前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
63 / 234

第61話:草津温泉湯揉みと温かき便器

しおりを挟む
俺、佐藤太一、18歳。

この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。

最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。

昨日は中世ヨーロッパの汚物まみれの城で臭すぎて心が死んだし、もう汚すぎる場所はマジで勘弁って思ってた。

清潔で気持ちいい場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を温泉にぶち込んでくる。

今日は昼に食った日本の「温泉卵」が胃の中でモヤモヤしてて、半熟の黄身と塩気が腹をギュルギュル鳴らしてる。温泉っぽい気分で食ったのが運の尽きだ。

トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。

「うおっ、草津温泉!?」

目の前には、熱気ムンムンの湯揉み会場。

木の板を持った女性たちが「ヨイショー!」って掛け声あげてて、温泉水が「チャプチャプ!」と揺れてる。

観光客が「すごいね!」って拍手してて、湯気が「モワモワ」立ち上ってる。

遠くで硫黄の香りが「フワッ」と漂ってて、木造の建物が「ギシッ」と鳴ってる。

で、俺はいつものように便器ごと、その湯揉みパフォーマンスのど真ん中にポツンと出現。

「いや、マジかよ……草津温泉の湯揉み最中でトイレって、清潔だけど熱すぎだろ!」

すぐ横では、湯揉みのお姉さんが「温泉を冷ますんだよ!」って観光客に説明してて、子供が「楽しそう!」ってはしゃいでる。距離、3メートルくらい。

温泉卵の黄身の匂いが鼻に残ってても、硫黄と湯気の香りに混ざって不思議な感じだ。

この温かい場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツが汗でビショビショで、熱気が肌にまとわりついてくる。

「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。

でもこの近さ、お姉さんの「よいとー!」ってリズミカルな声や、板の「パシャッ!」って水をかく音が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 会場の空気が温かくて賑やかで、便器が木の床にドカッと浮いてるのが気まずい。

こんな清潔な場所で用を足すとか、羞恥心が湯気より濃く立ち上っちまう。

熱すぎて、心が緊張で締め付けられてる。

腹の中じゃ、温泉卵の黄身と白身がグチャグチャ暴れてる。

時間がない。こんな場所でミッションとか、心が温かさと羞恥で爆発しそう。

お姉さんが「みんなもやってみる?」って観光客に呼びかけてる中、俺は必死に腹に力を入れる。

「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」

その時、子供が俺のすぐ横まで来て、「お湯あったかいね!」って手を伸ばしてきた。やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。

でも子供、俺をスルーして「ママ、見て!」って湯気に手を振って離れた。

見えてねえよな……よな? でもその瞬間、湯気が「モワッ!」って便器に直撃して、熱が「ジリッ!」と伝わってきた。「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。

湯揉みの掛け声に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。

お姉さんが一瞬「ん?何か聞こえた?」って顔して首傾げた。やばい、音でバレる!?

ぷすっ。

「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」

光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。

換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。

全身汗だくで、温泉卵の塩気と硫黄の残り香が混ざって混乱。

心がまだ草津温泉の熱気で震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。

「草津温泉の湯揉みって……温かい清潔さの前でトイレとか、熱すぎて心が茹で上がるだろ……」

考えてみれば、お姉さんや子供、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 

「何か聞こえた?」は偶然だろ。

でも、あの湯気の中でやった事実は消えねえ。

俺のメンタル、もう温泉の湯みたいにグツグツしてるよ。

「ったく、次はどこだよ……もう熱すぎるとこはマジで勘弁してくれ」

温泉卵は当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。

でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

猫のモモタ

緒方宗谷
児童書・童話
モモタの出会う動物たちのお話。 毎月15日の更新です。 長編『モモタとママと虹の架け橋』が一番下にあります。完結済みです。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

処理中です...