前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第83話:紅白の蛍の光と楽しい便器

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俺、佐藤太一、18歳。

この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。

最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。

昨日は異世界で勇者が刺されて怖すぎて心がボロボロになったし、もう怖すぎる場所はマジで勘弁って思ってた。

楽しい場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を紅白にぶち込んでくる。  

今日は昼に食った「年越しそば」が胃の中でモヤモヤしてて、つゆの旨味と蕎麦の重さが腹をギュルギュル鳴らしてる。

大晦日気分で食ったのが運の尽きだ。

トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。  

「うおっ、紅白!?」  

目の前には、NHK紅白歌合戦の締めの場面。

出演者が「♪蛍の光~」って大合唱してて、観客が「ジーン」と涙ぐみながら手をつないでる。

拍手が「パチパチ!」と響き、紙テープが「ヒラヒラ」と舞ってる。

遠くで司会が「良いお年を!」って叫んでて、照明が「キラキラ」と輝いてる。

で、俺はいつものように便器ごと、そのステージのど真ん中にポツンと出現。  

「いや、マジかよ……紅白の蛍の光でトイレって、楽しいすぎて気まずすぎだろ!」 
 
すぐ横では、歌手たちが「♪窓の雪~」って声を合わせてて、アイドルが「感動した!」って笑顔で手を振ってる。

距離、メイン歌手まで3メートルくらい。

年越しそばのつゆの匂いが鼻に残ってても、会場の汗と花の香りに混ざって混乱だ。
この華やかな場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。

Tシャツが汗でビショビショで、場違い感がやばい。  

「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。

でもこの近さ、「♪別れの時~」って歌声や、観客の「うおー!」って歓声が耳にガンガン入ってくるんだぞ!

ステージの空気が温かくて賑やかで、便器が床にドカッと浮いてるのが気まずい。

こんな楽しい場面で用を足すとか、羞恥心が紅白の視聴率よりデカい。

楽しいすぎて、心が緊張で締め付けられてる。  

腹の中じゃ、年越しそばの蕎麦とネギがグチャグチャ暴れてる。

時間がない。

こんな場所でミッションとか、心が感動と羞恥で爆発しそう。

歌手が「♪友と~」って最後のフレーズを歌い上げる中、俺は必死に腹に力を入れる。  

「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」  

その時、アイドルが俺のすぐ横まで来て、「最高の年越し!」って観客に手を振った。

やばい、見つかる!?

俺は慌てて息を止めて固まる。

でもアイドル、俺をスルーして「ありがとう!」って笑って離れた。

見えてねえよな……よな?

でもその瞬間、紙テープが「バサッ!」と便器に引っかかって、「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。
  
紅白の喧騒に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。

司会が一瞬「ん?何か聞こえた?」って顔して首傾げた。

やばい、音でバレる!?  

ぷすっ。  

「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  

光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。

換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。

全身汗だくで、年越しそばのつゆの匂いが鼻に残ってる。

心がまだ紅白の楽しさで震えてる。

息を整えながら、俺は呟いた。  

「紅白の蛍の光って……楽しい締めの前でトイレとか、気まずすぎて心が崩れるだろ……」  

考えてみれば、歌手も観客も俺のこと本当に気づいてなかったよな?

「何か聞こえた?」は偶然だろ。

でも、あの感動の中でやった事実は消えねえ。

俺のメンタル、もう紅白の紙テープみたいに絡まってるよ。  

「ったく、次はどこだよ……もう気まずすぎるとこはマジで勘弁してくれ」  

年越しそばは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。

でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。  


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