トモダチとツイスターしてたらついつい流されちゃった話♡

片喰 一歌

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Windfall

Wednesday【22】


「…………響って頭痛持ちだっけ?」

 身を翻して退室するところだった響の手首を捕まえる。大きく張り出した骨が当たって胸が締め付けられた。

(すごい骨張ってる……♡♡ ……ってダメダメ! ときめいてる場合じゃないでしょ!! 歩くとか通り越して走り出しそうな構えだったんだけど、ここマンションよ!? 近隣住人の迷惑を考えなさいっての! この地区ファミリー層多いんだし、あんたの足音でせっかく寝ついたお子さん起こしたりなんかしたら、鬼の形相の保護者たちが大挙してここに押し寄せるわよ!?!? そんなのもう百鬼夜行の億倍恐怖よ!??)

 あたしだけがこの胸の苦しさを引き受けなきゃいけないのが腑に落ちなくて、力を込めた。

「……奏? 大丈夫? そんなに痛いの?」

 手首を掴まれて痛いはずなのに、奏は純粋にあたしの体調を心配してくれている。
 
 痛みに鈍い可能性がないって決まったわけじゃないけど、体調の悪化を気に掛ける台詞が出てきたって事は、手に力がこもった事には確実に気付いているわけだし。

(響があたしの心配してくれてるのは泣きそうなくらい嬉しいけど――――。それもたかが頭痛で……)

 浮かんできた涙を蹴散らし、響の目を真っ直ぐ見返した。
 
「…………先にあたしの質問に答えて。響って頭痛くなりやすい人?」
 
「ううん、健康優良児♪ 頭痛くなる事なんて年に1度もないくらいじゃないかなぁ? でも、独り暮らしなんだし頭痛薬くらい置いておかないとと思って。――で、どうせ置くなら無駄にならないほうが良いでしょ? 奏が普段飲んでるやつにしておけば、いざというときに奏に使ってもらえるなと思って。救急箱に入れてるだけじゃなくていつも持ち歩いて――ってごめんね!? 話してる場合じゃなかった!! ダッシュで持ってくるから楽な体勢で待ってて!」

 響は話している途中で我に返ったようで、あたしの手を振り解こうとした。
 
「あ、違うのそうじゃないの! 頭は大丈夫――……頭は大丈夫?? そんな事ないわね。あたしの頭は年中無休でおかしかったわね!! でもこれはそういう話じゃないか。頭痛そうなポーズに見えたかもしれないけど、必死に考えてただけなのよ……。『ミナミとこいつがキスする前に、視聴者のあたしたちがキスっぽいことをしちゃって良いのかな』って…………」

 響の力は想定以上に強かったけど、もう片方の手も使って引き留めたらギリギリ振り解かれずに済んだ。

(そっか……。響には常備薬も知られちゃってるんだ。……なに今の『ドキッ』は!! 生理痛緩和のために飲む鎮痛剤なんて頭痛薬と兼用だしなんにも色っぽい事なんてないのに、響が関わるとなんでも意識しちゃうみたい…………♡♡)

 響の肩越しに、ミナミとニシキが見つめ合っている。――丁度、今のあたしと響ぐらいの距離で。

「……奏、そんな事気にしてたの?♡♡ 可愛いねぇ♡♡ ていうか、奏にとっても口移しはキスなんだねぇ♡♡」
 
 前に進もうとする力が一気に弱まったかと思うと、頭をぽんぽんと撫でられた。
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