった、だけど今は違います、機関銃も、大砲も最新のものがあります、あの頃に一緒に戦った兵士は半分になりましたが、それに倍する仲間が加わりました、私たちは強くなったんです」
グスタフの横で、同じ赤毛で同じ狐種の副隊長、パウラ・アデレル・バルフット大尉が答える。
血の様に赤い、おそろいの髪の毛は彼女とグスタフとの間に血縁関係が有るように思えるほどで、事実、この二人の血は直系ではないが繋がっている。
「そうだ、俺たちは強くなった、あの頃、敗残の身ながら、強いドイツに憧れた俺たちはもういない、強いドイツは俺たちが倒したんだ、これはもう抜け殻の死にぞこないを、ちゃんと墓地へと送る為の戦いだ、いいか野郎共!」
グスタフが佐官以上が持つことが許される、指揮棒を天高く振り上げる。
「これからドイツ連邦を潰す!民間人への殺傷、及び民間施設への攻撃は銃殺、俺たちは夜盗でも強盗でもない、中央がなんて言ってこようがかまわない、俺たちは俺たちの戦をするぞ!敵は容赦なく潰せ、いいか、もう一度言うぞ容赦なく潰せ!」
「イエッサー、マイロード!」
大隊の全員が同時に小銃を肩に構える。
「進軍開始!」
この日、ポーランド国境からドイツ連邦へ進軍したのは、グスタフの大隊を含め、一個師団の兵力、一万二千人の兵隊の力だった。
その背後には二個師団が不測の事態に備えており、この三個師団を束ねて一個軍としてドイツ連邦併合作戦が開始された
彼、ポーランド合衆国陸軍、突撃第二師団、第四大隊大隊長グスタフ・フォン・バルフット中佐は赤毛の髪の毛の間から狐種の耳を立てて、丘を渡る風を感じていた。
「もう少しでタンネンベルグ高原につく、あの時、俺たちはあの高原を越えることが出来なかった、背後に七万の味方が居たのにだ、あれから俺たちの何が変わった?俺たちはあの時とは比べ物にならない少数で侵攻している・・・・・・」
彼の背後には進撃開始の合図を待つ部下たち七百名が、それぞれの武器を携えて待機している。
「私たちは変わりましたよ隊長、あの大戦末期のタンネンベルグ高原会戦の際、隊長の指揮する兵士は三十人も居ませんでした、武器も小銃と手榴弾で、機関銃が配備されているのは精鋭のみ。喉から手が出る程欲しかった大砲も結局は配備してもらえなかった、だけど今は違います、機関銃も、大砲も最新のものがあります、あの頃に一緒に戦った兵士は半分になりましたが、それに倍する仲間が加わりました、私たちは強くなったんです」
グスタフの横で、同じ赤毛で同じ狐種の副隊長、パウラ・アデレル・バルフット大尉が答える。
血の様に赤い、おそろいの髪の毛は彼女とグスタフとの間に血縁関係が有るように思えるほどで、事実、この二人の血は直系ではないが繋がっている。
「そうだ、俺たちは強くなった、あの頃、敗残の身ながら、強いドイツに憧れた俺たちはもういない、強いドイツは俺たちが倒したんだ、これはもう抜け殻の死にぞこないを、ちゃんと墓地へと送る為の戦いだ、いいか野郎共!」
グスタフが佐官以上が持つことが許される、指揮棒を天高く振り上げる。
「これからドイツ連邦を潰す!民間人への殺傷、及び民間施設への攻撃は銃殺、俺たちは夜盗でも強盗でもない、中央がなんて言ってこようがかまわない、俺たちは俺たちの戦をするぞ!敵は容赦なく潰せ、いいか、もう一度言うぞ容赦なく潰せ!」
「イエッサー、マイロード!」
大隊の全員が同時に小銃を肩に構える。
「進軍開始!」
この日、ポーランド国境からドイツ連邦へ進軍したのは、グスタフの大隊を含め、一個師団の兵力、一万二千人の兵隊の力だった。
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