『親王だけど、バレずに萌え活したいだけなのに女子に囲まれてる件』 〜茨城県つくば市で始まる、親王殿下の秋葉原文化潜入ライフ〜

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【第14話】 くノ一たちの合同作戦!“千夏排除指令”とラブの交錯

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 春の風が、つくば市の校舎の窓を優しく叩く。
 廊下を吹き抜けた風が、教室に入った瞬間。

 ――張り詰めた空気にぶち当たって跳ね返った。

「睦月、動きが鈍い」

「如月、敵ではなく、机の脚を蹴ったわ」

「ご、ごめんなさいですぅ……でも小春、ちょっと緊張してて……」

 教室の隅。
 そこには、並ぶようにして座る三人の美少女――通称、護衛くノ一トリオ。

 普段はクラスメイトとして振る舞いながら、真の任務はただ一つ。
 皇位継承権第三位・大和武尊殿下の身辺警護および、正体秘匿任務である。

 しかしこの数日、任務に暗雲が立ち込めていた。

 原因は――一人のヤンキー少女。

「――鬼咲千夏。殿下に急接近しすぎだ」

 黒髪ストレートの無口なクールビューティ、睦月が静かに言う。

「昨日も帰り道、ツーショットで歩いてたのを確認してます!小春、見ちゃいました!」
 金髪ツインテのドジっ子ロリ、小春が手をバタバタしながら報告する。

「校門前で、胸ぐら掴みかけたんでしょ。……あれ、アレよね、青春」
 屋根の上が定位置、超絶身体能力の忍猫系美少女、如月が腕を組んだ。

 三人の視線は一斉に、窓の外に集まる。

 そこには――
 教科書を片手に、眉をしかめる大和武尊と、腕を組みながら小突いている鬼咲千夏の姿。

「あー!?この“でんたく”の使い方、マジ意味わかんねーし!」

「それ電卓じゃなくて電子辞書ね」

「どっちでもええわ!」

 放課後、補習組の特別教室で“なぜか”二人きりになってしまった、というのが状況だ。

 小春はブンブン頭を振る。

「い、いけませんです!あの方、殿下に無遠慮に触れすぎです!このままでは……このままではっ……」

「正体がバレる前に、“恋”に落ちたら――どうするつもり?」

 睦月の一言に、トリオは凍った。

 如月がゴクリと唾を飲む。

「……やるしか、ないわね。排除作戦」

「賛成……!」

「殿下を“守る”ためです!」

 3人の間で、無言の合意が交わされた。

 一方その頃。
 補習を終えた武尊は、溜め息をひとつ。

(やべえ……最近、千夏との距離がめちゃくちゃ近い……)

(このままだと……“萌え活”どころじゃなく、“正体”が……)

 机に突っ伏していた千夏が、ふと顔を上げた。

「なぁ、大和。最近さ、クラスの女子、なんかピリついてね?」

「……え?」

「特にあの三人。睦月、小春、如月? あいつら、視線がマジで“戦場”みたいなんだけど?」

「き、気のせいじゃないか……な……?」

(いや、気のせいじゃねえよ!! むしろ気のせいだったら助かった!)

 しかし、運命の糸は容赦なく絡み合っていく――

 その夜、作戦は決行された。

【作戦名:千夏排除指令】

 内容:
 ・ターゲット(千夏)と殿下が偶然鉢合わせする場を作り
 ・天然トラブルを“偶発的”に誘発し
 ・ターゲットに“私たちが不倶戴天の存在だ”と認識させて距離を取らせる

「……要は、女のバトルってことです!」

 と小春はキラキラとした笑顔で言った。

 翌朝、登校途中の武尊が、校門前で足を止めた。

 なぜなら、門の脇には――

「よっ。お前さ、今日の帰り、ちょっと一緒に原付のパーツ屋寄んね?」

 制服のまま、バイクにまたがった千夏の姿があった。

「おい、やめろって……先生に見られたら……!」

「ん? なんだよ、ビビってんのか?」

「ち、違う……って、あれ?」

 校門の横、いつの間にか――

 睦月、小春、如月が完璧なトライアングル配置で立っていた。

「大和武尊。少し、話がある」

「武尊さーん、朝から甘い匂いがしますですぅ~。あれ、もしかして“某ヤンキー”の香水……?」

「まさか、女の子と二人乗りなんてしてないわよね?」

 千夏の眉がピクッと動いた。

「おい、そこの三人……さっきからなんか言いたげだけどよぉ」

「……別に」

「わたしたちは、殿下のことを一番知ってる存在ですから」

「まさか、“表の顔しか知らない”とか?」

 パチン。

 千夏のこめかみに青筋が一本走った。

「てめぇら、上等だな……!」

 睦月がサッと木刀(木の枝)を構え、小春が団扇をパタパタ、如月がすでに木の上にいた。

 武尊が慌てて両手を広げた。

「やめろーーー! 俺の正体がバレる前に、校舎が吹っ飛ぶ!!」

「問題ありません! これは**女子の戦争(スクールラブバトル)**です!」

「大和武尊は……誰の“隣”に立つのか、それを決める戦いです!!」

「……って、そこまで重くしなくていいから!!」

 5分後、学年主任に目撃され、全員連帯責任で“早朝清掃当番”となった。

 掃き掃除をしながら、千夏が小さく呟く。

「まったく……あいつら、何者だよ。普通じゃねぇ」

「お前もだよ……」

 武尊が思わず本音を零すと、千夏はニヤリと笑った。

「でもさ……あたし、アイツらのこと、ちょっとわかる気がすんだよね」

「え?」

「――“あんたに惹かれる女の気持ち”、ってやつ?」

「~~~~!?」

 武尊は赤面して、掃除のモップを抱えたまま、バタッと倒れた。

 その夜。

 アパートの監視室で報告をまとめていた睦月が、ふと呟く。

「計画、失敗」

 如月が頷く。

「むしろ逆効果」

 小春がにこりと笑った。

「……これって、恋のライバルが増えただけ、ですよね?」

 三人はそっと顔を見合わせ、静かに深いため息をついた。

 ――そして戦いは続く。

 次回、さらに混迷を極める正体バレ&ラブの交錯劇へ!

【To be continued…】
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