それは、人に憑く。邪神備忘録

蘇 陶華

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魔と化したのは、友人か故郷か

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晴先生を同行できなかったのは、大きな痛手だった。
「理解できん」
封雲は、ポツリと呟いた。
こんな時、音羽が居たら、何て言うんだろう。
僕らをあの大きな口に含み、故郷に飛ばすのだろうか。
僕らは、新幹線に乗り、故郷の山寺に向かう事にした。
途中まで、新幹線。在来線とバスを乗り継ぐ事になる。
道中、不思議なニュースが流れてきた。
「何機か、ヘリが墜落したんだって」
新幹線の中で聞いた。
ネットニュースだ。
それは、これから向かう山寺の途中だった。
「もしかしたら、規制線が張られるかも」
「なんで?」
不機嫌そうに封雲が聞く。
「ヘリが何の目的で、飛んでいたんだ」
「山火事の取材だって聞いた」
「山火事の場所って、俺らの山寺の事じゃないか?」
封雲の言いたい事に、ようやく気が付いた。
「意図的な事が起こったって事?」
どこからか、音羽が話しかけている気がした。
「音羽が、封印されていた大岩も、あの山の中にあっただろう?」
「そうだよ」
誰かが、音羽を封印していた。
僕は、あの寺の僧侶が、術を施したと思っていた。
「黄さんに聞いたか?」
「何を?」
小間使いの黄さんに、聞く事なんて、あったか?
「寺自体が、封印する岩の役目を果たしているって、聞いた」
「あの寺が?」
「地の唸りを聞いていただろう?」
夜中に響く、山鳴り。
僕は、懐かしくも、聞いていた。
そんな理由があったなんて。
「その寺が吹き飛んで、あの辺りが燃えた。お前の音羽が消えて、邪神も消えた。何か、起きていると思わないか?」
「そして、封雲。君が現れた」
この音羽が消えたから、封雲が現れたんじゃない。
封雲が現れたから、音羽が消えたのでは?
僕の言葉に、封雲は、小さく笑った。
「僕を疑うのか?」
「あまりにいいタイミングだから」
封雲を疑う訳ではないけど、
僕は、彼を完全に信じている訳ではない。
僕の味方だと言う顔をしながら、封雲は、酷い事のできる奴だった。
音羽は、僕を守ってくれていた気がする。
「だけど、お前は、今、僕しか、頼る人がいないんだよ」
揺れるバスの中で、封雲が呟く。
行き交う景色の中で、たくさんの獣の目が光った気がした。
「僕が、君の命を握っているかもしれないよ」
封雲は、冷酷で、残酷だ。
音羽。
君なら、どうする?
封雲は、仲間をたくさん、読んでいるらしい。
僕は、焼け落ちた故郷に向かいながら、ざわつく思いを抑えられなかった。
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