死神の守人

蘇 陶華

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地に降り立つ多くの神々

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市神が、迦桜羅に変化する少し前、三那月は、祭壇の前でしばらく目を閉じていた。最近、多くの事があり、疲れ切っていた。昔のように、思った通りに問題が処理できない。20数年前の最後の闘いの辺りから、少しずつ空気が変わってきていた。何よりも、守護神である市神が変わってしまった。信徒達を抑える事ができなくなっていた。黄泉路が開き地下の住人達が行き来を始め、信徒達の中から、神格化するのが現れ、何人も、天に登っていた。簡単に、力を得、そして失う。妖も鬼神達も、入り乱れていた。統制が必要だったが、市神には、力が足りなかった。であれば、市神に力を新たに持たせるか、主を変えるしかなかった。が、今更、市神以外、誰につけと言うのか。。。三那月自身、神格化する能力は今の所ない。
「三那月様。」
後ろから、恐る恐る声をかけるのは、三那月の格下、ナンバー2とも囁かれる五橋だった。
「前から、相談されていた古都の宝寺に保管されていた剣がようやく、手に入れる事ができました」
それを聞いて、三那月の表情が明るくなった。悩んでいた答えが見えた気がした。
「本物なのか?」
「えぇ。。宮家で、持つべきでしたが、国宝との事で、宝寺に納めていたようで」
恭しく献上したのは、瑠璃色の箱に収められた細長い剣だった。
「そう。。これよ」
三那月は、指先で、瑠璃色の箱の表面をそっとなぞった。
「ここまで、来たのだから、今更、戻る事は、許されないわ」
三那月は、瑠璃色の箱を抱えると、市神の控える部屋へと向かって行った。市神は、その後、恐ろしく変化する事になる。それは、僕への憎しみなのか、剣に魂を吸い取られたせいなのかは、わからない。僕の胸に突き立てた剣は、僕の命を切り裂いていった。
「あぁ。。」
八は、腰が抜けたようになり、尻餅をついていた。僕の体の内側から、逆流した鮮血が、噴き上げた。噴き上げていく中で、僕の胸の中から、ズルズルと細長くて、黒い手が、幾つも、飛び出してきた。手は、何かを探すように動き回莉、僕の顔や体を掴み、震えた。震える下からは、青い光が、こぼれ落ち、金色の糸が、1本また1本と、物凄いスピードで増えていた。やがて、たくさんの手が僕の胸からこぼれ落ち、僕の体を覆うと、僕は、金糸に包まれ、意識を失った。青い光の中に、僕はいた。
「蓮!」
どこからか沙羅の声が聞こえた。
「来て!待ってるから」
その時だった、金糸は、真ん中から、光と共に真っ二つに裂け、僕は、外へと飛び出した。気がつくと、湖面から、僕は、飛び出していた。
「お前は?」
湖面に飛び出したのは、半神の迦桜羅の姿ではなく完全なる翼と光に輝く尾羽を持つ迦桜羅の姿だった。
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