前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第198話:異世界の火あぶり救出劇がまさかの大混乱!? もう恥ずかしくて異世界に逃げたいよ!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯は嫌いじゃないけど、最近は控えめにしてるつもりだ。
 友達の手料理も優しい味を頼みたいのに、つい刺激的なもんに手が伸びちまう。
 それでも俺の胃は、たまのスパイスや妙な食い物でやられちまう。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は岩手県三陸リアス式海岸で、絶景をカオスに変えてしまった。
 その前は龍泉洞の神秘を穢してしまったし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 美月が「太一、秋っぽいメニューだよ!」って持ってきた手作りバーベキューを食ったんだ。
「優しい味にしたから!」って言ってたけど、隠し味のスパイスが効きすぎてたのか、胃がビックリしたみたいだ。
 バーベキューは炭火で焼いた肉と野菜が美味かったけど、食べ終わった後にじわじわ来る感じで、「美月の優しさにもスパイスが潜んでるのか……」って実感したよ。
 スモーキーな風味とピリッとした後味が絶妙だったけど、胃にはちょっと刺激が強すぎたみたいだ。  
 学校から帰って少しゲームしてたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 焦げた木の匂いと、燃える炎の熱気が鼻と耳を襲ってきた。
 目の前には異世界の広場、勇者が火あぶりにされ、美少女エルフが救出に飛び込む場面。
 俺の便器は、その広場のど真ん中、火あぶりの杭の真横にポツンと出現。  
「うおっ、異世界!? 火あぶり救出劇かよ!?」  
 広場には中世風の石畳が敷かれ、燃え盛る炎が「ゴオオオ!」と唸ってる。
 勇者が「うぐっ、助けてくれ!」って杭に縛られて叫び、美少女エルフが「我が弓で貴様らを討つ!」って矢を放ちながら飛び込んでくる。
 周りには怒号を上げる群衆が「魔物を焼け!」って叫び、衛兵が「エルフめ、止めろ!」って剣を構えてる。
 遠くには異世界の森と尖った塔が見え、空には二つの月が浮かんでる。
 この緊迫とドラマチックな場面のど真ん中に、俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺が異世界の新キャラみたいになってるよ。
 勇者とエルフの壮絶な救出劇が俺の便器でぶち壊しになってて、どうしていいか分かんねえよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 美月のバーベキューの隠し味が下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、勇者が火あぶりにされてる異世界で、どうやって集中しろって言うんだよ!
 エルフが「貴様ら、覚悟しろ!」って弓を構え、衛兵に矢を放ちながら勇者の縄を切ろうとしてる。
 群衆が「魔物め!」「エルフめ!」って叫び、炎が「パチパチ!」と燃え上がる。
 その横で俺の便器が火あぶり杭の脇に鎮座してて、衛兵が「何か妙な気配が……」って俺の方チラ見してる気がする。
 炎の熱気と群衆の怒号が俺を締め付けてくるよ!  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する――って、煙吸って咳き込んじまった!
 その瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 広場の喧騒が一瞬止まって、勇者が「何!?」って目を丸くし、エルフが「新たな魔物か!?」って弓を構える。
 群衆が「何だ、この音!?」ってざわつき、衛兵が「敵の援軍か!?」って剣を振り回す。
 見えてないはずなのに、腹音でバレかけてて、俺、自分の腹に「異世界の救出劇で鳴くなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、音が広場に響いた!」  
 炎の「ゴオオオ!」に混じって音が響き、群衆が「何だ!?」って一斉にざわつく。
 勇者が「助けが来たか!?」って混乱し、エルフが「魔物の気配か!?」って矢を構えたままキョロキョロする。
 見えてないはずなのに、音が火あぶりの緊迫感を切り裂いてバレちまったじゃん!
 衛兵が「新たな敵だ!」って叫び、群衆が「魔物が仕掛けてきたぞ!」ってパニックになる。
 そこに匂いが漂ってきて、衛兵が「この臭い、何だ!?」って鼻押さえ、観光客ならぬ群衆が「魔物の呪いか!?」って騒ぎ出す。
 炎が「パチパチ!」と燃え上がり、風が「サー!」と吹き抜ける中、俺の便器の周りが異様な空気に包まれる。
 広場全体が「謎の音と匂い」でカオスになって、俺、この異世界の救出劇を台無しにしちまった罪悪感で頭おかしくなりそうだよ!
 エルフが「勇者、今だ!」って縄を切るけど、群衆が「魔物が近くにいる!」って逃げ惑ってる。  
「待て待て、俺は魔物じゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回は異世界の緊迫した場面を汚した焦りと羞恥しかない。
 群衆が「魔物の呪いだ!」って叫び、衛兵が「敵を捜せ!」って走り回る。
 勇者が「助かった……が、何だこの臭い?」って困惑し、エルフが「魔物の気配が消えない……」って警戒する。
 俺のせいで「火あぶりオナラ事件」なんて語られたらどうすんだよ!
 この異世界のドラマチックな瞬間が俺のせいで汚れちまった罪悪感で、笑うどころか異世界に逃げ出したくなるよ!  
「いや、勇者とエルフ、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って恥ずかしくて死にそう!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、異世界の救出劇をカオスに変えた羞恥がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 異世界で勇者の火あぶり救出劇を台無しにするなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、群衆の怒号とエルフの鋭い目が俺を追い詰めた。
 あの火あぶり杭の脇で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でも美月のバーベキューの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯や激辛、トイレにちなんだ食い物は控えめにしたいけど、つい手が伸びちまうんだよな。
 美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や観光地をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は異世界のドラマを汚しちまったよ。
 あの炎とエルフの弓矢が頭から離れねえよ。
 異世界の勇者とエルフ、ごめんな。
 お前らの救出劇を汚しちまったよ。
 次は頼むから穏やかな場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し落ち着いて、深呼吸したいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 美月の隠し味が俺を離してくれねえ。
 異世界の炎と群衆の叫びが頭に残ってて、ちょっと緊迫した気分になるけど、思い出したら羞恥で震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも静かな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 バーベキューなんて、もうしばらく食わねえ……って、思うけど、美月がまた持ってきたら断れねえだろうな。
 このトイレのせいで食い物の選択までおかしくなってるんだから、俺の胃とメンタル、どうなってんだよ。
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 異世界でやらかしただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの火あぶりのど真ん中でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  

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