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Mistake
Mlstake【37】
「えへへ♡♡ やっぱり狭いね♡♡ でもこの狭さが幸せ~……♡♡」
あたしが掛け布団からはみ出ないよう、こちら側にゆとりをもたせてくれたあと、響はうっとりと目を細めた。
景勝地の露天風呂に浸かった第一声めいたコメントは、射精寸前まで行ったばかりの男のものとは思えない。
「何言ってんのよ――って言えたら良かったけど、正直ちょっとわかるわ♡♡ 旅館泊まって布団くっつけて並べてもらってても、結局片方だけしか使わない――みたいな事よね?♡♡ 狭くないわけじゃないけど、自分たちの意志で有効活用しない的な♡」
肝心の手は最大級に硬くなろうとデリケートなそこを握り潰してしまう事を恐れ、ほとんど添えるだけになってしまっている。
響からの苦情は届いていないけど、手が邪魔で2人の間をすーすー空気が通り抜けるので、実を言うとあたしは少し不満だった。
「それそれ♪ わざわざお布団とお布団の境目に女の子寝かせないもん。お背中もじょもじょしちゃってるせいで僕とのセックスに集中してもらえない――なんてなったら悲しいし!」
「どうせ1組しか使わないなら最初から1組で良いかも――的な?♡♡」
「そうそう♡ あのときのあのお部屋も……♡ お布団じゃないし今ほどじゃなかったけど、狭くって奏が近くってドキドキしたなぁ……♡♡」
湯上がりに浴衣を着た響や、寝相が悪すぎて朝を迎える頃には半裸になっている響を思い描いていたら、現実で半裸の響が独り言のように答えた。
(あたしたち、旅館行った事ないどころか泊まりは今日が初めてのはずよね? 響は何を言ってるの?♡♡)
響は過去を回想しているようだが、それらしき記憶は脳内のどこを探しても残っていない。
「あのときって?♡」
「……一緒にカラオケ行ったときの事、奏は覚えてる?♡♡」
軽い調子で尋ねたら、響はエアマイクを口元に持って行った。
「カラオケ……? 何回か行ってない? いつの?」
「んっとね~……♡ 一番最近?♡♡ 最近っていってもあれから結構経っちゃってるかな?」
「……あ、MGD7.2のライブ帰り?」
「そうそう、そのときの♡♡ あの日のライブ最高だったよね~♡♡」
「ええ! MGDはいつも最高だけど、あのツアーは特にね!! メンバーのビジュも最高だったし、ファン心理よくわかってるセトリで!」
「うんうん♡♡ Furcasさんが3曲連続ホルン演奏してて♡ 奏はFurcasさんの事、ホルン吹いてるときにひと目惚れしたんだったよね♡」
「そうなのよ。でも、MGDはバンドだしロック多めだから基本ベース持ってて――――。原曲ではベース弾いてるのにホルンアレンジ持ってきてくれると思ってなくて、終わったあと何軒かハシゴして響に話聞いてもらっちゃったのよね。あのとき一方的にマシンガントークかましたの覚えてるわ。本当にごめんなさいね……」
「ううん! 僕は奏が楽しそうにライブの感想――ていうかFurcasさん観察記録お話ししてくれてるの聞いてるの、めちゃめちゃ楽しかったよ♡♡ 他のお客さんの迷惑にならないようにちっちゃいちっちゃい声で一生懸命お話ししてるのも可愛かったし、そのおかげで対面じゃなくて隣に座れたのも嬉しかったなぁ♡♡」
――――それを言うなら、肘をついて愛おしい気持ちが隠し切れない眼差しを向けてくる響と隣に寝ている今が夢みたいだ。
少し背中を丸めて笑った響に、サイレントで返事をした。
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