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①⑨話 お初の感
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流石に朝方、うとうとしていると、お初が泣きながら目を覚ました。
その声に私ははっと目を覚まし、布団の中で身を起こした。
お初の小さな身体が震え、涙が彼女の頬を濡らしていた。
あのあと寝ていなかったであろう母上様が、疲れた顔を隠すように微笑みながらお初を抱き寄せた。
「どうしました? 恐い夢でも見ましたか?」
母上様の声は優しく、お初の頭をそっと撫でていた。
お初は鼻をすすりながら、震える声で答えた。
「うん、うん、兄上様が槍で刺された夢、でね、血を流しながら川に入っていくの。私は必死にだめ、行っちゃだめって兄上様を追いかけるんだけど川にたどり着けないの。川の向こう岸ではね、父上様とお祖父様の影が見えたの」
その言葉に、私の胸が締め付けられた。
お初の夢が、まるで兄上様の最期を暗示しているように感じられた。
母上様は穏やかに微笑み、お初を慰めるように言った。
「それは恐い夢でしたね。ですが、万福丸を極楽浄土に行くために父上様達が万福丸を探していたのでしょう」
お初は首をかしげ、涙を拭いながら母上様を見上げた。
「なんで? 兄上様は父上様と一緒にお城で死んだから一緒に極楽浄土に行ったんじゃないの?」
母上様は一瞬目を伏せたが、すぐに優しい声で答えた。
「さぁ~万福丸はどこかで道草でも食っていたのですよ。川魚と戯れていたのかもしれませんね」
母上様はお初を優しく諭していた。
彼女の声は穏やかで、まるで何事もなかったかのように聞こえた。
でも、真実を知ってしまった私は、その優しさが逆に腹立たしく感じてしまった。
「なぜに嘘をつく必要があるのですか?」
そう言いたかったが、グッと堪えた。
お初の純粋な瞳を見ると、彼女に真実を告げることはできなかった。
私は母上様の話に乗るように、静かに口を開いた。
「兄上様は私達の為に鮒でも捕まえようとしていたのかもしれませんね」
お初は目を丸くして、私を見た。
そして、少し笑顔を取り戻しながら言った。
「いっぱい捕ろうとしていたのかな? 兄上様」
母上様が言葉を続けると、お初の声に少しずつ元気が戻ってきた。
「きっとそうでしょう。鮒寿司にする立派な大きい鮒捕まえようとしていたのかも」
お初は目を輝かせて言った。
「母上様、鮒寿司食べたい」
「そうですね、全てが落ち着いたら近江から取り寄せましょう」
「お願いします。母上様」
「はいはい、まだ朝早いですから二人とも布団に戻り目を瞑りなさい」
「はい、母上様」
落ち着いたお初はまた布団に戻り、しばらくすると寝息が聞こえた。
私はどうしても寝ることができなかった。
お初の寝息を聞きながら、私は布団の中で目を閉じたが、
頭の中は兄上様のことでいっぱいだった。
朝焼けが障子越しに部屋を薄明るくした。
私は布団から起き上がり、小さな箱から兄上様がくれた石を取り出した。
それを握り締めながら、私は心の中で呟いた。
「兄上様、私、諦めません。約束です」
織田信長、許さない。羽柴秀吉、許さない。
絶対に、この恨みを晴らす。
浅井家の血を残すために、私は生きる。
その声に私ははっと目を覚まし、布団の中で身を起こした。
お初の小さな身体が震え、涙が彼女の頬を濡らしていた。
あのあと寝ていなかったであろう母上様が、疲れた顔を隠すように微笑みながらお初を抱き寄せた。
「どうしました? 恐い夢でも見ましたか?」
母上様の声は優しく、お初の頭をそっと撫でていた。
お初は鼻をすすりながら、震える声で答えた。
「うん、うん、兄上様が槍で刺された夢、でね、血を流しながら川に入っていくの。私は必死にだめ、行っちゃだめって兄上様を追いかけるんだけど川にたどり着けないの。川の向こう岸ではね、父上様とお祖父様の影が見えたの」
その言葉に、私の胸が締め付けられた。
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母上様は穏やかに微笑み、お初を慰めるように言った。
「それは恐い夢でしたね。ですが、万福丸を極楽浄土に行くために父上様達が万福丸を探していたのでしょう」
お初は首をかしげ、涙を拭いながら母上様を見上げた。
「なんで? 兄上様は父上様と一緒にお城で死んだから一緒に極楽浄土に行ったんじゃないの?」
母上様は一瞬目を伏せたが、すぐに優しい声で答えた。
「さぁ~万福丸はどこかで道草でも食っていたのですよ。川魚と戯れていたのかもしれませんね」
母上様はお初を優しく諭していた。
彼女の声は穏やかで、まるで何事もなかったかのように聞こえた。
でも、真実を知ってしまった私は、その優しさが逆に腹立たしく感じてしまった。
「なぜに嘘をつく必要があるのですか?」
そう言いたかったが、グッと堪えた。
お初の純粋な瞳を見ると、彼女に真実を告げることはできなかった。
私は母上様の話に乗るように、静かに口を開いた。
「兄上様は私達の為に鮒でも捕まえようとしていたのかもしれませんね」
お初は目を丸くして、私を見た。
そして、少し笑顔を取り戻しながら言った。
「いっぱい捕ろうとしていたのかな? 兄上様」
母上様が言葉を続けると、お初の声に少しずつ元気が戻ってきた。
「きっとそうでしょう。鮒寿司にする立派な大きい鮒捕まえようとしていたのかも」
お初は目を輝かせて言った。
「母上様、鮒寿司食べたい」
「そうですね、全てが落ち着いたら近江から取り寄せましょう」
「お願いします。母上様」
「はいはい、まだ朝早いですから二人とも布団に戻り目を瞑りなさい」
「はい、母上様」
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私はどうしても寝ることができなかった。
お初の寝息を聞きながら、私は布団の中で目を閉じたが、
頭の中は兄上様のことでいっぱいだった。
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私は布団から起き上がり、小さな箱から兄上様がくれた石を取り出した。
それを握り締めながら、私は心の中で呟いた。
「兄上様、私、諦めません。約束です」
織田信長、許さない。羽柴秀吉、許さない。
絶対に、この恨みを晴らす。
浅井家の血を残すために、私は生きる。
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