乙男女じぇねれーしょん

ムラハチ

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第四話 ブルマを穿いたおじさん達

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 翌日僕はまた昨日の雑居ビルに向かっていた。
 
 今日から初仕事だが、こんなに気分が乗らない仕事は初めてかもしれない。

 
 事務所に着くと、皆が談笑していた。
 
 アルンちゃんはテレビにかじりついている。

 「おはようございます」 

 「あら、おはよう。ちゃんと来てくれたのね」

 「行くかどうか、朝まで考えてましたよ」

 「まあそう言わずに。じゃあ早速だけど、今日はこれに着替えてちょうだい」
 
 そう言って、手渡されたのは体操着とブルマだった。


 「あの……ふざけてますよね?」

 「何が?ふざけてないわよ」

 「なんですか、これ?」

 「体操着よ」

 「上はまだいいですよ。下ですよ下!」

 「ブルマ?大丈夫よ。わたしも一緒に履くから」

 「絶対ふざけてますよね!?」

 「だからふざけてないって言ってるでしょ!」

 「昨日は仕方なくあんな恰好したけど、なんで今日はブルマなんですか?」

 「だって今からトレーニングするのにセーラー服だと動きにくいでしょ?」

 「だからって、なんでブルマなんですか!?運動するなら前もって言ってくださいよ。そしたらジャージとか持ってきますから」

 「いちいちうるさい子ね。これも制服の一つなのよ。それにね、ちょっとずつ慣れていかなきゃならないでしょ。あなた今人前で昨日の恰好でステージに立てる?」

 「む、無理です……」

 「だから今のうちに少しでも慣れておきなさい。あ、これも渡しとかなきゃ」
 
 そう言って、ハチマキも手渡してきた。
 
 
 
 渋々ブルマに着替えたあと、またもやとんでもないことを言い出した。

 「着替え終えた?じゃ、行くわよ」

 「行くってどこに行くんですか!?」

 「近くに良い公園があるから、そこでトレーニングするわよ」

 「あの、ホントに通報されますよ?」

 「大丈夫よ。今までそんなことなかったし」

 「昨日通報されたとこでしょ!」

 「あれはあなたが裸だったからよ!」

 「僕だけのせじゃないですよ!」

 
 またもそんな不毛なやり取りを10分ほどしていたが、結局無理やり連れだされて公園でトレーニングをすることになった。
 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 

 「さぁ、残りあと5往復よ」

 「もう無理ですよー、はぁはぁ……」

 「んもう、だらしない子ねぇ!こんなんじゃトレーニングにならないじゃない」

 「はぁはぁ……死ぬぅ……」

 「あなたが運動苦手って言うから、得意な登り棒から始めたのに全然ダメじゃないの!」

 「いやいや、何往復させるんですか!?もう又ズレしてますよ!なんか股間がムズムズして気持ち悪いんですよ!」

 
 その時、若い女性二人が僕らの前にやってきた。
 
 一人はどことなく見覚えがある。


 「ちょっと、あなたたちここで何してるのよ?」
 
 気の強そうな髪の長い女性の方が話しかけてきた。

 「紅ちゃん、やめなよ、危ないよ~」
 
 もう一人のショートボブの女性がなだめて居る。
 
 こっちは気が弱そうだ。
 
 「あら、お嬢さんこんにちは。なにか用かしら?」

 「この公園あたしたちが使ってるんだけど?」

 「ちょっと待ってよ、公園はみんなのものでしょ?」

 「子供が普通に使うぶんには、わたしもごちゃごちゃ言わないわよ!でも大の大人が公共の場でなにやってんのよって聞いてんの!」

 「私たちだって、普通にトレーニングしてただけよ?」

 「女装したおっさん二人が登り棒しながら、電マ持ってハァハァやっててどこが普通なのよ!どう見ても変質者でしょ!」

 「もう最近の若い子たちはなんでこうも失礼なこと言うのかしら?こんなプリティーな変質者いないでしょ!?」

 「ん?ちょっと待って……あなたたち昨日あのカフェの上にいた人達よね!?」

 「あ!昨日の面接の子!」
 
 思い出した。昨日一瞬しか見ていないが、間違いない。あの子だ。
 
 「昨日セーラー服着て、今日はブルマって。やっぱり筋金入りの変態だったのね!」

 「え?紅ちゃんの知り合いなの?」

 「違うわよ!昨日カフェのバイトの面接に行ったら、そこにセーラー服着てるこの人たちがいたのよ。ホント参ったわ!」

 「面接もせずにいきなり出て行って、酷い言いようね!」

 「出ていくに決まってるでしょ!サイトには可愛い子多数在籍って書いてあったのに、出てきたのがこの変態よ!」

 「確かにこういう服装は好きだけど、だからって変態よばわりしないでちょうだい!」

 「いや、どう見ても怪しい……昨日も奥に未成年の子供もいたみたいだし、最近小さい子供や女子高生がさらわれる事件が多発してるのって……あなたたちの仕業じゃないでしょうね!?」

 「そんなことする訳ないでしょ!わたしたちはただの可愛いアイドルよ!」

 「はあ!?アイドルですって!?どういうコンセプトのゲテモノアイドルよ!?」

 「ホントいちいちむかつく女ね!」

 「アイドルって言うのはわたしたちベニー&クロイドのような可愛い子がなるものなのよ!簡単にアイドルなんて口にしないでほしいわ!」

 「紅芋だかタロイモだか知らないけど、そんなアイドル聞いたことないわ!どこの百合感満載の田舎アイドルよ!」

 「ゆ、百合!?」
 
 紅の顔が紅潮した。

 「あら図星だったようね。百合芋アイドルさん」

 「そ、そんな陳腐な言葉で侮辱しないで!今はまだ世に出てないけど、これからどんどん売れていくんだから!それに、わたしはあのアルスタの最終選考まで行ったのよ!」

 「また適当な事ぬかして」

 「本当よ!獅子座のポジションがエースの伊砂玲於那《いさご れおな》と被って落選しただけだから!」

 「どうせ圧倒的大差で負けたんでしょ!?」

 「う……」

 「あら、これまた図星だったみたいね?」

 「わたしだってちょっと運が味方すればあっという間に有名になるわよ!」

 「嘘おっしゃい。そんなのなんとでも言えるわ」

 「嘘なもんですか!それに、もうすぐ大会で……あ、言いこと思いついたわ」

 「なによ?」

 「あなたたちもアイドルやるってんのなら、大会に出てみなさいよ」

 「大会?」

 「そうよ。約2か月後に第1回ワクワク神戸アイドルフェスが開催されるんだけど、わたしわちそれに出場するのよ。それにあなた達も出場してみたらいいじゃない。ま、エントリーできるかどうかもわかんないけど」

 「わかったわよ。出てやろうじゃないの!」

 「いい返事ね」

 「ちょっと、なに勝手に決めてるんですか!?僕まだ登り棒しかやってないんですよ!」
 
 構わず紅は喋り続けた。

 「でもどうせだったら勝負しましょう」

 「勝負?」

 「そう。大会で順位が出るから、そこで負けた方が勝った方のお願いを聞くってのはどう?」

 「面白そうじゃない」

 「じゃ、私たちが勝ったら、あなたたち解散ね!」

 「望むところよ!その代わりあたし達が勝ったらなんでも言うこと聞いてくれるんでしょうね!?」

 「いいわよ。ま、そんなの100万が1もないだろうけど」


 タオさんは見事に紅の挑発に乗り、僕は加入したばかりのグループの存続を賭け、聞いたこともないアイドルフェスに参加することとなった。


 
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