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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【表】
第32話『年齢判明』
しおりを挟む「引かないよ」
たじろいでしまうほど強い瞳だ。そこには蔑みも憐れみもない。
「ほんとに?」
「もちろん。願うのは自由だ」
虚飾のない言葉は、事実だけを簡潔に述べていた。
――――そう。願ったあとのことについては、一切の保証はなされない。換言すれば、願ったからといって、叶えられるとは限らない。
「だ…………だけどさ、白夜くんがそのオーダーを承諾しなかったら、あたしはそのサービスを受けられないんだよね……?」
一旦上げて落とされるなんて、たまったものではない。すかさず確認を取った。
「うん。でも、今回は断るつもりなかったよ。最初から」
「理由は? 気まぐれ? 目に見えてわかる変な人じゃなかったら、どんな注文でも基本的に受けてるってだけ?」
「ううん。違うよ。どれも違う。そんな消去法みたいに決めてないし、思考停止してもない」
色も厚みもあまりない唇がむにゅっと曲がった。への字口をしているのだろうが、あまりの可愛らしさにほっこりしてしまう。
「この部屋に入ってきたときにわかったんだ。『この人なら僕のこと怖がらないし、気味悪がったりもしない』って。だから――――っていうのもほんとなんだけど……。こういうとこ、誤魔化しちゃったら絶対よくないよね。のちのちの信用問題に関わってくる」
「しっかりしてるねぇ! 若いのに偉いな~!」
背伸びして頭を撫でようとしたが――今思えば、なんて度胸だ――、白夜くんはみるみるうちにきょとん顔になった(ので、慌てて手を引っ込めた)。
「若い? これでも三十路超えてるけど」
「ええええっ!?? うっそぉ!? あたしより年上じゃん! しかも五歳以上上確定!?」
衝撃の事実を明かされ、大声で感想を並べ立てる口を覆った。
「いいリアクションだね。教え甲斐あるな」
「いや、だって…………!!」
添い寝を所望してしまった手前、『十六、七に見えていた』とは言えず、ひとまず手を身体の横につけた。
「今からでも、敬語とか使うべきなのかなぁ……ですか?」
白夜くんは取ってつけた語尾を聞くなり、微笑を浮かべた。
「いらないよ。言ったでしょ、ここは『疲れた大人のためのサーカス』だ。わざわざ肩凝る言い方しなくていいって。リラックスした状態で過ごしてもらえなきゃ本末転倒だ。敬語のほうが気楽なら、最初から砕けてなかったと思うし」
「その通り……! じゃあ、お言葉に甘えて、今まで通りにさせてもらうね!!」
「是非そうして。…………それとね、お姉さん?」
「うん?」
年下とわかってからもそう呼んでくれていることにときめいていると、急に視界から彼が消えた。
「まだ話の途中だよ? 僕の告白、最後まで聞いててほしいな」
――――はずはなく。跪いた白夜くんは、あたしを見上げていた。
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