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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【表】
第20話『二年×n回分の詫び宝石(いし)』
しおりを挟む「ハハッ! こりゃまた綺麗にユニゾンしたなァ」
豪快に笑ったおにーさんは、俺様系ワイルドキャラの海賊イベ限定のSSRみたいだ。見える、見えるぞ……。背後に転がった無数の酒樽(と乗組員の屍)が!
「……ま、こういうときは当たり前にお客様の御意見から聞くもんだ。アンタはどのへんが問題だと思った? オレの立ち位置や仕事内容もわかってねェわけじゃないだろうに」
「なんとなくはわかるよ。おにーさんにつきっきりでいてもらうわけにいかないのは。でも、まだ聞いてないじゃん! 料金体系とか、所要時間とかさあ!! 無料でも時間無制限でもないはずでしょ?」
――そう。おにーさんの説明には、最も重要な部分が欠けていた。ほんmoney大事だよ!?
「おっと、そうか。そうだそうだ。『疲れた大人のためのサーカス』っつったって、うちも慈善事業じゃねェしなァ……。当然、対価もいただいてるさ」
「そうそう。そういうのが聞きたかった! 『説明は簡単に済ませて!』って急かしちゃったあたしのせいだろうし、あんまり強くは言えないけど……」
「お姉さんのせいじゃないよ、たぶん」
「ほんとに?」
「うん。だってクラウン、お金の話とかシステムの話とかは『退屈で好きじゃねェんだよなァ~……』って、よくくだ巻いてるし」
二人は一緒にお酒を飲む仲らしい。
飲んでるってはっきりしてるのはおにーさんだけだけど、彼は社会人経験が長そうだし、信頼できない人の前で飲酒するような脇の甘い人物でもなさそうじゃない?
「そういう白夜はトルネードポテトだの蚊取り線香にしか見えねェソーセージだの、とぐろ巻いてるみてェなもんばっか食ってるだろ。お互い、ぐるぐるしちまってんのさ」
「…………え。可愛すぎ…………?」
ぽろっとこぼれた極秘情報に思わず口を覆ってしまった。
「なんとなくかっこよさげに聞こえること言って誤魔化すの、やめたほうがいいんじゃない?」
――が、本人はにこりともせず、おにーさんに物申し始めた。
「僕にだったらいいけど、彼女さんにはしちゃダメだと思うな……。結婚もしてないのに、毎回二年も帰り待っててくれる人なんて滅多にいないよ」
カノジョさんの話題になるとおにーさんの表情が曇ってた理由、これか。
「え……っ。おにーさん、それほんと……? 今度会ったら、せめて婚約指輪か何か渡したほうがいいんじゃない? 誠意見せな?」
「両方作ったさ、結婚指輪も婚約指輪も。ここでの興行が終わったら、プロポーズして…………って、オレのこたあいいんだよ。事務的な説明をどうするかって話だろ」
何様系アドバイスをかましたついでに詫び宝石の提案をしたら、それを凌駕する計画まで聞けてしまった。末永くお幸せに!!
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