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第4巻:北ノ庄の炎と母の自害
第2章:炎の果て
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北ノ庄城の夜は、焔に染まる。
石垣が熱く崩れ、風が炎と灰を運ぶ。
わしは母上の手を握り、初と江を背に守る。
小谷城の湖畔は遠く、父上の笑顔は焔に閉ざされる。
――父上。わが目は、炎の果てを捉えたり。
母上がわしらを抱く。
「茶々、初、江。そなたら、生きなされ。わし、勝家殿と共に戦う」
その声は震え、決意に満ちる。
わしは母上の瞳を見る。
「母上、そなた、わしらを置いて死ぬ気か? 長女として、わし、そなたらを守る!」
母上が微笑む。
「茶々、そなた、賢い。されど、戦国の焔は冷たい。そなたら、逃げよ」
初がわしにしがみつく。
「茶々、そなた、母上が……わしら、どうなる?」
その瞳は涙に濡れる。
わしは初の手を握る。
「初、恐れるな。わしがそなたと江を守る」
江が母上の膝で泣きじゃくる。
「茶々、初、母上、怖い……炎が来る!」
わしは江を抱く。
「江、心配するな。わしらがそばにおる」
柴田勝家が広間に立つ。
その姿は甲冄に覆われ、血と汗にまみれる。
「市、そなたと娘たち、最期まで気高くあれ。秀吉に北ノ庄は渡さぬ!」
その声は、低く、雷の如く響く。
母上が勝家の手を握る。
「勝家殿、そなたと共に散る。茶々、そなたら、生きて逃げよ」
わが胸が締め付けられる。
――母上。そなた、再びわしらを置いて焔に散るのか。
わしは叫ぶ。
「母上、勝家殿、わしらを連れて戦え! わし、長女として、そなたらと共にある!」
母上が首を振る。
「茶々、そなた、賢い。されど、そなたらは生きねばならぬ。初と江を頼む」
炎が近づく。
戦鼓が響き、秀吉の軍が石垣を越える。
林佐渡守が裏口に現れる。
「茶々殿、初殿、江殿。焔の果て、そなたらの心を試すか?」
わしは林を見る。
「林殿、そなた、母上を見捨てる気か? わし、そなたらを逃がす!」
林が静かに語る。
「茶々殿、そなた、目が鋭い。市殿と柴田殿は決めた。そなたの父、長政殿も、戦いの果てを選んだ。そなた、その果てをどう刻む?」
わが心が波立つ。
――母上。父上。わし、未だその答えを持たぬ。
わしは答える。
「林殿、わし、初と江を守る。それがわが果てだ。されど、母上の焔、わしも見届ける」
林が頷く。
「よい答えだ、茶々殿。そなたら、逃げよ。戦国の籠は、ここで破れる」
母上がわしらを突き放す。
「茶々、初、江、行きなされ! 生きて、気高くあれ!」
初が泣き叫ぶ。
「母上、そなた、置いていかぬ!」
わしは初と江の手を掴む。
「初、江、母上の意志だ。わしら、生きねばならぬ!」
炎が広間を呑み、母上と勝家の姿が消える。
わしらは裏口を走る。
熱い風が頬を焦がし、灰が目に刺さる。
林が先を導く。
「茶々殿、初殿、江殿。焔の果てを越えよ!」
わしは初と江を引っ張る。
――母上。そなたの焔、わし、忘れぬ。
夜、北ノ庄城の外で、炎が遠く揺れる。
初がわしに凭れ、江が泣きじゃくる。
「茶々、そなた、母上が……わしら、どうなる?」
わしは初と江を抱く。
「初、江、わしがそなたらを守る。長女として、生き抜く」
わしは目を閉じる。
小谷城の炎が、瞼の裏で揺れる。
父上の声が、遠く響く。
――茶々、鷹になれ。
わしは答える。
――父上。わし、目を開き、翼を広げ、焔を越える。
石垣が熱く崩れ、風が炎と灰を運ぶ。
わしは母上の手を握り、初と江を背に守る。
小谷城の湖畔は遠く、父上の笑顔は焔に閉ざされる。
――父上。わが目は、炎の果てを捉えたり。
母上がわしらを抱く。
「茶々、初、江。そなたら、生きなされ。わし、勝家殿と共に戦う」
その声は震え、決意に満ちる。
わしは母上の瞳を見る。
「母上、そなた、わしらを置いて死ぬ気か? 長女として、わし、そなたらを守る!」
母上が微笑む。
「茶々、そなた、賢い。されど、戦国の焔は冷たい。そなたら、逃げよ」
初がわしにしがみつく。
「茶々、そなた、母上が……わしら、どうなる?」
その瞳は涙に濡れる。
わしは初の手を握る。
「初、恐れるな。わしがそなたと江を守る」
江が母上の膝で泣きじゃくる。
「茶々、初、母上、怖い……炎が来る!」
わしは江を抱く。
「江、心配するな。わしらがそばにおる」
柴田勝家が広間に立つ。
その姿は甲冄に覆われ、血と汗にまみれる。
「市、そなたと娘たち、最期まで気高くあれ。秀吉に北ノ庄は渡さぬ!」
その声は、低く、雷の如く響く。
母上が勝家の手を握る。
「勝家殿、そなたと共に散る。茶々、そなたら、生きて逃げよ」
わが胸が締め付けられる。
――母上。そなた、再びわしらを置いて焔に散るのか。
わしは叫ぶ。
「母上、勝家殿、わしらを連れて戦え! わし、長女として、そなたらと共にある!」
母上が首を振る。
「茶々、そなた、賢い。されど、そなたらは生きねばならぬ。初と江を頼む」
炎が近づく。
戦鼓が響き、秀吉の軍が石垣を越える。
林佐渡守が裏口に現れる。
「茶々殿、初殿、江殿。焔の果て、そなたらの心を試すか?」
わしは林を見る。
「林殿、そなた、母上を見捨てる気か? わし、そなたらを逃がす!」
林が静かに語る。
「茶々殿、そなた、目が鋭い。市殿と柴田殿は決めた。そなたの父、長政殿も、戦いの果てを選んだ。そなた、その果てをどう刻む?」
わが心が波立つ。
――母上。父上。わし、未だその答えを持たぬ。
わしは答える。
「林殿、わし、初と江を守る。それがわが果てだ。されど、母上の焔、わしも見届ける」
林が頷く。
「よい答えだ、茶々殿。そなたら、逃げよ。戦国の籠は、ここで破れる」
母上がわしらを突き放す。
「茶々、初、江、行きなされ! 生きて、気高くあれ!」
初が泣き叫ぶ。
「母上、そなた、置いていかぬ!」
わしは初と江の手を掴む。
「初、江、母上の意志だ。わしら、生きねばならぬ!」
炎が広間を呑み、母上と勝家の姿が消える。
わしらは裏口を走る。
熱い風が頬を焦がし、灰が目に刺さる。
林が先を導く。
「茶々殿、初殿、江殿。焔の果てを越えよ!」
わしは初と江を引っ張る。
――母上。そなたの焔、わし、忘れぬ。
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初がわしに凭れ、江が泣きじゃくる。
「茶々、そなた、母上が……わしら、どうなる?」
わしは初と江を抱く。
「初、江、わしがそなたらを守る。長女として、生き抜く」
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