29 / 82
河を治める真実の主
しおりを挟む
河は次第に盛り上がり、幼い子供が、在した状態で、現れた。髪を肩の高さまで、下ろし、瞑想する表情で、盛り上がる水面に座している。
「ひょっとすると、ひょっとするかも」
瑠璃香は、口元を緩めた。
「向こうから、わざわざお出ましか?」
「何か、裏がありそうか?」
紫鳳は、どうする?と、両手を挙げたが、瑠璃光は、首を振った。
「危険な相手では、なさそうだ」
引き続き様子を見る事にした。見ると5~6歳位の幼い子供が、閉じていた目をゆっくりと開いた。開いた両目は、淡い緑の瞳をしていた。
「梨王!」
太鼓を抱えていた少女は、湧き上がる水面に座した幼い子に声を上げた。
「隠れていないと、だめでしょう」
水面を体が沈み込む事もなく、滑るように歩いてくる。
「少し、気になる波動があって」
河岸に降り立つ。
「炎の波動があって。」
少女は、青嵐の顔を横目で見た。
「人とは、違う。仙師の方かと」
青嵐の小鼻が、少し膨らむ
「仙師だけど」
少女の前に、立ち塞がり、瑠璃光が呆れているのを遠目で見た。
「そんなに、ちびっこいのが、河の主とはね」
梨王と呼ばれた幼い子供は、気分を害したらしく片目を大きく開いた。
「お前が、先ほどの炎を放ったのか?」
「それが、どうした?」
青嵐は、いつもの癖で、小鼻を膨らませた。
「不味い。瑠璃光。挑発している」
遠く木陰から見ていた紫鳳が、目配せした。
「嫌々。。待て、本質がまだ、見えてこない」
紫鳳が、案じたが、結果、案じた通りになった。梨王が、右手を上げると、つられる様に河の表面が、ざわつき白波が立った。白波は、最初、小さな渦を巻き、踊るように、青嵐めがけて、襲いかかった。
「そんな事だと、思った。炎の輪を幾つも、重ね上げ、青嵐は、白波から、身を守った。白波は、炎にさらされると、音を立てて、白い蒸気となっていった。
「止めて!」
踊り子の少女、翠玉が、声を上げたが、力比べは、止まらなかった。
「なるほど」
梨王は、何に納得したのか、手を下ろした。すると、殺気立つ白波は、静かになり、河面は、落ち着いていった。
「本当のようだな」
梨王は、河の表面から、静かに降り立った。立ち上がると、意外と身長があり、見た目より、年齢は上に思えた。
「失礼しました。本物とお見受けした」
梨王は、頭を下げた。
「この所、怪しい者達が多くて。。。約束を破り、自分達の命を守る為、多くの生き物を殺す輩がいてね」
「あぁ。。河の上流か?」
「あまりにも、無差別に、自分以外を簡単に殺してしまう」
「色とりどりに見えた着物は、あなたの仕業か?」
「あれは、妖物」
瑠璃光が、突然、声を上げたので、紫鳳は、面食らった。
「人に憑依する物。」
瑠璃光の顔を見て、梨王は、顔色を変えた。
「あなた様は。。」
「久しぶりだな。」
そう言いながら、瑠璃光は、青龍の剣を差し出した。
「預かっていた剣を返す時がきたようだ」
使う者を守る剣。瑠璃光は、青白く光る剣を、梨王に差し出した。
「青龍の姉弟だな」
優しく2人の顔を見回した。
「ひょっとすると、ひょっとするかも」
瑠璃香は、口元を緩めた。
「向こうから、わざわざお出ましか?」
「何か、裏がありそうか?」
紫鳳は、どうする?と、両手を挙げたが、瑠璃光は、首を振った。
「危険な相手では、なさそうだ」
引き続き様子を見る事にした。見ると5~6歳位の幼い子供が、閉じていた目をゆっくりと開いた。開いた両目は、淡い緑の瞳をしていた。
「梨王!」
太鼓を抱えていた少女は、湧き上がる水面に座した幼い子に声を上げた。
「隠れていないと、だめでしょう」
水面を体が沈み込む事もなく、滑るように歩いてくる。
「少し、気になる波動があって」
河岸に降り立つ。
「炎の波動があって。」
少女は、青嵐の顔を横目で見た。
「人とは、違う。仙師の方かと」
青嵐の小鼻が、少し膨らむ
「仙師だけど」
少女の前に、立ち塞がり、瑠璃光が呆れているのを遠目で見た。
「そんなに、ちびっこいのが、河の主とはね」
梨王と呼ばれた幼い子供は、気分を害したらしく片目を大きく開いた。
「お前が、先ほどの炎を放ったのか?」
「それが、どうした?」
青嵐は、いつもの癖で、小鼻を膨らませた。
「不味い。瑠璃光。挑発している」
遠く木陰から見ていた紫鳳が、目配せした。
「嫌々。。待て、本質がまだ、見えてこない」
紫鳳が、案じたが、結果、案じた通りになった。梨王が、右手を上げると、つられる様に河の表面が、ざわつき白波が立った。白波は、最初、小さな渦を巻き、踊るように、青嵐めがけて、襲いかかった。
「そんな事だと、思った。炎の輪を幾つも、重ね上げ、青嵐は、白波から、身を守った。白波は、炎にさらされると、音を立てて、白い蒸気となっていった。
「止めて!」
踊り子の少女、翠玉が、声を上げたが、力比べは、止まらなかった。
「なるほど」
梨王は、何に納得したのか、手を下ろした。すると、殺気立つ白波は、静かになり、河面は、落ち着いていった。
「本当のようだな」
梨王は、河の表面から、静かに降り立った。立ち上がると、意外と身長があり、見た目より、年齢は上に思えた。
「失礼しました。本物とお見受けした」
梨王は、頭を下げた。
「この所、怪しい者達が多くて。。。約束を破り、自分達の命を守る為、多くの生き物を殺す輩がいてね」
「あぁ。。河の上流か?」
「あまりにも、無差別に、自分以外を簡単に殺してしまう」
「色とりどりに見えた着物は、あなたの仕業か?」
「あれは、妖物」
瑠璃光が、突然、声を上げたので、紫鳳は、面食らった。
「人に憑依する物。」
瑠璃光の顔を見て、梨王は、顔色を変えた。
「あなた様は。。」
「久しぶりだな。」
そう言いながら、瑠璃光は、青龍の剣を差し出した。
「預かっていた剣を返す時がきたようだ」
使う者を守る剣。瑠璃光は、青白く光る剣を、梨王に差し出した。
「青龍の姉弟だな」
優しく2人の顔を見回した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる