くず異世界勇者~こんなくそ世界でも勇者してやるよ~

和紗かをる

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第3章 聞いても意味が判らない真実と他人任せの脱出とか、勇者の立場って奴が・・・。

3-2

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ねぇこれって生きているの、死んでいたら簡単なんだけれど・・・」
「姫様、王国の次期継承者様なんですからもう少し言葉遣いを・・・、ええ残念ながらこいつは生きています、力を極限まで抑えて、姫様の術式で魂に傷まで与え、さらには魔法少女よって四肢にも呪いを付与しております、ですが、死んではいません・・・」
 どこかで来たことがある声たち。
 そんなに昔の話じゃない。つい数か月前には、敵対心も警戒心も無く、俺からは普通にしゃべっていた相手達の声だ。
 ああ、エルフはどうしたんだろうか?
 あのクールビューティー気取っている割に簡単にデレる生き物は無事なんだろうか?
 最初は険悪だったが、魔王城に乗り込む辺りでは色恋は無かったにせよ、背中を預けられるくらいにはお互い信じられていたと思う。
 あれさえも演技で、人類にとって魔王の次に災害の勇者を篭絡するためのものだったと言われたら、人間不信じゃすまない。
 もしそうならば、こんな世界はイラナイ。
 こんな人生もイラナイ。
 滅びの呪いでも受けて、苦しんで消えてしまえばいい。
「そう、生きているのね、なら勇者、あなたは人類の敵に認定されました、貴方が関わったすべての人、すべての出来事は無かったことにされます、貴方は、そうね貴方は死ぬことが出来ないらしいから、残念ですけど気がくるってしまうまでこちらに封印させていただきます」
「・・・お前らもか・・・」
「わたくし達?ああ、王族は姉も含めて人類に残された勇者という災害を封印する功績で免罪です、もちろん協力者もね、貴方もお判りでしょう?貴方が何をしてきたのかを」
「・・・人・・・助けしか・・・してない」
 俺はその時々で、助けられる人を助けただけだ。それが勇者と呼ばれるものの使命だったから。
「人助け?いいえ貴方はこの王国だけでなく、隣国も含めて思うままに我儘に、実に自分勝手に介入し、それで誰が傷つくことも勝手な妄想で勇者と言う美名のもとに正当化して、一人を助ける為に多数を犠牲にしてきただけですわ、だから直接救われた者は少数ですが感謝もしていましょう、しかしそのおかげで死んだ数多くの者は貴方を憎み、恨み、呪っております」
 何のことだ?この妹姫はなにを言っているんだ。俺が一体何をしたと言うんだ。
「あなたが救った者の中に、西の巫女姫が居ますわね、肉体関係もあったとか・・・、彼女は異端者で追放され、その先で人知れずに死ぬ運命でした、しかし貴方が救ってしまった、そのおかげで彼女は無謀にも神と敵対し、王国だけでなく各地で自爆テロ?を行い数十万の無辜の民を殺害させています、ああ、自爆テロなる言葉と方法を教えたのも貴方ですわね、しかも悪い事に彼女は各国共同軍に追いつめられると自らの信者1万全員に自爆テロを命じて逃亡したのです」
 ああ、あの金髪白服巫女姫の事か。あいつ生きてたんだな。細くて白くて柔らかくて、抱いたのは数回だけだったが、確かに寝物語で巨大な敵に立ち向かう方法として、前の世界で苦労していたテロの事を話したな。
 こっちの世界では時限爆弾とかは作れないから、細菌で病気をばらまいたりするのが有効かもとか言った気がする。まさか本当にやるとは思わなかったが、そうか、彼女もそこまで追い詰められていたんだ。勇者が監禁される世の中だもんな。
「それに貴方がその後で救った孤児院の子供たち、全員がカルト?なる集団を形成し、ネズミ講なる手法や、おれおれ詐欺?なる手法で経済に打撃を与えたとも聞きます、経済崩壊した街では孤児院の子供たちの千倍の人が飢餓に陥り亡くなったとか、そのすべての罪が貴方にあります」
 ああ、あの少年少女たちか。親が騙され殺されて、大人に復讐したいとか泣いていたもんな。それでついつい色々な詐欺の手法を教えてしまったんだ。
復讐を誓って泣いている子供に、真っ当な仕事をすればいつの日にか見返すことが出来るぜ的な偽善者の言葉は言えなかったんだ。
だって究極的に勇者は子供の味方であるべきだろう?生きる気力も僅かしか持たず、明日の希望を失った子供を直接的に救いたいと思っただけだ。
搾取する孤児院長を締め上げただけじゃ足りないのは仕方がないだろう。あいつらだって生きていかなきゃいけなかったんだからよ。
「そして最後に、貴方が攻め込んだ魔王城、あれは、あれは、この王国の継承権第1位の、わたくしの兄様のお城でしたのよ、誰に騙されたかは存じませんが、兄がやっと魔王軍の一部を捕虜として王国の継承を確かな物にした矢先に、何を狂ったか勇者が現れ、幾多の騎士が亡くなり、将軍も内政官も皆殺し、さらにはせっかく捕虜にした魔王軍の一部も逃がすだなんて、誰がどうみても貴方は人類の敵でしかありません」
「そんな・・・だって。あの時は・・・」
 確かに魔王城と思って突撃したが、その話をした時、誰も反対はしなかったじゃないか。その前の日に、妹姫様は俺の部屋に夜中に訪れて、魔王は滅ぼさなければなりませんとか、言ってなかったか?その後はなんかいい気分になって、いつもはガードが堅い妹姫様がなんかいい雰囲気でしな垂れかかってきて、初めての関係になったんじゃないのか?
「そう、貴方はわたくしが王国戦士と婚約していたにも関わらず、勇者の力を使って堕落に貶め、初めてを奪った、無理やりに・・・、それがどれだけの屈辱か・・・、わたくし個人としても、王国の民の総意でもあなたは許されません、それにわたくしだけではありません、それ以外にも無理やりに奪われたという訴えが多数寄せられています、王国の総意でも貴方は許されないのです」
 それ以外?あの肩までショートボブのメイドとか貴族奥さんとか、商人ギルド長の娘とか、別の地方領主の家では男も女も交えての派手なパーティーはあったが、全部同意というか、向こうから求められた事ばかりで、俺からアプローチしたのは妹姫様とエルフぐらいなものだ。
 妹姫様にアプローチしたのは、姉姫様との婚約が怖かったと言うのが実際で、流石に王様も姉姫と妹姫双方の婿になれとは言わないだろうと思ってのことだ。
エルフに関していえば、最終的にはい感じになったかもしれんが、手は出せなかった。無茶苦茶そっち方面は拒否されていたからな、無理に関係を迫るとか、それで奪っても
精神的にも肉体的にも気持ちの良い物じゃない。
 冷めた関係でやると後悔しか残らないのは、前世で知っていた。
「あなたの罪は自覚しましたね、魂の牢獄に捕らえるためには必要な事だったのです、これから貴方は生ける屍となるでしょう勇者様、短い時間しか一緒には居ませんでしたけれど、やっぱり出会った最初にわたくしが感じた通り、貴方はクズでしかありませんでしたわね」
「お、お前・・・・くっ、くそ」
 妹姫が何かの術式を構築、それをゆっくりと俺の体の中に埋め込んでいく。痛みはない。だが全身がだるくなり、ただでさえ勇者スキルの残滓の様な物で意識を保っていたのが、電池が切れる様に闇の中へと落ちていった。
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