“Boo”t!full Nightmare

片喰 一歌

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Happyyy Halloweeeen!

Happyyy Halloweeeen!【3】

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「ええ、そのように思ってくださって問題ありません」

 パックは私の返答を『守秘義務契約への同意』だと即座に理解したようで、にやりと笑う。



 
「……うふふ。それじゃあ最初はヴィニーからだねぇ」

「カリン。ヴィニーという名前についてだが、正式名称と愛称のどちらだと思う?」

 トップバッターはヴィニーのはずなのに、なぜか双子に質問されて面食らう。
 
 そんなのこっちが聞きたいよ。

 本名なの! あだ名なの! どっちなんだい!? 

「めっちゃ難しくない? どっち……? 響き的にはあだ名っぽいけど、キティさんはキティさんだしな」

「お好きなんですか? 可愛らしいですよね」

 パックが身を乗り出す。相変わらずほとんど無に近いパーソナルスペースがもう気にならないのは、それだけ心細いって事か。

 いまこそ手を繋いでてほしいんだけど、期待はまったく出来なさそう。頼むぜ相方(仮)。

「うん、昔めっちゃ好きだった」

 主にお菓子目当てで通ってたんだけど、実はサンリオショップの常連だったりして。

 パッケージが可愛いだけじゃなくてちゃんと美味しかったんだよ、店頭に並んでるお菓子。いまも売ってるのかな。

「ちょっとちょっと。いまの推しは俺でしょ~」

「まぁね」

 茶々を入れてきたヴィニーに適当に返事する。

 心に住み着くミルクボーイは『推しなんてなんぼいてもいいですからね』って言ってたけど。

「…………あだ名と見せかけて、本名……?」

 だって、スーもパックも人をあだ名で呼びそうなタイプだとは思えない。

「当たり~! よくわかったね、カリンちゃん」

 二択なのに嬉しそうに拍手してくる推し、尊みの塊。(大声で泣いている顔の絵文字+合掌する絵文字)

「ええ、本当に。最初から申し訳ないかとは思ったんですけど、一応ひっかけ問題だったんですよ」

「いや手心欲しかったな、そこは。正解したからいいけど。ちなみにどのへんがひっかけだったの? やっぱ名前の短さとか最後の母音らへん?」

「うふふ。ゴッホの名前、言える?」

 チルは質問には答えず、有名画家のフルネームを聞いてきた。

「なんだっけ? フィンセント・なんちゃら? でも、ゴッホとヴィニー関係なくない?」

「無関係でもないぞ。まさにその部分だ」
 
「フィンセント……ヴィンセントって名前の人はヴィンスとかヴィニーって略されるからね~」 

 ヴィニーはしみじみと呟いた。

「それは確かにひっかけだわ」

「でしょう? その繋がりでもうひとつ。ビニールを英語でなんと言うか……カリンは知っていますか?」

「え? プラスチックじゃないの?」

 ゴッホ以上にヴィニーとの関連性が見えてこない。人でもなくなっちゃってるし。

「一般的にはplasticそうだが、vinylと書く単語もある。あまり使われてはいないが」
 
 スーに教えてもらった綴りを頭の中に並べていく。

「ヴィンセントさんのあだ名のヴィニーだったらvinnyとかvinnieって書くけど、俺の綴りはvinyなんだよね」

 ヴィニーの説明を受けて脳内のホワイトボードに単語を追加したところで、ある事に気が付いた。
 
「人名よりビニールのほうが近い綴りじゃん」

「そういう事!」 

「……では、そろそろ次のお話に移りましょうか?」 

 パックは微笑んで、チルのほうを一瞥した。

「次はぼくたちだねぇ」  

「ああ、そうだったな」

 ……え、ヴィニーのターンもう終わり?

 ちゃんとしたオチもないまま、バトンはチルとスーに渡された。消化不良だけど全部でひとつの話なのかもしれないし、おとなしく着席しとこう。
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