異世界おっぱい❤『おっぱいに誠実で何が悪い!〜異世界転生したら悪役令嬢の味方になってた件〜』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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《選ばれざる乳たち──誠実の次元を超えて》編

第83話『王都に忍び寄る“無乳派”の影──禁乳結社《セラフィカ》、再起動』

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 春の終わり、王都ラグリスは穏やかな陽光に包まれていた。
 しかし、その空気の裏側に、静かなる不穏の波が満ち始めていることに、まだ誰も気づいていなかった。

 数多の「誠実乳姫」たちによる婚約選定式──そして、拓真による“誰も否定しない”という胸の宣言──が幕を下ろしてから数週間。
 世は一見、平穏を取り戻したかに見えた。

 だが、選ばれなかった者たちの中に、ある種の“揺れ疲れ”が蔓延していた。
 恋に胸を張っても報われない。
 揺れても、見られても、何も変わらない。

 ──ならば。
 そもそも、その「乳」こそが、世界の価値を歪めているのではないか?

 その問いを旗印に、再び《彼女たち》は動き始めていた。

 ◆

 王都・第七区、かつての女学院跡地。
 その地下にある廃ホールに、黒衣の者たちが次々と集まってくる。
 誰も声を発さない。
 だが、その足取りは迷いなく、確信と静かな激情に満ちていた。

 壇上に姿を現したのは、白銀の巻き髪に氷のような瞳を持つ女性──メルティア・グラティス。
 かつてラグリス王家に仕えた誇り高き侍女頭。
 だが“揺れ”を肯定する令嬢たちの台頭により、任を解かれた人物でもある。

「……その日、私は“存在しない者”になった」

 静かに告げられるその言葉に、場の空気が凍りつく。
 メルティアの声は震えていない。
 むしろ、凛として美しい。

「私は、胸囲七十に届かぬ者。
 “揺れ”など知らず。
 “注がれる目”など、ついぞ浴びたことはなかった」

 彼女はゆっくりとローブを脱ぐ。
 その下にあるのは、華奢で引き締まった身体。
 誰よりも気品に満ちていながら、世に価値を与えられなかった胸。

「だが私は、誠実であった。誰よりも忠実で、誰よりも尽くした。
 それでも、揺れぬ者は価値がないと?
 “愛されない器”と、そう言われ続けろと?」

 その叫びに、全員が静かにうなずく。
 誰一人、言葉にしない。
 だが、ここにいる者たちは全員、“揺れない乳”を持ち、愛を語る資格を奪われた者たちだった。

 メルティアは静かに両手を掲げる。

「禁乳結社《セラフィカ》、今ここに再起動する!」

 場内に響き渡る拍手も歓声もない。
 だが、誰もが頷いていた。
 この街に再び“乳を拒む思想”が芽吹き始めているのだと。

 ◆

 一方、王宮ではその兆候を密かに察知していた者がいた。
 巫女ソフィアである。

 「……“無乳派”の動き、予想より早いわね」

 王宮神殿で祈りを捧げる傍ら、ソフィアは密かに文をしたためていた。

 《セラフィカ、再始動》

 そこには、既に離脱を宣言したリリアーヌや、湯乳郷にいるヒロインたちの名も添えられている。
 この闘いは“胸の戦い”などではない。
 “胸の存在意義”そのものを問う、思想の戦争。

「……私たちが選ばれるかどうかじゃない。
 誰が“選ぶ資格”を持つのか。
 その定義自体が、試されてる」

 ソフィアは静かに祈る。
 それは神への祈りであり、同時に未来への宣誓だった。

 ◆

 その夜、メルティアは仮面を外して星空を見上げていた。

「ラグリスの空は、まだ“揺れ”を正義と見なしている。
 けれど私は……揺れぬ胸にも、誠実があると、証明したい」

 その言葉は、ただの復讐ではない。
 彼女の心の奥底に、今も確かに息づく“愛されたかった”という願い。

「……あなたが、私を見なかったから」

 そう呟いたその瞳に浮かぶのは、誰にも語られぬ一人の面影だった。
 拓真──あるいは、あの日すれ違った、誰か。

 そして、世界は再び乳を巡る思想戦へと突入する。
 乳を掲げる者と、乳を否定する者。
 それは決して、どちらが正しいという話ではない。

 これは、“自分の胸を選ぶ自由”をめぐる、

 静かで、しかし確かに熱を帯びた戦いの、幕開けだった。
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