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Windfall
Wednesday【9】
「…………そ、そうだ! アイセツ観ようよ!! 録画無駄にしないためにも。ぬるくなっちゃったお酒、冷蔵庫のと適当に取っ替えっこしてくるから、ちょっと待っててねっっ!」
しかし、響はテーブルに放置されていた汗だくの缶を持ち、逃げるようにキッチンに消えてしまった。こいつの下半身が現時点でどれだけ反応しているか確かめようとしてたのに。
「……逃げられちゃったわ。残念!」
せかせかしゃかしゃか騒がしいスリッパの音が聞こえなくなるのを待ち、テレビに向かって報告した。内容は簡易報告だけど気分は愚痴。敗因は『からかいすぎ』とかそんなところだろうか。次はもう少し工夫しないと。でも、あの程度の話で照れてくれるなら少しの工夫で動けなく出来そうね♪
(忍者かってくらい気配も音も消してるのがデフォの響がそんな風になっちゃってる――って事は、しっかり意識してもらえてると思っちゃって良さそう?♡ 今日中に合体は無理でも――――いや、地道にとかちょっとずつとかあたしらしくないわよね。行けるとこまで行っちゃいましょ!! 頑張れあたし!!)
特にする事もないし、もう一度ソファに寝転がって響の帰りを待つ事にした。
「…………でも、次は逃がさないわよ♪」
このときのあたしはまだ夢にも思っていなかった。――まさかこのあとあたしが響を追い込んで搾精プレイに持ち込むのではなく、発情した響があたしの逃げ場をなくして無許可で種付けキメてくるなんて。
◆◆◆◆◆◆
「そうそう。先週すごい良いとこで切られちゃったんだよね。アイセツはどのシーンで切っても気になるとこで終わる事になりそうだけど……。毎週面白いのにあんまり注目されてなくて不思議だよね。みんな朝ドラってだけでどんなに出来悪くても文句言いながら最後まで観るくせにさぁ」
リビングのドアを足で開けたとは思えないほど爽やかに登場した響は、録画リストのサムネを一瞥して唇をとがらせた。サムネにはヒロインとヒロインの相手候補の1人が微妙な距離感で写っていた。
「時間帯と尺的に丁度良いんじゃない? そういう条件が観る決定打になったりもするんでしょ、たぶん。平日夜に1時間弱って人によっては確保するの厳しいと思うし、かといって休みの日とか暇な時間使って配信見るほどの情熱はない。みんな面白いものが観たいんじゃなくて時間を潰せる娯楽が欲しいだけなのよ。面白かったらラッキー、つまらなくてもダメ出しし合って同じもの観てる人と絆深められる――みたいな?」
「そういう感じかぁ。僕たちとは考え方が違うんだねぇ。――はい、これ奏の♪」
2人で分けて持っても重いと感じるほど大量のお酒を買い込んだにもかかわらず、響はあたしが特に飲みたいと思ってた1本を持ってきてくれた。実はキッチンに向かって念を飛ばしていたから地味に嬉しい。
「わ、これ飲みたかった♡♡ ありがとね、響♡ 冷たくて気持ちいい~♪」
「どういたしまして♡ ……僕、どこに座ったらいい?」
目の前に差し出された缶に頬擦りをするあたしに問いかける響は、右手に自分のお酒と左手におつまみをまとめて持っていた。一番上になっているのは、最近凝っていると話したばっかりのいかの燻製だった。
響はあたしの事思ってお酒もおつまみも選んできてくれたのに、あたしときたらだらけきった姿で響の席占領しちゃってた。
「あたためておきました♡♡ ――――なんちゃって♪」
一旦横になったら起き上がるのも億劫になってしまっていたけど、気怠さを誤魔化しながら身体を起こした。
「……そっかぁ。ありがと♡」
今のが取り繕うための言い訳だとも気付いていないのか、純粋な響はぱぁっと顔を輝かせた。
でも、あたしが完全に身体を起こすまでの間、響の視線が集中していたのはスカートから伸びた脚と緩めの胸元だったという事もきっちり確かめさせてもらった。うんうん、良い感じ。この調子でどんどん意識させちゃうんだから!
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