皇帝より鬼神になりたい香の魔道士

蘇 陶華

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毒牙を祓う妖女

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聚周は、細い糸に絡み取られた瑠璃光を地上近くまで、下ろしていた。寒洞の中は、寒く、爆風にさらされた瑠璃光の衣類は、細く避けていて、冷気が、瑠璃光の肌を一層、美しく際立てていた。身体のあちらこちらから、吹き出す鮮血が、白い肌を染めて、聚周は、満足げに眺めていた。長年、自分を悩ませた宿敵が目の前にいる。元々、瑠璃光に、好意を抱いていた聚周は、どう、瑠璃光を料理してやろうかと、気持ちが昂っていた。瑠璃光は、無造作に地上に放り出され、身動きができない。
「そういう目で、見るな」
瑠璃光は、察して聚周を制した。
「そういう目とは、どんな目だと思った?」
聚周は、瑠璃光の細い顎を掴んだ。
「いつか、こういう日がくると夢見ていたよ。まさか、こんなに早く、機会が訪れるとはね」
細い顎にかけた手を、首筋に沿わせ、耳の後ろに手を当てた。
「無抵抗な気持ちって、どう、思う?」
聚周は、かけていた、手を下ろし、細く裂けていた瑠璃光の上着を、破り始めた。
「やめろよ。そんな趣味はない」
「どうかな?」
両手で、上着を剥ぎ、細い糸に絡め取られた、半裸の姿が見えてくる。
「ここは、冷気が強い。どうする?暖を取るには、どうしたらいいと思う?」
強い冷気に、瑠璃光の皮膚は、ピンク色に染まっている。
「丁度、爆風に煽られたんでね。冷やすには、丁度いい」
「!」
聚周は、瑠璃光の顎を掴むと、顔を近づけた。
「尊厳を失うかも。」
「私が?」
瑠璃光は、笑った。
「思い通りに、なると思っているのか?」
息は、白く、明らかに冷たい凍りつく。
「お前こそ、恥をかくなよ」
「!」
聚周は、カッとなり、瑠璃光の体を絡みとっていた
糸を乱暴に引いた。糸は、ますます瑠璃光の体に、食い込み、細く紅い筋が幾つも流れていた。
「いつまで、争うつもりだよ」
聚周は、瑠璃光の顎を掴んでいた手を、自分の口元に近づけた。
「返答次第では、私も考えない事はない」
瑠璃光の薄い桜色の唇を噛もうとした時、瑠璃光は、細い声で、言い放った。
「いつまで、寝てるんだ?いい加減、起きろ!」
聚周が、何の事かわからず、眉を顰めるが、構わず、続けようとする。
「起きろよ。何の為に付いてきた?」
「!」
聚周が、大きく目を見開くと、目の前に小さな蛇が顔を出していた。
「何だ?」
小さな細い白い蛇が、瑠璃光の長い髪の中から、眠そうに顔を出していた。
「寒いのじゃ」
小さく震えながら、面倒くさそうに、頭を持ち上げている。
「姫!紫鳳の代わりについて来たんだから、役に立ってもらわないと」
「無理な移動で、疲れておる。起こすな」
「主の危機に、何というのんびりした事か」
「主ではない」
白い蛇は、恥じらいながら言った。
「夫じゃ」
「夫?」
思わず、聚周と瑠璃光は、顔を見合わせた。
「蛇が?」
「無礼な!」
白い蛇は、瑠璃光の顎を掴んだ聚周の手を這い上ってきた。思わず、斬り殺そうと剣を抜いた途端に、姿を現した。
「紗々姫と呼べ」
瑠璃光の持っていた扇子で、剣をかわすと、そう言い放った。
「私の夫に、随分、好き勝手な事をしてくれてるのぉ」
紗々姫の長い蛇の尾が、瑠璃光を絡め取っていた糸を、一振りで、切り落としてった。紫峰が、一緒に移動できなかったのは、紗々姫が原因だった。
「寒いのは、苦手じゃ。はよう、終わらせようかの」
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