くず異世界勇者~こんなくそ世界でも勇者してやるよ~

和紗かをる

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第12章 1件落着とはいかないどんでん返し?それが醍醐味だったら醍醐味なんか俺は遠慮したい。

12-2

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「よ~、おいシイタケ男、元気にまだ生きてるじゃねぇか、ちょっと面貸せや?」
 教皇庁の中でも最精鋭でなる四つ葉騎士団の直下には、巡回騎士団等とは比べ物成らない猛者が集う聖堂騎士が従っている。1人の四つ葉の騎士にそれぞれ2千の聖堂騎士が従事し、将来の四つ葉の騎士になるために切磋琢磨している。
 そんな聖堂騎士団2千人が戦に備えて警戒している場所に、この男は忽然と現れた。しかも場末の下町で餓鬼大将が、敵対する隣町の餓鬼大将を呼び出すような口調でだ。
「なっ、お前どこから入ってきた!ここは教皇庁軍の本営だぞ、堕ちた勇者等が入ってきて良い場所では・・・」
「固い事言うなよ、しいたけくん、これでも、俺もよ~勇者の自覚っての?その辺りに少しだけ目覚めてさ、世界平和に貢献ってのをちびっとだけでもやらなきゃ、勇者として名が廃るって姫さん方にも言われそうだし、そっちが条件飲めば少しだけでも助けてやろうかな的な事も考えているわけよ、どうする?」
 怪しい。怪しすぎる。こいつに我々教皇庁に手を貸す義理は全くない。しかも今の我らぼ敵は教皇庁を糾弾し、多数の信徒を惑わしても居る元巫女姫を騙る売女だ。かくいうこの腐れ勇者も、あの売女の毒牙により勇者から堕落して、王国によって処罰された存在の筈。
「敵である我らに手を貸すつもりか?今の我らの敵は巫女姫を名乗る売女だぞ、それに手を貸すとか、貴様まともな神経があるのか?」
 純粋に力だけで考えれば、勇者は四つ葉の騎士に比肩しうる存在だ。1対1ならば判らないが、今この陣内には四つ葉の騎士が勢ぞろいしている。4対1ならば勇者など敵でもない。だがそれは正面から戦った場合の話だ。前回戦った時もそうだが、この勇者は正々堂々という言葉の対極にいる存在で、さすが腐れ勇者と呼ばれるだけの悪辣な事をしてくる男。
「手を貸すか・・・、しっかし俺にとって敵って誰なんだろうな?昨日までの味方だった妹姫や王国戦士が敵になって、だけど妹姫とは和解とまでは行かないけれど、敵ではなくなった、敵だったアンタらの配下の巡回騎士団は青の村を攻めようとしたけど、見事に全面降伏して、今は巫女姫側だ、どう思うよしいたけくん、敵の敵は味方とか、昨日までの敵は今日の友とかって俺が昔読んだ本にはよく書いてあったんだけど、それって本当の事だと思うか?」 
「何を世迷言を!我らにとって敵とはは神の敵だ、味方は神の信徒、それだけだ!」
「その理屈ならおかしいよなぁ~しいたけくん、俺の知る限り神があいつ敵~殺しちゃえ~♪とか、ああ~との人は味方だから殺しちゃだめだよ?とか萌え声で言ってくれたりしないよなぁ?じゃあ、神の敵って誰よ?それにもう一つおかしいのはよ、お前が今言った味方は神の信徒なんだよなぁ?おっかしいぞ~巫女姫って教皇庁でおイタするまでは結構偉い神官で、神の巫女とか呼ばれている存在だったんだよなぁ?なのに、神様に一言もなく神の敵認定とかおかしくないか?信徒って信じる人だよな、神の教えを信じる人を信徒とか言うんだろう?なら巫女姫と、彼女に従う信徒が敵ってのおかしくねぇか?」
 あくまで剽げた言い方だったが、悪辣な勇者の言葉は確かに悪辣だった。
 教皇庁の矛盾。それは教会内で地位が上がれば上がるほど感じていた。
 神の教えはたった3つの言葉しかなかったはずだ。それがいつの間にか教皇なる存在が発する 言葉を神の教えとして受け入れる形が出来てしまった。
 四つ葉の騎士もその頃を境に変質した。
 元々人々だけでなく魔族を除くすべての生物との友和を掲げ、それを遮る諸勢力から信徒を守る役目として騎士団は発足した。その騎士団の中でも武力が高いだけでなく神官としての資格と経験を持つ者を四つ葉の騎士と呼んだ。つまり当初の四つ葉の騎士は4人ではなく、その資格に達してすべての騎士が名乗った称号だったのだ
 その称号に価値を認めた教皇庁が、四つ葉の騎士は世界に4人しかいない特別な騎士であるとしたため、四つ葉の騎士は通常の騎士よりも高い位置に置かれ、武の権力として統治の権力の教皇庁を守る形となった。そこに守るべきはずの一般信徒の姿はない。
「まさしく悪魔の言葉だな堕落勇者め、それ以上言葉を吐くならば命はない物と思えよ」
 動揺はある。教皇庁のすべてが正しくないことも判っているし、巫女姫が言っている事こそ正しい信仰の道ではないのかと思う事もある。だが、それをこの男に言われるのには納得がいかない。勇者とは正義の執行者であるべきで、自堕落に女色にふけり、自由気ままに旅をする存在では決してない筈だ。
「まっ、おまえさんの立場じゃそう言うしかないか、でも、まぁ言うだけは言った、この戦、お前らは少し退いた方が良いぜ、王国軍と、もう一つの軍に挟み込まれる前にな・・・」
「何を言っているのか意味が分からんが、とりあえずお前は神に懺悔した上、斎戒沐浴してから反省しろっ」
 立てかけてあった細身の剣を素早く抜き放ち、声の主である勇者に斬りかかるが、その時には憎まれ口ばかり叩いていたような男の姿は影も形もなくなっていた。
「あいつは、何がしたくて生きているんだ・・・」
 その後、戦闘が始まった際にしいたけくん事、四つ葉の騎士であるフリス・エリュメルが率いる2千の部隊は他の6千の戦力から離れた場所で開戦を見届けた後、独自の行動をとることになる。
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