前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー～うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと！～

第98話：彩花と美咲の温泉とリラックスな便器

俺、佐藤太一、18歳。

この呪われたトイレに振り回される生活、もう慣れっこだけど毎回予想外だ。

昨日は彩花と美咲のジェットコースター勝負で緊張すぎて心がグワングワンしたし、もう緊張すぎる場所はマジで勘弁って思ってた。

リラックスできる場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を温泉にぶち込んでくる。  

昼に食った温泉街の怪しいキノコ天ぷらが腹の中で暴れてる。

トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。  

「うおっ、温泉!?」  

目の前には、温泉街の露天風呂。

俺が好きな山本彩花が「美咲ちゃん、気持ちいいね～」って湯に浸かってて、ヤンデレの佐々木美咲が「彩花先輩と一緒なら最高だよ…太一くんもそう思うよね？」って微笑んでる。

湯気が「モワモワ」と立ち上り、水面が「チャプチャプ」と揺れてる。

遠くで風鈴が「チリン」と鳴り、木々が「サアア」と揺れてる。

で、俺はいつものように便器ごと、そのリラックス空間のど真ん中にポツンと出現。 
 
「いや、マジかよ……彩花と美咲が仲良く温泉でトイレって、リラックスすぎて気まずすぎだろ！」  

すぐ横では、彩花が「ジェットコースターの疲れが取れる～」って肩を揉んでて、美咲が「彩花先輩、私がマッサージしてあげるよ！」って手を伸ばしてる。

距離、彩花まで2メートル、美咲まで3メートルくらい。

硫黄と木の匂いが鼻にガンガンくる。

この穏やかな場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。

Tシャツが汗でビショビショで、場違い感がやばい。  

「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。

でもこの近さ、彩花の「美咲ちゃん優しいね」って優しい声や、美咲の「太一くんのためなら何でもするよ…」って呟きが耳にガンガン入ってくるんだぞ！

温泉の空気が温かくて静かで、便器が石畳にドカッと浮いてるのが気まずい。

こんな場面で用を足すとか、羞恥心が温泉の熱さより強い。

リラックスすぎて、心が緊張で締め付けられてる。  

腹が限界だ。

キノコ天ぷらがグチャグチャしてる。

時間がない。

こんな場所でミッションとか、心が穏やかさと羞恥で爆発しそう。

彩花が「次は一緒に入ろうね！」って笑う中、俺は必死に腹に力を入れる。  

「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ！」  

その時、美咲が俺のすぐ横まで来て、「太一くんの気配がする…」って湯をかき分けた。

やばい、見つかる!?

俺は慌てて息を止めて固まる。

でも美咲、俺をスルーして「彩花先輩、ここ気持ちいいよ！」って戻って離れた。

見えてねえよな……よな？

でもその瞬間、湯が「バシャッ！」と便器に跳ねて、「うっ！」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。  

温泉の静けさに紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。

彩花が一瞬「ん？何か聞こえた？」って顔して首傾げた。

やばい、音でバレる!?  

ぷすっ。  

「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」 
 
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。

換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。

全身汗だくで、心がまだ温泉の穏やかさで震えてる。

息を整えながら、俺は呟いた。  

「彩花と美咲の温泉って……リラックスな風呂の前でトイレとか、心が崩れるだろ……」  

考えてみれば、彩花も美咲も俺のこと本当に気づいてなかったよな？

「何か聞こえた？」は偶然だろ。

でも、あの仲良しな場面でやった事実は消えねえ。

俺のメンタル、もう温泉の湯気みたいにフワフワだよ。 
 
「ったく、次はどこだよ……もう気まずすぎるとこはマジで勘弁してくれ」
  
キノコ天ぷらは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。

でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。