酒涙雨で終わりにしようか?君の心臓を天に捧ぐから。

蘇 陶華

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魔猫は、聖女の剣に主を思う。

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大地の中で、少しずつ、動き回る炎の気配を感じながら、犀花は、白夜狐達と行動を共にする事を選択した。全国にある社は、大地のエネルギーの道筋に立っており、それらは、エネルギーを制御していた。だが、墓陵を制御する事は出来ず、最近は、墓陵の封印を破られてしまう事が起きていた。太古に起きていた事が繰り返されている。
「白夜狐。私は、何をすればいいの?」
犀花は、聞いた。
「何か、力になれると思う」
キリアスの力を制御できる様になった犀花は、立派な戦力になっていた。
「でも、犀花。あなたは、私達と違う。この世界での生活があるのだから・・・ここは、私達に任せて」
真冬は止める。
「いや・・・一緒に来てほしい」
白夜狐は、意外な事を言った。
「我らを助けてほしい」
正面から見据えられて、犀花は、白夜狐の顔に、思わず見惚れてしまった。
「私で、良ければ」
答えたが、聖女の剣は、不死の神との戦いで、どこかに消滅したままだ。
「ただ・・・剣が」
白夜狐は、犀花が目の前に翳した掌を見つめた。
「無くなったんじゃない。元に戻ったんだ」
白夜狐が、宙で何かを掴む動作をすると、白夜狐の掌に、無くしたと思っていた剣が握られていた。
「どうして?」
「君が思うより、ずっと、助けてくれる人がいたって事」
そう言いながら、白夜狐の尻尾が、長く伸び、墓陵の壁を一撃した。黒い影が、横に伸び、床にふわりと降り立つ姿は、あの聖女の可愛がった魔猫へと変わっていった。
「なぜ?お前が、主人の剣を持つ?」
魔猫の口元が、耳まで裂けていた。長い年月が、魔猫を本物の妖物へと変えていた。
「あなたの主の剣だったわね」
犀花がいい終わらないうちに、魔猫は、飛びかかってきた。犀花が、交わす前に、再度、白夜狐の9本の内の1本の長い尻尾が、魔猫を弾く。
「落ち着くんだ。魔猫」
「落ち着いてなんか、いられない。このキリアスのせいで、主人は!」
魔猫は、叩きつけられても、起き上がり、犀花を傷つけようと飛び上がる。その度に、白夜狐の長い尾が、宙を切り、床へと弾いていく。
「キリアスを選んだのは、お前の主人の意志だ。本当は、お前は、わかっていたのでは?」
「わかってなんか・・」
立ち上がり口の中が切れたのか、少し血を吐く魔猫。
「主人が選んだなら、主人の様に、人の為に生きて欲しいだけ。人の血を好むようであって欲しくない」
犀花は、魔猫に近寄った。
「私は、何もできなくて、歯痒い日を過ごしてきた。力を貸してくれるのなら、何か、一つだけなら、できると思うの」
魔猫は、犀花の言葉をじっと聞いている。
「間違った使い方をしないか、見ててくれる?」
犀花は、取り出した聖女の剣を、魔猫に差し出した。
「いつでも、あなたに返すから、少しだけ、借りてていい?」
魔猫は、差し出された聖女の剣を懐かしそうに、鼻をすり寄せ、短く鳴いた。
「貸すだけよ」
そして、静かに頭を垂れた。まるで、聖女を思い出すかのように。
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