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We hope your Halloween is a ”Treat”!
We hope your Halloween is a ”Treat”!【8】
しおりを挟む「ありがとう、パック。でも、遠慮しとくよ。寝られそうにないし、できればもう窓の外は見たくないっていうか……」
誰一人としてさっきまでの態度との矛盾や温度差を指摘してくることはなく、双子があっという間にカーテンを閉めてくれた。
「スーもチルもありがとう」
「礼には及ばない」
「うふふ、そうだよぉ。気にしないでねぇ」
「座り込んでしまった理由は、そちらにあるようですしね」
「だね。よかったら、詳しい話聞かせてくれる? カリンちゃん、オブジェの近くのタワーって?」
助け起こしてソファに座らせてくれたのはいいけど、いまそれ訊かれるの追い討ち~!!
脳内でならIKKOさんになりきって返せるくらい絶好調なのに、実際に行動に移す気分にはなれなかった。
ふざける場面でもないし、空気読めてないこと言わずに済んでほっとしてるくらい。
「話せる範囲でいいよぉ」
チルの言葉に押され、ぐちゃぐちゃの脳内を仕分けし始める。
最初になにを話すべきか。
「……うん。信じてもらえないかもしれないけど、なんか、ここさ……私が思ってたのと違う場所だったみたいなんだよね」
違和感に気付いている私自身もよくわかってない状況だし、結論から話そうって決めたまではよかったけど、すぐに新しい問題が立ちはだかった。
このわけのわからない状況をどう説明しろと?
当事者の私も信じられない事態をうまく説明できたところで、ちゃんと信じてもらえると思う?
困った。詰みです。教えてエロい人!
「…………と、言いますと?」
パックは顎に手を当てて、シンキングタイムに突入している。
名探偵ばりの推理力を持つその頭には、さっきの困惑したお気持ち表明を聞いただけでも何通りもの仮説が浮かんでるんだろうな。
「みんなと会った場所の近くに駅あるでしょ」
こうなったらなるべくこの状況をわかりやすく伝えるしかない!
ってな具合で、気合を入れ直したはずだったんだけど……。
「カリンちゃんがロッカーにお財布とか預けてる?」
「そう、そこ。私もよく降りる駅だし、近くで買い物する事もある。けど、住んでるわけじゃないから、近くの区との位置関係とかも間違って覚えてないとは限らないんだけど……。何度考えても『あるはずのものが見当たらない』のはおかしいじゃん。あんなでっかい建物が消えるとか現実的に考えてありえないんだって!!」
話してるうちに感情が昂ぶって、最後のほうはほとんど喚き散らしていた。
ずっと抑え込んでた不安が噴き出したにしたって、大人にあるまじき幼稚な振る舞いだ。
『あんなでっかい』とか言ったって、みんなにはわかりっこないのにね。
「それが先ほどから言っているもうひとつのタワーか」
「そう。しつこくてごめんだけど、みんなは本当に知らない?」
スーの淡々とした事実確認のおかげで、カッカしていた頭が冷えていく。
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