妄想美少女脳内ポエム

本能寺から始める常陸之介寛浩

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ポエム題材『夏の日差しと汗のにおい』

「陰キャ女子 × 夏 × 汗 × 存在証明」

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 詩作品
『気づかれない汗が、わたしの証だった──教室のすみ、においという名の存在』


 1.静かに呼吸して、静かに汗をかいている
 わたしは、しゃべらない。
 わたしは、目立たない。
 わたしは、後ろの席で、教科書を読むフリをしてる。

 存在感がない、ってよく言われる。
 空気、って。
 壁みたい、って。
 気配がないよね、って笑われる。

 でも、知ってる。
 気配がない人間なんて、ほんとはいない。
 ただ、気づかれたくないだけ。

 だって、
 わたしの中には、ちゃんと汗がある。
 体が熱を持って、
 必死で、今日を生きてる証が、
 ちゃんと、
 にじんでる。

 2.気づかれなくても、においは残る
 教室のすみ。
 夏の日差しが届かない、
 カーテンの影の席。

 誰も近づかない。
 でも、わたしの制服の中では、
 今日も静かに、
 においが生まれてる。

 首筋の内側、
 椅子に当たる腰のあたり、
 ブラウスの胸元──

 誰にも知られないまま、
 わたしだけが知ってる、
 わたしの汗。

 そこにあるのは、
 べたつきでも、汚れでもない。
 “今、生きてた”っていう、名もなき記録。

 3.汗のにおいは、わたしにだけわかる言葉
 朝、教室に入るとき、
 できるだけ静かに歩く。

 廊下で笑い声がしても、目を合わせない。
 うるさい男子たちがふざけてても、気配を殺す。
 友達グループがTikTokの話をしてても、耳を塞ぐ。

 でも──

 シャツの内側では、
 今日も汗がしずくを作っている。

 誰にも見えないけど、
 わたしは、そのにおいで“今”を感じる。

 甘いとも、酸っぱいとも違う。
 “わたしだけの生理的熱”が、
 じんわりと布に移っていく。

 それを嗅ぎ取るのは、
 誰でもない、わたし自身だけ。

 この汗のにおいは、わたし語の詩。
 沈黙でしか書けない、証明書。

 4.「気づかれない」が、なぜか誇らしい午後
 昼休み、
 誰もいない図書室の隅で本を読むふりをする。

 でも、本なんてどうでもいい。
 わたしは、
 この夏のにおいの中に、埋もれてる。

 腕に貼りつくシャツ。
 めくれかけた裾。
 ノースリーブのインナーに染みた微かな体臭。

 誰にも、気づかれない。

 でも、
 この“誰にも見られないまま流れた汗”が、
 なぜか、誇らしくなる瞬間がある。

 わたしは、今ここにいて、
 自分の熱で、自分を証明してる。

 誰かに見せるためじゃない。
 誰かに触れられるためでもない。

 わたしが“わたし”にだけ気づいてる──
 それが、どれだけ尊いことか、
 この匂いが教えてくれる。

 5.孤独って、においがある気がする
 たまに、
 ひとりのまま帰る下校の途中、
 風がふわってシャツを抜けることがある。

 そのとき、
 汗が冷えて、
 生ぬるい風に乗って、
 “わたしのにおい”が宙に溶けていく。

 孤独って、においがある気がする。
 誰にも気づかれずに、
 風といっしょに消えていくような、
 ちょっと哀しくて、でも清潔なにおい。

 誰かと笑い合わなくても、
 SNSに写真を載せなくても、
 わたしは今日、生きて、
 汗をかいて、
 夏を残してる。

 わたしの体の、
 どこか深いところが、
 そう言ってくれてる。

 6.気づかれなくても、生きたにおいは残る
 夕方、制服を脱ぐ。
 脱いだシャツの内側から、
 ふわりとにおいが立ちのぼる。

 ああ、
 今日もちゃんと“わたし”がいた。

 誰にも話しかけなかったけど、
 ノートにメモしただけだったけど、
 笑わなかったし、スマホの通知も鳴らなかったけど、
 この汗が、全部、記録してくれてた。

 このにおいは、
 わたしだけの体が発した、
 唯一の“生”の証拠。

 気づかれなくてもいい。
 消えていってもいい。
 でも、わたしだけは、
 この匂いを覚えている。

 だから、
 わたしは、明日も、
 誰にも気づかれないまま、
 ちゃんと生きていける。

 この汗がある限り。

(了)

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