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市神は、何度も血塗られた中で、キョロキョロ動く2つの物体を見つめていた。ハンカチに包まれた中で、右へ左へと動いている。机の上で、動き回る僕の背中にあった物を、何度も、ペン先で、転がしていた。
「これは、この後、どうなるんだ?」
三那月に問い掛けた。彼女は、忙しそうに、事務所の中を動き回りながら、一瞥をくれると。
「干からびて、消えるだけ」
関心なさそうに答えた。
「そしたら、迦桜羅は、降りてこないのでは?」
市神は、憑依されるのだと思っていたようだ。
「唯一無二の存在だから、この子達が、宿主から切り離されたら、枯れてしまうの。ただ、一つの場合を除いてね。この子達が、消えたら、本来の先生に降りてくるのよ。忘れました?」
市神は頭を振った。
「覚えてない。どうして、私は、力を失った?」
「ここに来た時。。あの大震災の時に、軸が歪んでしまったのよ。何日も、黄泉路の奴達と戦いが続いたの。お互いに、終わりがなかった。。。だけど、先生は、1人の子供に、倒されてしまったの。簡単に」
三那月は、薄く笑った。
「先生は、子供には、弱いのね。その相手が、悪かったわ」
「誰だい?」
「あの。。。女よ。私が、仇を取ってやったわ」
紗羅の事だった。沙羅の鎌に、市神は、撃たれてしまった。
「私が?」
「その時に、迦桜羅は、消えたの。突然ね。それで、私達は、方々に散るしかなかったわ。先生が。戻ってくるまで、何年も、待ったの。従順でしょ」
市神は、何度も、ペン先で、2つの肉の塊を転がしていた。次第に、枯れ始めると思われたが、状態は、一向に変わらなかった。それは、僕が、意識不明で、眠り続けている間も、変わらなかった。赤い肉の塊は、干からびもせず、市神の机の上で、鉱石の様に輝き続けていた。赤黒く、柘榴石のように、日が暮れると、ますます、輝く。不気味に思った医院の職員が、何度か、捨てにいったが、いつの間にか、市神の机の上に戻っていた。まるで、市神を監視するかの様に。
「あいつは、どうしているんだろうな」
市神は、突然、僕の事を思い出していた。地獄の犬が、街に現れたと、信徒達が、身構えている時だった。当然、三那月は、市神に迦桜羅を召喚するように迫っていた。
「今こそ、立つべきです」
市神は、その柘榴石の様に輝く石を握り潰そうとした。自分の体に取り込み、迦桜羅を召喚するのだ。神々しい両手で、恐ろしい力で、握りつぶすと、あたりに、真っ赤な粘液が、飛び散っていた。同じ頃、僕は、思わぬ所で、八と出くわしていた。
「八!」
突然、現れた八に、僕は、驚きながらも、抱きしめた。
「何で?どうして?何があった?」
八は、苦痛に顔を歪めながら、笑った。
「質問攻めか。。。とにかく、あとだ」
周りから、人々の悲鳴が聞こえ、同時に黒い影が、横切るのが見えた。
「まさか?」
地獄の犬?ハッとして、僕は、八の顔から、答えを探し出そうとした。
「そうだよ。地獄の犬だ。」
「誰が?」
僕は、震えていた。
「俺だよ」
「俺って?」
僕は、認めたくなかった。まさか?
「蓮。。。もう、手遅れなんだよ」
「何が?」
紗羅が手遅れ?地獄の犬が、八を追いかけてくるって?
「沙羅は、消えた。俺を救おうとして、無茶をして。。。俺は、この通り、あちらに渡りかけ、地獄の犬に追いかけられる事になった」
八を追いかけてきた地獄の犬が、今、まさに、飛びかかってきた。
「これは、この後、どうなるんだ?」
三那月に問い掛けた。彼女は、忙しそうに、事務所の中を動き回りながら、一瞥をくれると。
「干からびて、消えるだけ」
関心なさそうに答えた。
「そしたら、迦桜羅は、降りてこないのでは?」
市神は、憑依されるのだと思っていたようだ。
「唯一無二の存在だから、この子達が、宿主から切り離されたら、枯れてしまうの。ただ、一つの場合を除いてね。この子達が、消えたら、本来の先生に降りてくるのよ。忘れました?」
市神は頭を振った。
「覚えてない。どうして、私は、力を失った?」
「ここに来た時。。あの大震災の時に、軸が歪んでしまったのよ。何日も、黄泉路の奴達と戦いが続いたの。お互いに、終わりがなかった。。。だけど、先生は、1人の子供に、倒されてしまったの。簡単に」
三那月は、薄く笑った。
「先生は、子供には、弱いのね。その相手が、悪かったわ」
「誰だい?」
「あの。。。女よ。私が、仇を取ってやったわ」
紗羅の事だった。沙羅の鎌に、市神は、撃たれてしまった。
「私が?」
「その時に、迦桜羅は、消えたの。突然ね。それで、私達は、方々に散るしかなかったわ。先生が。戻ってくるまで、何年も、待ったの。従順でしょ」
市神は、何度も、ペン先で、2つの肉の塊を転がしていた。次第に、枯れ始めると思われたが、状態は、一向に変わらなかった。それは、僕が、意識不明で、眠り続けている間も、変わらなかった。赤い肉の塊は、干からびもせず、市神の机の上で、鉱石の様に輝き続けていた。赤黒く、柘榴石のように、日が暮れると、ますます、輝く。不気味に思った医院の職員が、何度か、捨てにいったが、いつの間にか、市神の机の上に戻っていた。まるで、市神を監視するかの様に。
「あいつは、どうしているんだろうな」
市神は、突然、僕の事を思い出していた。地獄の犬が、街に現れたと、信徒達が、身構えている時だった。当然、三那月は、市神に迦桜羅を召喚するように迫っていた。
「今こそ、立つべきです」
市神は、その柘榴石の様に輝く石を握り潰そうとした。自分の体に取り込み、迦桜羅を召喚するのだ。神々しい両手で、恐ろしい力で、握りつぶすと、あたりに、真っ赤な粘液が、飛び散っていた。同じ頃、僕は、思わぬ所で、八と出くわしていた。
「八!」
突然、現れた八に、僕は、驚きながらも、抱きしめた。
「何で?どうして?何があった?」
八は、苦痛に顔を歪めながら、笑った。
「質問攻めか。。。とにかく、あとだ」
周りから、人々の悲鳴が聞こえ、同時に黒い影が、横切るのが見えた。
「まさか?」
地獄の犬?ハッとして、僕は、八の顔から、答えを探し出そうとした。
「そうだよ。地獄の犬だ。」
「誰が?」
僕は、震えていた。
「俺だよ」
「俺って?」
僕は、認めたくなかった。まさか?
「蓮。。。もう、手遅れなんだよ」
「何が?」
紗羅が手遅れ?地獄の犬が、八を追いかけてくるって?
「沙羅は、消えた。俺を救おうとして、無茶をして。。。俺は、この通り、あちらに渡りかけ、地獄の犬に追いかけられる事になった」
八を追いかけてきた地獄の犬が、今、まさに、飛びかかってきた。
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