皇帝より鬼神になりたい香の魔道士

蘇 陶華

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事の始まり

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瑠璃香が、陽の元の国に渡る少し前。朝廷を3分する騒ぎがあった。大陸の魔導師が香の大元、黄熟香を持ち込んだのだ。時の帝は、大変気に入り、宝仏殿に収めようとしたが、帝の手の渡る頃には、大分、小さくなっていた。香は、天と人間を繋ぐものと考えられており、神職につく者の他、当時の貴族達も、珍しい香物のは、大金を注ぎ込んでいた。朝廷の帝と対立する貴族の美那月と阿多の一族が睨み合いを続けていた。誰もが、手に入れたい。同時の帝は、美那月から、正室を迎えており、どちらかと言うと、美那月よりの政治の采配に、阿多一族は、不満一杯だった。朝廷に使える僧侶は、阿多一族から出ている為、帝は、排斥する事も出来ず、微妙な力関係が、朝廷内にあった。阿多一族から出た僧侶は、鶴白といい、仏門の出でありながら、古典的な事には、縛られず、明るく聡明な男だった。当然、朝廷内に、彼を悪く言う者は、おらず、阿多一族の守り神ともなっていた。
「さて、どうしたものか、この沈香。」
一眼見た時から、すっかり小さくなっている。どのような経路を経て陽の元の国に来たのかは、不明である。かの魔導師も、とうに姿を消している。
「勿論、三華の塔に、納めるべきかと」
口を開いたのは、正室、紗々姫であった。一族と敵対しているとは、いえ、この見目麗しい鶴白を邪険にには、出来ない。三華の塔は、朝廷の宝物殿であり、東塔、西塔、華の塔と、三つに分かれている。
「あそこなら、魔物すら入れませんもの」
紗々姫は、怪しく笑を浮かべる。国の宝を魔物に守らせる。よく或る話である。
「では、ありますが」
鶴白は、躊躇した。仏の道において、魔物が住むという噂の、三華の塔に納める気には、なれない。
「それなら、東宮に預ければよろし」
皇太子の母、側室が声をあげ、紗々姫が顔をしかめた。
「何とも、決まらぬの」
帝は、ため息をついた。
「余計な争いの種を持ってきてくれたものだ。。」
「であれば。。」
仕方がない。鶴白は、ため息をついた。
「私が、しばらく預かりましょう」
そっと、袖から出した紫の手巾にくるくると包んだ。
「一介の僧侶とは、違う故、それで良い」
紗々姫は、小さく頷いた。
 鶴白は、阿多一族からの出身と言っても、血の繋がりはない。阿多の今は亡き当主の元許嫁の子であり、血の繋がりはない。当主が戰に行っている間に、許嫁は、政権争いに巻き込まれ、別の一族に嫁いでいた。その一族も、戰で、滅ぼされてしまい1人、生き残った鶴白h、寂れた寺に預けられ、戰から戻った当主が引取ったのだ。亡くなった許嫁によく似ており、当主は、手元に置きたかったが、時代は、戦国故に、周りが反対した。麗しい姿であるのに、髪を剃った。だが、中身は、立派な武士である。
「必ず、守りますゆえ」
懐に大事に仕舞い込む姿を紗々姫は、じっと見ていた。
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