❤美少女くノ一と独眼竜『俺は豊臣の家臣じゃねぇ──逆襲の刻を待つ!』独眼竜記―伊達政宗異聞 千年の龍、東北を翔ける!

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二十三章《政略の極北編──裂けゆく天下、黙する龍の選択》

第256話『戦後処理──三成の首は、誰が得た?』

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 江戸より届いた文は、簡潔だった。

 ──石田三成、捕縛。京都六条河原にて斬首。

 それは、戦国の秩序を決定的に変えた一報であった。

 伊達政宗は、白石城の奥書院にて、その報を静かに読んだ。家臣らが廊下にひれ伏す中、ただ一人、彼の眼差しは遠く、時代の果てを見ていた。

「ついに……か」

 その唇が静かに動いた。

 隣には、片倉景綱が控えていた。筆頭家老にして政宗の右腕たる男は、報せに何か反応を求めるかのように主君を見つめていたが──

「三成は、敗けた。だが、奴が目指したものは、敗けてはおらぬ」

 政宗の声音は静かだった。

「正しさをかざし、理を以て世を律しようとした。……だが、“正しき者”は、得てして最も脆い。民の声を聞きすぎて、時代の叫びに気付けぬ」

 政宗の指が、机上の文を撫でる。その白紙に見えぬ未来が浮かび上がっているかのようだった。

「父祖の地に火をつけてでも、徳川を倒そうとした者もいた。だがそれはただの“忠義”でしかない。三成は、“設計者”であろうとした。理想を形にする力を持った……」

 景綱が問うた。

「政宗様……その首、誰が討ったか、気になられますか?」

 政宗は一瞬、目を閉じた。

 そして答える。

「首を討った者が、天下を得るのではない。“秩序を作った者”が、次を握る」

 景綱は息を呑んだ。政宗の目には、すでにこの戦の“その先”が映っている。

「家康公はそれを心得ている。だからこそ、三成を“粛清”したのであって、“讐敵”として処したのではない。……あの御仁は、怒らぬ。恨まぬ。ただ、淡々と“盤を動かす”」

 政宗は立ち上がると、窓の外へ視線を移した。東の空にかかる薄雲が、戦乱の余燼のように漂っていた。

「関ヶ原は終わった。だが、奥羽に真の安寧はまだ来ぬ。上杉は、ただ退いたにすぎぬ。次は“我ら”がこの地をどう統べるかだ」

「……政宗様」

「我は、今ようやく“座”に着いた。かつての奥羽の猛者たちが夢破れ、死んでいった座に。そこに座ってからが“戦”だ。三成のような才子が散った今、この国をどう動かすか──真の勝者はこれから決まる」

 政宗は手を背に組み、語るでもなく呟く。

「三成の首、それは時代の“終わり”ではない。“始まり”を告げる口火だ。我らが目指すべきは……その先の“形”だ」

 その言葉の重みに、景綱は背筋を伸ばした。

 かつて、ただ武を誇った東北の若武者は、いまや天下を睨む“視座”に立っていた。

 家康は盤を制し、三成は去った。

 だが、この国に真の“統治”が生まれるのは──これからだ。

 政宗の眼は、北の空の向こう、まだ見ぬ未来を睨んでいた。

 冷たい風が、奥羽の地を撫でていく。

 それはまるで──新たな“秩序”の訪れを告げる風だった。

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