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君に逢って伝えたい事
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蒼は、どこへ?
誰かが、僕の手を強く握った。
澪だった。
「君のお父さんには、恩がある」
そう切り出した榊さん。
その話は、僕が知りたかった事。
育ての親達が憎んでいた、僕の父親の話だった。
バイオリンが全て、繋がる。
イニシャルの入ったケースは、母への贈り物だった。
「私が生きている間に、恩を返したい」
生きている間という言葉が、引っかかる。
「ドイツへの留学って・・・」
榊さんに紹介されていた。
「一人分だけ、枠が空いている。テストしたいと連絡があった」
「テストですか?」
「テストは、向こうで行う事になる。年齢的にも、厳しい。海。最後のチャンスだぞ」
テスト。
エルンスト
バガニーニ
ベートーヴェン
難易曲の作家をあげる榊さん。
「お前に、普通は合わない。やってみるといい」
「僕がですか?」
「オーケストラは合わない。自分がよく知っているだろう?行くんだ。ドイツに」
今の両親は、何て、言うだろう・・・。
澪は?
僕は、返事を迷った。
「自分を変えたいなら、行くんだ」
榊さんの声は、僕が選択する余地がない事を含んでいた。
澪。
僕は、叔母さんの部屋で、澪の手を強く握り返した。
こんな状況で、自分のこれから先を考えている。
まだ、君に伝えていない。
僕は、父親と同じ事をしようとしている。
蒼の母親に、連絡した。
叔母の行動が予測できない。
叔母の夫の行方がわからない現在、蒼の身に危険が迫るかもしれない。
やはり、蒼の母親は、障碍の事を知られるのを拒んでいた。
四條 光瑠の息子が、障碍者だなんて・・・。
そう思っていたのかもしれない。
「あなたが、兄であると知ったら、余計に・・・」
夫の恋人だった、女性の産んだ子が、最も、四條 光瑠に瓜二つだったなんて。
そう、僕には聞こえた。
蒼は、
僕のたった一人の弟だった。
僕の家族。
父も母もいないこの世界で、たった一人の家族だった。
以上に、僕に敵対心をむき出しにしたのは、体の中に眠る父の遺伝子がそうさせたのか。
「あなたは、彼によく似ているから」
電話の向こうで、シェリーが言った。
僕らは、四條 光瑠の影に踊らされている。
もう、彼は、この世にいないのに。
シェリーも、僕の母も。そして、澪の叔母も。
僕と蒼も。
「捜索願を出してください」
僕は言った。
「蒼の才能に変わりはないんですよ」
隣で、澪が笑った。
「そうよ。それは、言い訳にしかならない」
彼女は、視覚障害がありながら、盲目のモデルになった。
眩しいスポットライトを浴びながら、真っ直ぐに歩いている。
「私達も、探しましょう」
澪が言った。
僕の限られた時間の中で、たった一人に家族探しが始まる。
誰かが、僕の手を強く握った。
澪だった。
「君のお父さんには、恩がある」
そう切り出した榊さん。
その話は、僕が知りたかった事。
育ての親達が憎んでいた、僕の父親の話だった。
バイオリンが全て、繋がる。
イニシャルの入ったケースは、母への贈り物だった。
「私が生きている間に、恩を返したい」
生きている間という言葉が、引っかかる。
「ドイツへの留学って・・・」
榊さんに紹介されていた。
「一人分だけ、枠が空いている。テストしたいと連絡があった」
「テストですか?」
「テストは、向こうで行う事になる。年齢的にも、厳しい。海。最後のチャンスだぞ」
テスト。
エルンスト
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「お前に、普通は合わない。やってみるといい」
「僕がですか?」
「オーケストラは合わない。自分がよく知っているだろう?行くんだ。ドイツに」
今の両親は、何て、言うだろう・・・。
澪は?
僕は、返事を迷った。
「自分を変えたいなら、行くんだ」
榊さんの声は、僕が選択する余地がない事を含んでいた。
澪。
僕は、叔母さんの部屋で、澪の手を強く握り返した。
こんな状況で、自分のこれから先を考えている。
まだ、君に伝えていない。
僕は、父親と同じ事をしようとしている。
蒼の母親に、連絡した。
叔母の行動が予測できない。
叔母の夫の行方がわからない現在、蒼の身に危険が迫るかもしれない。
やはり、蒼の母親は、障碍の事を知られるのを拒んでいた。
四條 光瑠の息子が、障碍者だなんて・・・。
そう思っていたのかもしれない。
「あなたが、兄であると知ったら、余計に・・・」
夫の恋人だった、女性の産んだ子が、最も、四條 光瑠に瓜二つだったなんて。
そう、僕には聞こえた。
蒼は、
僕のたった一人の弟だった。
僕の家族。
父も母もいないこの世界で、たった一人の家族だった。
以上に、僕に敵対心をむき出しにしたのは、体の中に眠る父の遺伝子がそうさせたのか。
「あなたは、彼によく似ているから」
電話の向こうで、シェリーが言った。
僕らは、四條 光瑠の影に踊らされている。
もう、彼は、この世にいないのに。
シェリーも、僕の母も。そして、澪の叔母も。
僕と蒼も。
「捜索願を出してください」
僕は言った。
「蒼の才能に変わりはないんですよ」
隣で、澪が笑った。
「そうよ。それは、言い訳にしかならない」
彼女は、視覚障害がありながら、盲目のモデルになった。
眩しいスポットライトを浴びながら、真っ直ぐに歩いている。
「私達も、探しましょう」
澪が言った。
僕の限られた時間の中で、たった一人に家族探しが始まる。
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