憧れの御曹司が、なぜか私にだけ甘すぎる。けれど私はまだ、あの日の男の子だと気づけない

常陸之介寛浩 @書籍販売中

文字の大きさ
24 / 34

第24話 はじめての“帰りたくない”は、恋の匂いがした

 その日の放課後、私は資料室の前で一度だけ深呼吸をした。

 交流イベントの後処理は、ようやく大きな山を越えつつある。
 今日は確認済みの報告書をまとめて職員室へ回すだけ、と先生は言っていた。
 たぶん、そこまで長引かない。

 長引かない。
 それ自体はいいことのはずなのに、私はそれを考えた瞬間、胸の奥が少しだけさみしくなるのを感じてしまった。

 最近の放課後は、ほぼ確実に一条くんと顔を合わせる。
 資料の確認とか、後処理とか、名簿の仕分けとか。
 全部にちゃんと理由はある。
 でも、その理由の向こう側に、私たちだけの少し甘い時間があることを、私はもう知ってしまっている。

 だから、作業がすぐ終わると聞くと、少しだけ惜しいと思ってしまうのだ。

「……だめだな」

 小さくつぶやいてから、私は扉を開けた。

 資料室の中には、すでに恒星がいた。
 窓際の机に寄りかかるように立っていて、私が入った瞬間、すぐに顔を上げる。

「お疲れさま」
「……お疲れさま」
「来てくれると思ってた」
「来るって言いました」
「うん。でも、言われても嬉しい」
「……」

 最近この人は、本当に隠さない。
 前なら、そういうまっすぐさにいちいち怯えていたのに、今はそれを少しだけ嬉しいと思ってしまう自分がいる。

 そのことに、自分で少し驚く。

「今日の作業」
 恒星が机の上の紙束を指で示す。
「確認済みを学年ごとに分けて、先生の箱に入れるだけ」
「……少ない」
「うん」
「……」
「ちょっと物足りない?」
 その問いに、私は思わず顔を上げた。

 どうしてそういうところだけ、妙に鋭いんだろう。
 言い当てられると困る。

「……別に」
「別に、って顔じゃない」
「一条くん」
「はい」
「そういうの、ほんとに」
「うん」
「見抜かないでください」
「無理かも」
「……」

 彼は少しだけ笑って、机の向かいの椅子を引いた。
「座る?」
「……うん」

 向かい合って資料を仕分け始める。
 単純作業だ。
 それなのに、向かいに彼がいるだけで、空気が少しだけ甘い。

 紙を揃える音。
 窓の外から聞こえる運動部の掛け声。
 夕方へ傾いていく光。

 その全部が静かで、落ち着いていて、でも心臓だけが少し落ち着かない。

「今日」
 恒星がぽつりと言った。
「朝から、ちょっと静かだった」
「……そう?」
「うん」
「それは、いつもでは」
「そういう静かじゃなくて」
 彼は仕分けながら、少しだけ目を細める。
「何か考えてるときの方」
「……」
「当たってる?」
「……たぶん」
「何考えてたの」
 私は少し迷った。

 正直に言うには、少し恥ずかしい。
 でも、もう最近は、彼の前で完全に隠し通すのも難しくなっている。

「……今日、早く終わるって聞いて」
「うん」
「ちょっと、残念かもって」
「……」
「思ってしまったので」
 言い終わって、私は資料の束に視線を落とした。

 あまりにもそのままの本音だった。
 こんなの、ほとんど“もっと一緒にいたい”と言っているようなものだ。

 恒星はすぐには何も言わなかった。
 でも、向かい側の空気がふっと変わったのが分かる。

「……それ」
 彼がようやく言う。
「かなり甘い」
「……」
「今、すごく嬉しい」
「……最近そればっかり」
「だって本当にそうだから」
「……」

 私はますます顔を上げられなくなる。
 でも、こうして嬉しそうにされると、否定したくなくなる自分もいた。

「栞」
 名前で呼ばれる。
 しかも、今のは少しだけ低くてやわらかい。

 私は小さく息を吸った。
「……何」
「作業終わったら」
「うん」
「少しだけ寄り道しようか」
「……寄り道?」
「うん」
「どこに」
「大したとこじゃない」
「……」
「駅前まで行く途中」
「……」

 それはもう、放課後の約束だった。
 名目も何もない。
 ただ一緒に帰るのに、少しだけ寄り道をする。

 そんなの、ほとんど。

「……少しだけなら」
 気づけば、そう言っていた。

 恒星が小さく笑う。
「うん。少しだけ」

   ◇ ◇ ◇

 作業は本当にすぐ終わった。

 資料を箱へ入れて、確認表に印をつけて、先生の机へ届ける。
 たったそれだけなのに、終わってしまうと、やっぱり少しだけ惜しい。

 でも、そのあとがある。
 そう思うだけで、胸の奥が変に熱い。

 校門を出たあたりで、恒星が歩幅を少しだけゆるめた。
 私も自然にそれに合わせる。

 夕方の街は、部活帰りの学生や買い物帰りの人たちでほどよく賑わっていた。
 でも、校内とは違って、学校の知り合いに見られる緊張が少ない。
 それだけで、少し呼吸がしやすい。

「どこに行くんですか」
「コンビニ」
「……コンビニ」
「嫌だった?」
「嫌じゃないですけど」
「よかった」

 本当に、大した場所じゃなかった。
 でもその“普通さ”が、逆に少しだけ甘い。

 コンビニに入ると、恒星は迷いなく飲み物コーナーへ向かった。
 私は少し迷って、温かいミルクティーを取る。

「また甘いやつ」
「……好きなので」
「知ってる」
「……」
「その顔」
「何」
「“また知ってるって言った”って顔」
「……言わないでください」
「ごめん」

 そう言いながらも、彼は楽しそうだ。
 私はもう、最近こういうやり取りをするたびに、少しだけ自分が甘やかされている気がする。

 彼はカフェオレを手に取った。
「今日はブラックじゃないんですね」
「今日は甘い気分だから」
「……」
「またその顔」
「何でもないです」

 レジを済ませて、外へ出る。
 駅前の少し奥まったところに、小さなベンチがある。
 大通りから少し外れていて、人の流れはあるのに、そこだけ少し静かだった。

「ここ」
 恒星が言う。
「座る?」
「……うん」

 ベンチは二人で座ると、少しだけ近い。
 でも、くっつくほどではない。
 その半端な距離が、妙に意識される。

 私は缶を両手で持ちながら、小さく息を吐いた。
 ミルクティーの温かさが手に沁みる。

「落ち着く」
 ぽつりと言うと、恒星が少しだけこちらを見た。
「ここ?」
「うん。学校の中より」
「そっか」
「……見られてないわけじゃないけど」
「うん」
「知ってる人がいないだけで、こんなに違うんだなって」
「……」
「学校だと、どうしても気にしちゃうから」
「うん」
「でも今は」
 私は少しだけ周りを見た。
「ちょっとだけ、普通」
 その言葉に、恒星はほんの少しだけ目を細めた。

「じゃあ」
「うん?」
「今、普通にデートっぽいって思ってる?」
「……!」
 私は缶を落としかけた。

「一条くん」
「ごめん」
「全然ごめんって顔してない」
「ちょっと嬉しい顔してる」
「……」
「図星だった?」
「……そういう聞き方ずるいです」
「うん。でも気になる」

 私は視線を自販機の光るパネルに逃がした。
 頬が熱い。
 でも、否定できない。

 たしかに今、少しだけそう思ったのだ。
 何でもない放課後。
 コンビニで飲み物を買って、駅前のベンチに座る。
 それだけなのに、妙に特別で、妙に甘い。

 こんなの、デート未満だけど、ただの帰り道とも違う。

「……ぽいとは、思いました」
 観念してそう言うと、恒星が小さく息をついた。
 それは笑いと安堵が混ざったみたいな音だった。

「うれしい」
「……」
「じゃあ、俺だけじゃなかった」
「……一条くんも思ってたんですか」
「かなり」
「……」
「学校出たあたりから、ちょっと」
「かなり早いですね」
「だって、栞と二人で寄り道って、それだけで特別だよ」
 その言葉に、私はもう返せなくなってしまった。

 特別。
 たぶん、そうなのだ。

   ◇ ◇ ◇

 ベンチに座って、私たちはしばらくどうでもいい話をした。

 先生の癖の話。
 交流イベントでひまりが他校の子とすぐ仲良くなっていた話。
 資料室の鍵が毎回見つかりにくい話。

 どれも特別ではない。
 でも、その“特別じゃない話”を二人でしている時間が、妙にあたたかい。

 私は缶の残りを少しずつ飲みながら、ふと気づいた。

 今の私は、もう“何を話せばいいんだろう”と悩んでいない。
 彼とこうしている時間そのものが、少しずつ自然になってきている。

 そのことがうれしい。
 でも、同時に少しだけ怖い。

「栞」
 急に名前を呼ばれて、私は反射的に顔を上げた。
「……何」
「今の返事、前より自然」
「……」
「慣れてきた?」
「……少しだけ」
「そっか」
 恒星はその返事を、ほんとうにうれしそうに受け取った。

 そういう顔を見せられるたびに思う。
 この人は、私の小さな変化をいちいち大事にしすぎる。

「……一条くん」
「うん」
「そういう顔」
「どんな」
「嬉しそうな顔」
「うん」
「見ると、変に落ち着かなくなるので」
「どうして」
「……私が何かしたみたいだから」
「してるよ」
「え」
「ちゃんと」
 彼は缶を持ったまま、少しだけ目を細める。
「栞、最近すごく変わった」
「……」
「逃げなくなったし」
「……」
「本音を言ってくれるし」
「……」
「一緒にいてくれるし」
「……」
「それ、俺にはすごく大きい」

 私は缶を持つ指先に力を入れた。

 どうしてそんなふうに言うんだろう。
 私はまだ、大したことはしていない。
 答えも出していないし、好きだって綺麗に言えてもいない。

 でも彼は、そこへ至るまでの小さな変化を、ひとつひとつ拾ってくれる。

 それが、優しすぎて、甘すぎて、苦しい。

「……帰りたくないかも」
 気づけば、そんな言葉がぽろっとこぼれていた。

 自分で言った瞬間、私は本気で固まった。
 何を言っているんだろう、私は。

 恒星も一瞬だけ目を見開いた。
 でもそのあと、ものすごくやわらかい顔で笑う。

「俺も」
「……」
「今、同じこと思ってた」
 私はもう、何も言えなかった。

 帰りたくない。
 ただそれだけのことなのに、その言葉には今の私の気持ちがかなり詰まっていた。

 もっと一緒にいたい。
 この時間が終わってほしくない。
 そう思ってしまっている。

 それを口にしてしまったら、もうごまかせない。

「……でも」
 私はどうにか言葉をつなぐ。
「帰らないと」
「うん」
「明日も学校だし」
「うん」
「……」
「知ってる」
 彼は少しだけ首を傾ける。
「でも、そう思ってくれたなら十分うれしい」

 また、その“十分”だ。
 でも、今日はその言葉が少しだけ切なく響いた。

 たぶん彼も同じように、まだ先へ行けないことを知っている。
 だからこそ、今のこの小さな“帰りたくない”を大事にしてくれるのだ。

   ◇ ◇ ◇

 改札の前で立ち止まる。

 ここまで来るあいだも、私はずっと少しだけ惜しかった。
 時間はちゃんと流れているのに、もっとゆっくり歩けたらいいのにと思ってしまう。

「じゃあ」
 恒星が小さく言う。
「また明日」
「……うん」
「栞」
「何」
「今日は、来てくれてありがとう」
「……私も」
 私は少しだけ迷って、それでも続けた。
「寄り道、できてよかった」
 彼の目がほんの少しだけ揺れる。
 それから、やわらかく笑った。

「うん」
「……」
「次も、また少しだけ付き合って」
「……少しだけなら」
「それでもうれしい」
「……」

 最後まで、やっぱりそう言う。
 でも、もう前みたいには困るだけじゃなかった。

 うれしい、と言われるたびに、私の中にも同じ温度が広がる。

 改札を通って振り返ると、恒星はまだそこに立っていた。
 視線が合う。
 彼は小さく手を上げた。
 私も、ほんの少しだけ同じように返した。

 それだけで、胸の奥がまたくすぐったくなる。

   ◇ ◇ ◇

 帰りの電車の中で、私は窓に映る自分をじっと見ていた。

 頬が、少しだけやわらかい。
 困っているようで、でもどこかうれしそうだ。

 はじめての“帰りたくない”は、恋の匂いがした。

 たぶん、そういうことなのだと思う。
 大きな告白じゃなくても。
 特別な場所じゃなくても。
 コンビニのミルクティーと駅前のベンチだけで、こんなにも気持ちは動く。

 そして私は、もっと一緒にいたいと思ってしまった。

 それはもう、かなり明確な気持ちだった。

「……ほんとに、だめだな」

 小さくつぶやいて、私は窓の外へ視線を向けた。

 でも、その“だめ”は、前よりずっと甘い。
感想 0

あなたにおすすめの小説

初恋を諦めてお見合いに行ったら、私を振ったはずの人に連れ去られました

こじまき
恋愛
【全2話】 孤児のリアナは、自分を育ててくれた牧師のルカの恋をしている。けれど孤児からの告白が受け入れられるはずもなく、リアナはあっさり失恋してしまった。十八歳になったとき、ついに想いに区切りをつけようとお見合いに臨むことを決めたリアナ。けれどそれを聞いたルカは、お見合い会場までリアナを追ってきて… 「本当は、最初から逃がす気なんてなかったのかもね」 ※小説家になろうにも投稿しています

妹の秘密チャンネルで俺の日常が世界に配信されていた件。隠れイケメンがバレて学園の美少女たちから求愛されています

葉山 乃愛
恋愛
私の自慢は、世界一かっこよくて、優しくて、完璧なお兄ちゃん。 でも、お兄ちゃんは自分の魅力にこれっぽっちも気づいていない。 分厚い伊達メガネにボサボサの髪。 「目立ちたくない」なんて言って、せっかくの国宝級の素顔を隠して生きている。 こんなの、世界の損失だ。 お兄ちゃんの素晴らしさを、全人類に分からせなきゃいけない。 そう決意した私、結奈(14歳)は、超人気YouTuberとしての特権をフル活用し、こっそり『お兄ちゃんねる』を開設した。 朝食を作る綺麗な指先。 勉強を教える時の優しい声。 ふとした瞬間に見せる、無自覚で色気たっぷりの微笑み。 「……尊い。お兄ちゃん、今日も最高に輝いてるよ」 隠し撮り配信を始めた結果、チャンネル登録者数は瞬く間に数百万人を突破。 お兄ちゃんはいつの間にか、日本中の女子たちが恋に落ちる『伝説の王子様』になっていた。 そんなこととは露知らず、翌朝、いつものように登校したお兄ちゃん。 そこで彼を待っていたのは、全校生徒による熱狂的な「お兄様」コールと、学園の美女たちによる全力の求愛バトルだった!? 「結奈……助けてくれ。なぜか知らない女子たちに婚姻届を突きつけられているんだが」 ごめんねお兄ちゃん。 でも、もう手遅れだよ。 世界に見つかってしまった「隠れイケメン」な兄と、兄を愛しすぎるブラコン妹が贈る、全方位から愛されまくりの学園ラブコメディ、開幕!

イケメンストーカーに目を付けられましたが全力で逃げます!

Karamimi
恋愛
中学卒業間近に、ラブレターを晒されるというトラウマ的出来事を経験した渚。 もう男なんて大っ嫌い!絶対彼氏なんか作らない! そう決意したはずなのに。 学年一のイケメン、片岡隆太に告白される。 これはきっと何かの間違いだ… そう思っていたのに… どんどんストーカー化する隆太、周りもどんどん固められていき、追い詰められる渚! この絶体絶命の自体に、渚は逃げ切れるのか!

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

なぜ私?スパダリCEOに捕獲され推しの秘書になりました

あいすらん
恋愛
落ち込んでいた私が見つけた最高の趣味。 それは完璧スパダリCEOの「声」を集めること。 動画サイトで最高のイケボを見つけた私、倉田ひかりは、声を録音するためだけに烏丸商事の会社説明会へ。 失業中の元ピアノ講師には、お金のかからない最高のレクリエーションだったのに。 「君、採用」 え、なんで!? そんなつもりじゃなかったと逃げ出したのに、運命は再び私と彼を引き合わせる。 気づけば私は、推しの秘書に。 時短の鬼CEO×寄り道大好き迷子女。 正反対な2人が繰り広げる、イケボに溺れるドタバタラブコメ!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。