死神の守人

蘇 陶華

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選ばれし者は誰なのか

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僕は、八が何を言っているの華、わからなかった。もう、手遅れ?とは、何の事なのか、紗羅が最後の力を振り絞って、とあ、どおいう事なのか、理解できなかった。僕は、ひっそりと生きてきた。欲しくもない能力を手に入れてしまったばかりに、いろんな者が見え、聞こえてきた。それなら、僕にふさわしい世界で、生きようと、この寂れた街にやってきた。大昔、観光が盛んだった頃は、栄えた街。神々が誕生したというこの街は、週末となると、大型バスがたくさんの観光客を連れてやってきた。それが、信徒と呼ばれる輩の事件で、すっかり人の足が遠のいてしまった。寂れた街。僕を追いかけ、八が、移り住んでくれた時は、正直、嬉しかった。振り返ると、僕は、いつも、八の後ろを追いかけていた。だから、八が、この街に来てくれた時は、どんなに、嬉しかった事か。何の能力もいらない。本来、僕が持つべきでない能力なら、返しても、惜しくなかった。だけど、どうだ?現在の僕には、大事な仲間達を守る事もできないじゃないか?八を失って、僕は、生きろと?この街では、何かが起きている。得体の知れない力が、働いていて、三つの力の均衡が崩れているのだ。黄泉の世界が、口を開いたと?そんな訳がない。黄泉の口が、開いたのは、その対極側にある世界が、開いたという事だ。市神。。。僕は、背中が、熱くなるのを感じた。もう、迦桜羅の能力は残っていない。けど。
「蓮!」
僕は、八を抱え上げた。信じられない力が、僕を動かしていた。大きく開いた翼が、襲い掛かる地獄の犬を跳ね飛ばしていた。
「嘘。。。だ」
僕は、左手で、顔に触れた。そこには、今までの僕の顔は、なかった。どこかで、触れた様な柔らかい羽毛で、覆われていた。僕の顔半分が、羽毛で覆われ、その中で、大きく開く紅い目が、ガラスに写り、僕を見返していた。ゆっくりと、観察している時間はなかった。地獄の犬が、後から後から、追いかけてきて、僕達に襲い掛かってきた
「キリがない」
僕は、翼と、鋭い爪で、応戦していたが、八を抱え、窓ガラスへと飛び込んだ。空を渡り、安全な地に、逃げる為に。だが、そこには、空を覆うような大群のカラスが待ち受けていた。
「八!耳を塞げ!」
僕は、八を抱え、耳を二重に、塞ぐと、襲い掛からんとしてくるカラス達に向かって、大きく口を開き、音のない叫びをしていた。
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