Temptation Invitation

片喰 一歌

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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【真】

第52話『☆☆を噛むシミュレーション』

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「歯ぁ立てちゃやらぁ♡♡ こわいぃ……♡」

 目を塞いだところで痛みを防ぐことは出来ない。むしろ視覚が遮断された分、痛みを実際以上に強く感じてしまう恐れすらあるというのに、あたしは胸の先端に歯を立てている白夜を直視出来なかった。震える瞼の下では、じわじわと涙のダムが水位を上げていた。

「怖がらなくて大丈夫。僕の歯はサメみたいに尖ってないし痛くないよ」

 悪意なく的外れなことを言って宥めてくる白夜は、仕事にかまけて妻にワンオペ育児を強いてしまっている(くせにたまの家族サービスで育児に参加した気になっている)子育てに慣れていない新米パパのようだと思った。

「白夜はだいじょぶかもだけど、尖ってなくてもあたしには痛いし怖いのぉ♡♡ 人間の歯だって肉噛み切れるぐらいには頑丈だしぃ……♡ 顎の力だってそこそこあってぇ……♡」

 甘えた声で泣きつくあたしもあたしで口ばかり達者な幼女マセガキみたいだ。

「そういうもの? でも、堅いお煎餅もなんだかんだ割って食べれちゃうし、きっとそうなんだね。……でも、僕は誰にも噛まれたことないからわかんないんだ。グミちゃん噛んでみてよ」

 しかし、白夜は思っていたよりあっさり引き下がってくれた。

(あたしが?♡ 噛む?♡ ……白夜の乳首を♡♡ 逆にいいの、噛んじゃって?♡♡ 禍転じて福と為すってガチだったんだ♡)

 ただ、あたしがする側になって手本を見せる(?)という形での解放になるとは予想していなかったため、一瞬何を言っているのか理解出来なかった。

(またコンプ刺激しちゃった感じ? 経験人数そこそこだとしても噛まれたことないって人は一定の割合でいそうだけどなぁ……。あたしもベロテクは自信あるほうじゃないんだけど、白夜のためなら頑張れそ~♡♡)
 
「…………ねぇ。してくれないの?」 

 返答に時間が掛かってしまったため、依頼者クライアントはご機嫌斜めのようだ。

「するする♡ またまた白夜のお初、あたしが貰っちゃうね……♡♡」

 知らぬ間に普通に座っていた彼の顔を下から覗き込んだあと、『どちらにしようかな』で右胸を選び、視線を合わせたまま身体を低くしていった。

「そんなのでよかったらどうぞ。……グミちゃんみたいに可愛くて僕のこと大好きって言ってくれる子に奪ってもらえて嬉しいなぁ」

 あたしの様子を見ていた白夜が軽く胸を張った。舐めやすさを考慮して主張の控えめな乳首を差し出す彼の奥ゆかしさに胸の奥がきゅんとした。

(オトコノコの乳首ってちっさくて可愛いよねぇ♡♡ 上半身裸の人見るとつい目行っちゃう♡ 赤ちゃんに母乳おちちあげなくていいから大きくなんないようになってるだけかもだけど、オンナのより全体的に可愛いよね♡ 白夜のは特に主張控えめ♡♡ 色素薄くて桜色って感じのピンクだからってのもあるのかな♡ でも、サイズもやっぱ普通にちっさいと思う♡♡ これ普通に噛んでだいじょぶ?)

 間近で見ているにもかかわらず、白夜の乳首もまた彼の慎ましさを体現するかのごとく慎ましやかだ。そのため、どの程度の力を込めていいのかわからず、脳内で何度もシミュレーションをかけた。
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