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第3章 聞いても意味が判らない真実と他人任せの脱出とか、勇者の立場って奴が・・・。
3-1
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んとか妹姫様一向に追いついた俺は、なんとなく疎外感を味わいながらも、ここで逃げ出しても意味は無いと思い、一行の後をとぼとぼとついて歩いた。目的地は王城とかって聞いたけど、なんとなく道がずれて居る様な気もするがそれ聞ける雰囲気じゃない。
妹姫様は王国戦士と並んで、なんだか不機嫌な顔で戦闘歩いているし、槍の聖騎士と魔法少女が二列目で左右を警戒しながら歩いている。
最後尾?がエルフで、その後ろに俺が居るって状態でもうなんか他人みたいな感じだ。
たまにエルフが俺に対し、何かを言おうとするのだが、敏感に気づいた妹姫様が軽く視線を向けると、その言葉を飲み込んでしまう。
いいけどね、どうせエルフの言葉なんか悪口以上で罵詈雑言以下のレベルでしかないんだから。会話なんか無くたって、意外に一人でも生きて言えるんだからな。
なんて中学生時代の実体験を思い出しながら、とぼとぼとぼとぼと無言でひたすらに歩く。
あ~暇だな。
魔物も居ないし、つまらない。目的地も知らないからその先の展開を想像する事も出来ない。本当、俺って勇者だよね?怒声を浴びせたくなるけど、自重する。
我儘で使えない子認定されたら、異世界で完全ぼっちになっちまう。
それは流石に嫌だ。路銀もないしね。
ピコーン
脳内で警報が発令された。
緊急性は低い様で、それほど激しい警報じゃないけど、それでも何か異変がある事は間違いないだろう
すっと懐から投擲用のナイフを出して、左右を警戒。
すると、正面にうっすらと土煙を発見。魔物にでも誰か襲われたのか。
一応ここは王国の公道で、日の光も高い事から真昼間だ。魔物が公道の旅人を狙うにしては怪しい。
土煙を見ていると、次第にズーム機能の様に視界が変わり、土煙の元が見えて来た。
豪華な馬車が横倒しになり、お馬さんが苦しそうにあがいている、それだけならば馬車の事故かとも思うが、その周囲にはあきらかな武装兵が数十名、馬車を囲んでいる。馬車に背を向けている事から護衛兵の類だろう。
対峙しているのは、知識のない俺からすると大きな熊に似た生き物が4頭。その熊は真っ黒の鎖で繋がれており、その先を握っている黒ずくめが同じく4人。
こいつらとは別に、これも黒ずくめの鎧に赤いラインの入ったおしゃれな剣士が十数名。
数だけならば護衛兵と大差ないが、熊の存在が大きいらしい。
バァンと熊の一撃で護衛兵がなぎ倒されている。
魔法使いの護衛も隠れていたのか、熊に向けて炎の槍が飛ぶが、狙いが甘く簡単に避けられている。
そして馬車の陰からチラリ。
真っ白い服、真っ白いベレー帽みたいな帽子。金色の長い髪に緑色の瞳を持った美少女を発見。
体つきは小さいのにふくよか。魔法少女の体に妹姫様のスタイルを持ち、手には先端が金色で、持ち手辺りが白い棒を持っている。三蔵法師あたりが持っていそうな錫杖っぽい。
「行ってみるか・・」
妹姫様と王国戦士はまだ前方で繰り広げられている戦闘には気づいていない。なにか異変がありそうだとは見ているだろうが、それが人対人プラス熊の戦闘とは判っていなさそうだ。
俺は最後尾から、そんな妹姫様と王国戦士の頭上を一足飛びに飛び越えて、現場に急行する。
急がなければ。
さっそうと現場に駆け付け、悪者を退治して美少女に感謝され、さらには勇者様一行がいつの間にか妹姫様一行になってしまった状況を変えられるかもしれない。
今後の為には是非とも変えなければならない。
そうじゃなきゃ、居づらいったらない。
そんな切実な思いを胸におれは現場にさっそうと現れる。
「そこまでだっ、悪者ども!」
ポーズを決めて指さしながら、格好よく大見えを切ったつもりだが、相手は完全に無視。お互いがお互いとの戦いに夢中で、颯爽と登場した勇者様をガン無視くれやがった。
「こいつらっ、やめろって言ってるだろう」
今にも護衛兵の頭を殴り飛ばそうとしている熊の頭を、延髄斬り気味の蹴りで打倒す。魔物だか何だか知らんが、熊の見た目なら脳も頭にあるだろう。俺の蹴りで脳を揺らされた熊は、数歩は歩けたが、すぐに白目をむいてダウンした。
「加勢だとっ、ええい面倒な」
熊を操っていた黒ずくめ。声からすると、可愛い少女の物では当然なく、低いおっさんの声だった。
はい、確定。おっさん側が敵ね。だっておっさんたちが襲っている方には可愛い少女が居るんだもん。古今東西、可愛い子とおっさんが争っていれば、9割以上の確率でおっさんが悪いことは確定している。
「一応言っとくが俺は王国公認の勇者だ、これ以上狼藉をするなら全員痛い目を見る事になるけど、それでもいい奴はかかってこい」
なんか特撮系の悪者チックなセリフだったが、とっさにこれしか出なかったんでしょうがない。俺は演劇とか、朗読とか苦手なんだよ。
「王国だと、くそっ、やはり王国が勇者を得たって話は本当だったか、それにここに来るって事はやっぱり教会もすでに・・・」
「なんか、意味深な説明セリフありがとっ、だが、それでもお前らの罪は消えないぜ、何せお前らは寄ってたかって美少女を襲ったんだからな、それは万死に値する」
いうや否や、投擲ナイフで残り3頭の熊を拘束している鎖を切断。さらに勇者好スキルさんを発動して、熊に錯乱の術式を飛ばす。
「ぐぉぉっん」
錯乱の術式に侵された単純な熊さんたちは、まず目の前で一まで自分たちをいい様に操っていた黒ずくめを襲う。
味方と言うか、自分の武器と思っていた熊に襲われた黒ずくめはなすすべもなくご臨終された。残りの剣士たちもその様子を見て、一斉に逃げ出す。護衛兵が追撃しようとする奴らと、何故か助けた俺に対して剣を向けてくる奴らに分かれた。
え?ちょっとなんで俺?悪いのはあっちだよね。目の前でお前ら見ていたよね、俺が熊を蹴って昏倒させたり、投擲ナイフと錯乱術式であいつら倒したのを。
ちなみに追撃しようとしていた一団は、錯乱している熊さんのお陰で逃げる相手を追うのを諦めて、俺を囲む集団に合流してきた。
「ちょっと待てよ、なんなのお前らは、助られてこの態度なの?命の恩人は邪魔だから抹殺する病気にでもかかっているのかよ」
「うるさい、お前こそなんだ、そんな盗賊だか暗殺者だか良く判らぬ風体で勇者だと?しかも王国の公認勇者とは嘘も大概にしろっ、だいたい王国の勇者様ならば、仲間はどうした、妹姫様と一緒に居るのが普通だろうが」
妹姫様一行とは現在ただいま絶賛空気が悪くて別行動中です。とか言っても信じないんだろうなぁ。
大体なんだって、あんなに空気が悪いんだ?
俺がなんか悪いことしたか?
ちょぉっとだけ、愛のない愛について肉体を使って言語しただけじゃないか。別に言いふらした訳じゃないから、原因別かもだけど。それ以外って言ってみれば正当防衛と、頑張りましたで賞もらえるくらいに頑張っただけだよね。
う~む、解せぬ。
今晩辺り、あのいけ好かない王国戦士辺りを拉致して、拷問の上に口を割らせるか。
いじめられっ子は切れると怖いんだぞ。
無抵抗にいじめられているなんて思わない方がい。
「おい、なんとか言ったらどうなんだ」
「あぁっ?うるさいっ、俺は真面目にこれからの事を考えてたんだよっ、救ってもらったのにお礼の一つも言えないダメダメな護衛兵には用は無いんだって、だいたい熊さんの1頭も倒せずにオタついていたおっさんに文句言われるとか、知らん」
「ぐっこの、こいつは勇者を騙る偽物だ、面倒になる前に斬り捨ててやろう」
包囲の輪が縮む。数は12名。投擲ナイフの数は足りていないけど、やってやれない数じゃない。勇者スキルさんを舐めるなよ。
「待ちなさい、確かにそちらの方がおっしゃる通りです、私たちが救われたのは事実です、お礼をせずに斬りかかるなどは神様もお許しになるはずがありません、隊長、下がりなさい」
「姫巫女様、しかしこの様な怪しい風体の男など・・・」
「隊長、あなたの忠誠も、誠実さも、その真面目さもすべて神が愛する事柄です、しかしその頑迷さだけはいけません、神の前に人は平等、助けられたからお礼をする、それは神の教えに沿った事だとわたくしは信じております」
美少女の言葉に包囲していた護衛兵がさがる。替わりに馬車の裏で震えていた白服美少女が目に出てくる。
「申し訳ありません勇者様、わたくしたちは巡礼の旅に出ております姫巫女とその護衛の方々、助けて頂いてなんていえば宜しいかわかりませんが、なにとぞ感謝と慈悲をお願いいたします」
美少女が俺の手を取り、膝を折る。
なんか、儀式みたいな綺麗な動きで、俺の中に溜まっていた黒い感情が洗い流されるようだ。美少女だし。上から見ると胸元すごいし。
「あ、ああ、判ってくれるならいいんだよ、別にこっちはあんたたちに喧嘩を売りたいわけじゃない、だけどそっちが頭から嘘だ偽物だと言うなら、その証拠はみせてやろうかって思っただけでな」
「本当に申し判りません」
頭を下げるベレー帽。その位置で頭を下げるとベレー帽しか見えない。
しかし、宗教の人か~転生物とかファンタジー系には付き物感あって今まで気にしていなかったけど、俺って宗教とか苦手なんだよね。ファンタジー系の本とかだったら、神とか教えとかそんなに窮屈に描かれていないけど、実際の宗教って閉鎖的で無宗教な俺には近寄りがたい存在だったし。中学時代からの友人が所謂新興宗教にはまって、家族離散したとかあったから余計にだ。
「とりあえず、そのままじゃ話にもならない頭を上げてくださいよッと」
手を取られていたので、ひょいッと白服美少女を立たせる。
「あっ」
するとお約束かの様に白服美少女は、俺の腕の中にすっぽり。
でかい、肉厚だ。不定形圧力。この世界、ブラと言う概念が無いのだろうか。
つまり、柔らかい。
「ああっ、申し訳ありません」
赤面しつつ離れる白服美少女。周囲の護衛兵たちから歯ぎしりみたいな音が聞こえるが、無視無視、なにせ不可抗力って奴だしな。これくらいの役得はあっても許されるって事で。
「まあまあ、謝ってばかりじゃ話にもならないし、襲われたばっかりでその場にずっと居るのおかしいだろ、どっか目的地があったんだろうし、準備するといいよ、俺の方はもうすぐ、ほら仲間来たし」
目の端に全力疾走するエルフが見える。妹姫様は移動速度で見れば一般人と変わらないので、まだ豆粒状態だ。魔法少女は王国戦士の肩に担がれているのが見える。小さいからな~足の長さで不利だし、魔法使い系で走るの早いとかはないからなぁ~。
「えっ、あっ、そうですね、私たちはこの先の聖堂に向かっておりますので、街にお泊りのであれば、こちらから使いを出します、隊長?」
「はっ巫女姫様、準備は整っております」
いつの間にか倒れていた馬車は元に戻されて、お馬さんも準備万端。ついでに倒れていた護衛兵の死体も片付けられ証拠隠滅状態になっていた。これはこれで凄い能力。犯罪系漫画とかで掃除屋名乗れるぞ。
「じゃっそんな感じでまた後で、俺はこっちの相手もあるから」
結構な鬼の形相で迫るエルフ。
いつもはクール系っぽいのに、なんかすんごい目元が怒ってるし、声が届かない距離なのに口元が動いている、勇者スキルで読唇術使えない訳じゃないけど、聞きたくない。絶対罵詈雑言に決まっているんだから。
「このっ勇者!おいっ」
近づいて来たエルフは俺から数十歩の距離に至ると、前回の戦闘で自分の物にしたのかドロップキックを華麗に放って来た。
「甘い・・・」
こっちは動かない目標じゃないし、わざと受けて跳ね返すとかって興行集団の一員でもない。半歩ずれるだけで、空中にあるエルフをスルー。
ただスルーするだけじゃつまらないので、俺の前を通過する刹那で、頭にデコピンかまそうとしたら、エルフの奴、逆に俺の放ったデコピンの指の先に食いつこうと口を動かしてきやがった。やるな、結構な対応力だ。
しかして、俺の伸ばした指はエルフの額には届かずに、エルフも俺の指をかじることが出来ず、唇に触れるか触れないか位の動きで通過した。
「くっお前、何を」
少し離れた距離で着地したエルフが、まるでナ~イショって言ってるかの様に自分の唇に指をあてて、こっちを睨んでいる。あれ?なんだろう意外に可愛く見えるじゃないの。
「えっと、勇者の役割だ、多分・・・、襲われている人が居たら、それが手の届く範囲であれば猶更助けるだろう?ってか勇者なら助けるんが当然で、見捨てるとか駄目だろう」
サムズアップの状態で、倒れている熊さんと、走り去ろうとする馬車を指さす。
犯罪系漫画の掃除屋さんたちも、流石に巨体の熊を証拠隠滅する事は出来ず、馬車の運行に邪魔にならない様に端っこに移動させていただけで残っていた。あれ、もしかして倒れている熊さんいなかったら、俺っていきなり走り出して逃げようとかしていた風にみえちゃったんじゃないか。
「それはそうだが、なんで一人で先走る、勇者だからとて一人で戦う道理はない」
「だってそれは雰囲気悪かったじゃん、なんだろう再会した時って俺の事いらない人みたいなかんじじゃなかった?あの貴族の館から、俺じゃなきゃ1日で追いつけない距離にいたよなぁ、それってどう考えても置き去りにしてるよな、夜にエルフは俺があの場所で野営していたの知っていたはずなのに、声さえかけずに出ていくしん、なら俺がちょこっと先行したぐらい問題ないんじゃない、ほらっ1日も距離離れていないし」
あっやべっ。心の中にとどめておくつもりの声が出ちった。
だがまっいっか。事実だし。俺はそんなに間違ってないし。
「いやそれは、すまなかったな、と言うか、何故か朝ごはんを食べた後、中庭でも散策しながら待とうとしていた妹姫様が突然方針を変えてな、勇者は一時的に別の事で忙しいから先行するって命令を出したせいで、勇者に密命でもあるなら仕方ないと私は思って声かけずにな・・・」
えっと、冷や汗状態。あ~、そっか。つまりだ、朝飯食べ終わっても来ない俺を待つつもりだったけど、中庭出たら嬌声が聞こえて来たと。それで怒りのあまり置いてきぼりにしようって妹姫様が指示したって事か。残りの王国戦士、魔法少女、槍の聖騎士は身分的に言えば妹姫様には逆らえないし、エルフだってどんな立場か知らないが、妹姫様よりも立場が上って事は無いだろう。もしこのエルフが実はエルフ大帝国のお姫様って事は無いだろう。お姫様は華麗にドロップキックとか決めない者だ。
「私だけでも少し勇者を待ってから二人で追いつけるように走るって言ったんだが・・・、そうしたらあなたが傷つくだけだから、命令だからと言われて仕方がなく」
確かに、勇者のあんな所やこんな所を見せられたらショックだろうな。一応エルフも薄い胸部持ちとは言え女性なんだから。あれっそういえばエルフって長命種だったよな。エルフもこの見た目で100歳オーバーって事もあるのか?ちょっと違和感ってか嫌だな。
「あ~判った判った、それは良いからとりあえず俺は人助けして頂けって事で、判った?」「判った・・・」
クールビューティーが壊れて、デレ期でも来たのか素直にコクンと頷くエルフ。あざとい・・・。
結局妹姫様と合流した俺は、こっそり妹姫様に謝罪して事なきを得た。うん、据え膳食うと結構面倒なことになる。今後は注意していこう。
妹姫様は王国戦士と並んで、なんだか不機嫌な顔で戦闘歩いているし、槍の聖騎士と魔法少女が二列目で左右を警戒しながら歩いている。
最後尾?がエルフで、その後ろに俺が居るって状態でもうなんか他人みたいな感じだ。
たまにエルフが俺に対し、何かを言おうとするのだが、敏感に気づいた妹姫様が軽く視線を向けると、その言葉を飲み込んでしまう。
いいけどね、どうせエルフの言葉なんか悪口以上で罵詈雑言以下のレベルでしかないんだから。会話なんか無くたって、意外に一人でも生きて言えるんだからな。
なんて中学生時代の実体験を思い出しながら、とぼとぼとぼとぼと無言でひたすらに歩く。
あ~暇だな。
魔物も居ないし、つまらない。目的地も知らないからその先の展開を想像する事も出来ない。本当、俺って勇者だよね?怒声を浴びせたくなるけど、自重する。
我儘で使えない子認定されたら、異世界で完全ぼっちになっちまう。
それは流石に嫌だ。路銀もないしね。
ピコーン
脳内で警報が発令された。
緊急性は低い様で、それほど激しい警報じゃないけど、それでも何か異変がある事は間違いないだろう
すっと懐から投擲用のナイフを出して、左右を警戒。
すると、正面にうっすらと土煙を発見。魔物にでも誰か襲われたのか。
一応ここは王国の公道で、日の光も高い事から真昼間だ。魔物が公道の旅人を狙うにしては怪しい。
土煙を見ていると、次第にズーム機能の様に視界が変わり、土煙の元が見えて来た。
豪華な馬車が横倒しになり、お馬さんが苦しそうにあがいている、それだけならば馬車の事故かとも思うが、その周囲にはあきらかな武装兵が数十名、馬車を囲んでいる。馬車に背を向けている事から護衛兵の類だろう。
対峙しているのは、知識のない俺からすると大きな熊に似た生き物が4頭。その熊は真っ黒の鎖で繋がれており、その先を握っている黒ずくめが同じく4人。
こいつらとは別に、これも黒ずくめの鎧に赤いラインの入ったおしゃれな剣士が十数名。
数だけならば護衛兵と大差ないが、熊の存在が大きいらしい。
バァンと熊の一撃で護衛兵がなぎ倒されている。
魔法使いの護衛も隠れていたのか、熊に向けて炎の槍が飛ぶが、狙いが甘く簡単に避けられている。
そして馬車の陰からチラリ。
真っ白い服、真っ白いベレー帽みたいな帽子。金色の長い髪に緑色の瞳を持った美少女を発見。
体つきは小さいのにふくよか。魔法少女の体に妹姫様のスタイルを持ち、手には先端が金色で、持ち手辺りが白い棒を持っている。三蔵法師あたりが持っていそうな錫杖っぽい。
「行ってみるか・・」
妹姫様と王国戦士はまだ前方で繰り広げられている戦闘には気づいていない。なにか異変がありそうだとは見ているだろうが、それが人対人プラス熊の戦闘とは判っていなさそうだ。
俺は最後尾から、そんな妹姫様と王国戦士の頭上を一足飛びに飛び越えて、現場に急行する。
急がなければ。
さっそうと現場に駆け付け、悪者を退治して美少女に感謝され、さらには勇者様一行がいつの間にか妹姫様一行になってしまった状況を変えられるかもしれない。
今後の為には是非とも変えなければならない。
そうじゃなきゃ、居づらいったらない。
そんな切実な思いを胸におれは現場にさっそうと現れる。
「そこまでだっ、悪者ども!」
ポーズを決めて指さしながら、格好よく大見えを切ったつもりだが、相手は完全に無視。お互いがお互いとの戦いに夢中で、颯爽と登場した勇者様をガン無視くれやがった。
「こいつらっ、やめろって言ってるだろう」
今にも護衛兵の頭を殴り飛ばそうとしている熊の頭を、延髄斬り気味の蹴りで打倒す。魔物だか何だか知らんが、熊の見た目なら脳も頭にあるだろう。俺の蹴りで脳を揺らされた熊は、数歩は歩けたが、すぐに白目をむいてダウンした。
「加勢だとっ、ええい面倒な」
熊を操っていた黒ずくめ。声からすると、可愛い少女の物では当然なく、低いおっさんの声だった。
はい、確定。おっさん側が敵ね。だっておっさんたちが襲っている方には可愛い少女が居るんだもん。古今東西、可愛い子とおっさんが争っていれば、9割以上の確率でおっさんが悪いことは確定している。
「一応言っとくが俺は王国公認の勇者だ、これ以上狼藉をするなら全員痛い目を見る事になるけど、それでもいい奴はかかってこい」
なんか特撮系の悪者チックなセリフだったが、とっさにこれしか出なかったんでしょうがない。俺は演劇とか、朗読とか苦手なんだよ。
「王国だと、くそっ、やはり王国が勇者を得たって話は本当だったか、それにここに来るって事はやっぱり教会もすでに・・・」
「なんか、意味深な説明セリフありがとっ、だが、それでもお前らの罪は消えないぜ、何せお前らは寄ってたかって美少女を襲ったんだからな、それは万死に値する」
いうや否や、投擲ナイフで残り3頭の熊を拘束している鎖を切断。さらに勇者好スキルさんを発動して、熊に錯乱の術式を飛ばす。
「ぐぉぉっん」
錯乱の術式に侵された単純な熊さんたちは、まず目の前で一まで自分たちをいい様に操っていた黒ずくめを襲う。
味方と言うか、自分の武器と思っていた熊に襲われた黒ずくめはなすすべもなくご臨終された。残りの剣士たちもその様子を見て、一斉に逃げ出す。護衛兵が追撃しようとする奴らと、何故か助けた俺に対して剣を向けてくる奴らに分かれた。
え?ちょっとなんで俺?悪いのはあっちだよね。目の前でお前ら見ていたよね、俺が熊を蹴って昏倒させたり、投擲ナイフと錯乱術式であいつら倒したのを。
ちなみに追撃しようとしていた一団は、錯乱している熊さんのお陰で逃げる相手を追うのを諦めて、俺を囲む集団に合流してきた。
「ちょっと待てよ、なんなのお前らは、助られてこの態度なの?命の恩人は邪魔だから抹殺する病気にでもかかっているのかよ」
「うるさい、お前こそなんだ、そんな盗賊だか暗殺者だか良く判らぬ風体で勇者だと?しかも王国の公認勇者とは嘘も大概にしろっ、だいたい王国の勇者様ならば、仲間はどうした、妹姫様と一緒に居るのが普通だろうが」
妹姫様一行とは現在ただいま絶賛空気が悪くて別行動中です。とか言っても信じないんだろうなぁ。
大体なんだって、あんなに空気が悪いんだ?
俺がなんか悪いことしたか?
ちょぉっとだけ、愛のない愛について肉体を使って言語しただけじゃないか。別に言いふらした訳じゃないから、原因別かもだけど。それ以外って言ってみれば正当防衛と、頑張りましたで賞もらえるくらいに頑張っただけだよね。
う~む、解せぬ。
今晩辺り、あのいけ好かない王国戦士辺りを拉致して、拷問の上に口を割らせるか。
いじめられっ子は切れると怖いんだぞ。
無抵抗にいじめられているなんて思わない方がい。
「おい、なんとか言ったらどうなんだ」
「あぁっ?うるさいっ、俺は真面目にこれからの事を考えてたんだよっ、救ってもらったのにお礼の一つも言えないダメダメな護衛兵には用は無いんだって、だいたい熊さんの1頭も倒せずにオタついていたおっさんに文句言われるとか、知らん」
「ぐっこの、こいつは勇者を騙る偽物だ、面倒になる前に斬り捨ててやろう」
包囲の輪が縮む。数は12名。投擲ナイフの数は足りていないけど、やってやれない数じゃない。勇者スキルさんを舐めるなよ。
「待ちなさい、確かにそちらの方がおっしゃる通りです、私たちが救われたのは事実です、お礼をせずに斬りかかるなどは神様もお許しになるはずがありません、隊長、下がりなさい」
「姫巫女様、しかしこの様な怪しい風体の男など・・・」
「隊長、あなたの忠誠も、誠実さも、その真面目さもすべて神が愛する事柄です、しかしその頑迷さだけはいけません、神の前に人は平等、助けられたからお礼をする、それは神の教えに沿った事だとわたくしは信じております」
美少女の言葉に包囲していた護衛兵がさがる。替わりに馬車の裏で震えていた白服美少女が目に出てくる。
「申し訳ありません勇者様、わたくしたちは巡礼の旅に出ております姫巫女とその護衛の方々、助けて頂いてなんていえば宜しいかわかりませんが、なにとぞ感謝と慈悲をお願いいたします」
美少女が俺の手を取り、膝を折る。
なんか、儀式みたいな綺麗な動きで、俺の中に溜まっていた黒い感情が洗い流されるようだ。美少女だし。上から見ると胸元すごいし。
「あ、ああ、判ってくれるならいいんだよ、別にこっちはあんたたちに喧嘩を売りたいわけじゃない、だけどそっちが頭から嘘だ偽物だと言うなら、その証拠はみせてやろうかって思っただけでな」
「本当に申し判りません」
頭を下げるベレー帽。その位置で頭を下げるとベレー帽しか見えない。
しかし、宗教の人か~転生物とかファンタジー系には付き物感あって今まで気にしていなかったけど、俺って宗教とか苦手なんだよね。ファンタジー系の本とかだったら、神とか教えとかそんなに窮屈に描かれていないけど、実際の宗教って閉鎖的で無宗教な俺には近寄りがたい存在だったし。中学時代からの友人が所謂新興宗教にはまって、家族離散したとかあったから余計にだ。
「とりあえず、そのままじゃ話にもならない頭を上げてくださいよッと」
手を取られていたので、ひょいッと白服美少女を立たせる。
「あっ」
するとお約束かの様に白服美少女は、俺の腕の中にすっぽり。
でかい、肉厚だ。不定形圧力。この世界、ブラと言う概念が無いのだろうか。
つまり、柔らかい。
「ああっ、申し訳ありません」
赤面しつつ離れる白服美少女。周囲の護衛兵たちから歯ぎしりみたいな音が聞こえるが、無視無視、なにせ不可抗力って奴だしな。これくらいの役得はあっても許されるって事で。
「まあまあ、謝ってばかりじゃ話にもならないし、襲われたばっかりでその場にずっと居るのおかしいだろ、どっか目的地があったんだろうし、準備するといいよ、俺の方はもうすぐ、ほら仲間来たし」
目の端に全力疾走するエルフが見える。妹姫様は移動速度で見れば一般人と変わらないので、まだ豆粒状態だ。魔法少女は王国戦士の肩に担がれているのが見える。小さいからな~足の長さで不利だし、魔法使い系で走るの早いとかはないからなぁ~。
「えっ、あっ、そうですね、私たちはこの先の聖堂に向かっておりますので、街にお泊りのであれば、こちらから使いを出します、隊長?」
「はっ巫女姫様、準備は整っております」
いつの間にか倒れていた馬車は元に戻されて、お馬さんも準備万端。ついでに倒れていた護衛兵の死体も片付けられ証拠隠滅状態になっていた。これはこれで凄い能力。犯罪系漫画とかで掃除屋名乗れるぞ。
「じゃっそんな感じでまた後で、俺はこっちの相手もあるから」
結構な鬼の形相で迫るエルフ。
いつもはクール系っぽいのに、なんかすんごい目元が怒ってるし、声が届かない距離なのに口元が動いている、勇者スキルで読唇術使えない訳じゃないけど、聞きたくない。絶対罵詈雑言に決まっているんだから。
「このっ勇者!おいっ」
近づいて来たエルフは俺から数十歩の距離に至ると、前回の戦闘で自分の物にしたのかドロップキックを華麗に放って来た。
「甘い・・・」
こっちは動かない目標じゃないし、わざと受けて跳ね返すとかって興行集団の一員でもない。半歩ずれるだけで、空中にあるエルフをスルー。
ただスルーするだけじゃつまらないので、俺の前を通過する刹那で、頭にデコピンかまそうとしたら、エルフの奴、逆に俺の放ったデコピンの指の先に食いつこうと口を動かしてきやがった。やるな、結構な対応力だ。
しかして、俺の伸ばした指はエルフの額には届かずに、エルフも俺の指をかじることが出来ず、唇に触れるか触れないか位の動きで通過した。
「くっお前、何を」
少し離れた距離で着地したエルフが、まるでナ~イショって言ってるかの様に自分の唇に指をあてて、こっちを睨んでいる。あれ?なんだろう意外に可愛く見えるじゃないの。
「えっと、勇者の役割だ、多分・・・、襲われている人が居たら、それが手の届く範囲であれば猶更助けるだろう?ってか勇者なら助けるんが当然で、見捨てるとか駄目だろう」
サムズアップの状態で、倒れている熊さんと、走り去ろうとする馬車を指さす。
犯罪系漫画の掃除屋さんたちも、流石に巨体の熊を証拠隠滅する事は出来ず、馬車の運行に邪魔にならない様に端っこに移動させていただけで残っていた。あれ、もしかして倒れている熊さんいなかったら、俺っていきなり走り出して逃げようとかしていた風にみえちゃったんじゃないか。
「それはそうだが、なんで一人で先走る、勇者だからとて一人で戦う道理はない」
「だってそれは雰囲気悪かったじゃん、なんだろう再会した時って俺の事いらない人みたいなかんじじゃなかった?あの貴族の館から、俺じゃなきゃ1日で追いつけない距離にいたよなぁ、それってどう考えても置き去りにしてるよな、夜にエルフは俺があの場所で野営していたの知っていたはずなのに、声さえかけずに出ていくしん、なら俺がちょこっと先行したぐらい問題ないんじゃない、ほらっ1日も距離離れていないし」
あっやべっ。心の中にとどめておくつもりの声が出ちった。
だがまっいっか。事実だし。俺はそんなに間違ってないし。
「いやそれは、すまなかったな、と言うか、何故か朝ごはんを食べた後、中庭でも散策しながら待とうとしていた妹姫様が突然方針を変えてな、勇者は一時的に別の事で忙しいから先行するって命令を出したせいで、勇者に密命でもあるなら仕方ないと私は思って声かけずにな・・・」
えっと、冷や汗状態。あ~、そっか。つまりだ、朝飯食べ終わっても来ない俺を待つつもりだったけど、中庭出たら嬌声が聞こえて来たと。それで怒りのあまり置いてきぼりにしようって妹姫様が指示したって事か。残りの王国戦士、魔法少女、槍の聖騎士は身分的に言えば妹姫様には逆らえないし、エルフだってどんな立場か知らないが、妹姫様よりも立場が上って事は無いだろう。もしこのエルフが実はエルフ大帝国のお姫様って事は無いだろう。お姫様は華麗にドロップキックとか決めない者だ。
「私だけでも少し勇者を待ってから二人で追いつけるように走るって言ったんだが・・・、そうしたらあなたが傷つくだけだから、命令だからと言われて仕方がなく」
確かに、勇者のあんな所やこんな所を見せられたらショックだろうな。一応エルフも薄い胸部持ちとは言え女性なんだから。あれっそういえばエルフって長命種だったよな。エルフもこの見た目で100歳オーバーって事もあるのか?ちょっと違和感ってか嫌だな。
「あ~判った判った、それは良いからとりあえず俺は人助けして頂けって事で、判った?」「判った・・・」
クールビューティーが壊れて、デレ期でも来たのか素直にコクンと頷くエルフ。あざとい・・・。
結局妹姫様と合流した俺は、こっそり妹姫様に謝罪して事なきを得た。うん、据え膳食うと結構面倒なことになる。今後は注意していこう。
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同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
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