Temptation Invitation

片喰 一歌

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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【華】

第101話『触らぬ“蛇”に祟りなし』


「……喋りすぎた? グミちゃんは僕の話すことなら内容が何でも喜んでくれるから、僕もお喋りになったのかな。最初はすぐ喉が痛くなって大変だったけど、今は続けて話しても大丈夫になったんだ。…………あぁ、でも……あなたはグミちゃんじゃないし、僕のことなんて興味ないか。僕のことならなんでも知りたがるグミちゃんみたいな人のほうが珍しいよね。…………本題どうぞ」

 彼はしばらく待っても返事がないことを不安に思ったのか、言葉を重ねた。語られる内容はもちろんのこと、自信のなさそうな物言いも以前の蛇人間の彼そのものであり、透明人間はこっそり安堵した。

 愛撫を施されている女は本当に目の前の男の発する声しか届いていないらしい。彼女は彼の喉元に腕を伸ばし、労るように撫で始めた。

(いや、一対一で話してみたいと思ってたし、普通に興味あるんすけど。……でも、それを言って信じてくれるんすかね、この人は。……というか、さっきから早く帰れオーラしか感じませんし、ここは白夜さんの希望通りにしといたほうがよさそうすね。カエルじゃなくたって蛇には睨まれたくねぇっすよ。あぁ怖い怖い。『触らぬに祟りなし』っすね…………)
 
「……クラールハイトさん? 団長に言われて来たんじゃないの? さっきのショーも団長と一緒に観てたんだと思ってたけど」

 何気ない問いは出来たばかりの傷口の上を爪で引っ掻かれたような痛みをクラールハイトに刻んで行った。なにせ彼は彼女にこっ酷く振られたばかりだ。

「ショーは一緒に観させてもらいましたけど…………僕は白夜さんたちと違って、団長といつも一緒ってわけじゃありませんよ……。でも、団長からの伝言預かってるのはその通りなんで、お耳に入れときますね。……本当はお二人への伝言なんですが、キャンディさんには聞こえそうにない……というか、聞いててもらえそうにないんで、白夜さんから伝えといてもらえます?」

 クラールハイトは律義に訂正を入れてしまう自身の生真面目さに嫌気が差していた。丸めた新聞紙でバシンと叩き、何枚も重ねたティッシュにくるんで捨てたい程度には。

「うん。グミちゃんには僕から話しとく」

「ありがとうございます。――――で、団長からの伝言なんすけど。要約すると『次のショーまでに食事取ったり身体休めたりしておけ』って感じっす。……いえ、食事と風呂でしたかね?」

「たぶんそうだね。こんなドロドロの身体でショー出るわけにも――――。……僕たちのショーならドロドロで出ても喜んでもらえるかもしれないね」

「白夜さんの言ってることは理解出来ますけど、団長の指示ってことも考慮して決めてくださいよ?」

「大丈夫だよ。グミちゃんのことは僕が責任持って綺麗にするしご飯も食べさせてあげるから。僕もお腹空いたし。……グミちゃんはお腹空いてないかもしんないけど」

 彼は彼女の下腹の一番膨れている部分をグッと押した。
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