前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第208話:ハワイアンズで南国の楽園がまさかの大混乱!? もう恥ずかしくてプールに潜りたいよ!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯は嫌いじゃないけど、最近は控えめにしてるつもりだ。
 友達の手料理も優しい味を頼みたいのに、つい刺激的なもんに手が伸びちまう。
 それでも俺の胃は、たまの妙な食い物でやられちまう。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は福島県会津若松城で、歴史ある天守閣前をカオスに変えてしまった。
 その前は磐梯山頂上の絶景を汚してしまったし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 彩花が「太一くん、南国気分でどう?」って持ってきた手作りロコモコ丼を食ったんだ。
「優しい味にしたよ!」って言ってたけど、隠し味のチリペッパーが効きすぎてたのか、胃がザワついたみたいだ。
 ロコモコ丼自体はハンバーグと卵のハーモニーが効いてて美味かったけど、食べ終わった後にじわじわ来る感じで、「彩花の優しさにもスパイスが潜んでるのか……」って実感したよ。
 それに加えて、最近この転移トイレのストレスで胃が弱ってたから、ついコンビニで「腸活サポート!」ってパッケージの乳酸菌タブレット飲んじまった。
「トイレの呪いに負けねえ!」なんてバカなこと考えたのが間違いだった。
 ロコモコ丼のチリペッパーと乳酸菌タブレットの腸活パワーが胃の中でケンカしてる感じだ。  
 学校から帰って少し音楽聞いてたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 プールの塩素の匂いと、ハワイアンミュージックの軽快なリズムが鼻と耳に飛び込んできた。
 目の前には福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ、ウォーターパークのメインプール前。
 俺の便器は、そのプールエリアのど真ん中、フラダンスステージの真前にポツンと出現。  
「うおっ、ハワイアンズ!? プールとフラダンスの前かよ!?」  
 プールエリアには巨大なスライダーとヤシの木が南国ムードを盛り上げ、子供たちが「キャー!」って水しぶき上げて遊んでる。
 観光客が「楽しいね!」って浮き輪でプカプカ浮かんでて、カップルが「ハワイみたい!」って笑い合ってる。
 フラダンスステージではダンサーが「アロハ~!」って踊り、スピーカーから「ハワイア~ン♪」って音楽が流れてる。
 この南国感と賑わいに満ちたハワイアンズのど真ん中に、俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺がフラダンスの新パフォーマーみたいになってるよ。
 ハワイアンズの楽しさとリゾート感が俺の便器でぶち壊しになってて、どうしていいか分かんねえよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 彩花のロコモコ丼と乳酸菌タブレットの組み合わせが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、ハワイアンズのメインプール前で、どうやって集中しろって言うんだよ!
 子供が「スライダー行くぞ!」って俺の便器の横で走り回ってるし、カップルが「次は温泉行こう!」って浮き輪持って笑ってる。
 プールの「ジャブジャブ」とフラダンスの「ハワイア~ン♪」が耳に響いてて、楽しすぎるこの状況が逆に焦りを増してくる。
 おばさんが「何か変な気配するね?」って俺の便器の方チラ見してるけど、見えてないはずだよな……?  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 プールエリアの賑わいが一瞬止まって、カップルが「え、何!?」って振り返る。
「水の音かな?」ってガイドが誤魔化すけど、子供が「変な音だ!」って指さす。
 観光客のおじいさんが「腹減ったかな?」って笑うけど、俺の腹音がバレかけてて、心臓バクバクだ。
 見えてないはずなのに、こんな南国の楽園で注目されるなんて、俺、自分の腹に「ハワイアンズの楽しさ壊すなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、賑わいを破る音がプールエリアに響いた!」  
 プールの水音に混じって音が響き、観光客が「何だ!?」って一斉にざわつく。
 子供が「何か鳴った!」って笑い出し、おばさんが「何!?」って目を丸くする。
 見えてないはずなのに、音が楽しさを切り裂いてバレちまったじゃん!
 カップルが「え、変な音!」って顔見合わせ、ガイドが「皆様、落ち着いて! プールの響きです!」って誤魔化そうとするけど、すぐに匂いが漂ってきて混乱が広がる。
 おじいさんが「この臭い、何だ!?」って鼻押さえ、観光客が「ハワイの匂いじゃないよね?」って騒ぎ出す。
 プールの「ジャブジャブ」とフラダンスの「アロハ~!」が妙に大きく聞こえ、ステージ前が異様な空気に包まれる。
 プールエリア全体が「謎の音と匂い」でカオスになって、俺、このハワイアンズの南国ムードを台無しにしちまった罪悪感で頭おかしくなりそうだよ!
 ガイドが「ハワイアンズは南国の楽園です、楽しんで!」って叫ぶけど、誰も聞いてねえ。  
「待て待て、俺はフラダンサーじゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回はハワイアンズの楽しさとリゾート感を汚した焦りと羞恥しかない。
 子供が「オナラプールだ!」って走り回り、観光客が「これもハワイアンズの演出?」って笑ってる。
 カップルが「せっかくのデートが……」って言い争い、ガイドが「次は温泉エリアへ移動します、落ち着いて!」って必死に誘導するけど、誰も動かねえ。
 フラダンスステージが南国の笑顔を振りまく中、俺のせいで「オナラハワイアンズ事件」なんて語られたらどうすんだよ!
 この南国の聖域が俺のせいで汚れちまった罪悪感で、笑うどころかプールに潜りたくなるよ!  
「いや、ハワイアンズ、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って恥ずかしくて死にそう!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、ハワイアンズの南国ムードを汚した羞恥がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 福島県いわき市のハワイアンズでウォーターパークを台無しにするなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、観光客の笑い声とフラダンスの音楽が俺を追い詰めた。
 あのステージの前で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でも彩花のロコモコ丼と乳酸菌タブレットの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯や激辛、トイレにちなんだ食い物は控えめにしたいけど、つい手が伸びちまうんだよな。
 美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や観光地をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は南国の楽園を汚しちまったよ。
 あのプールの水しぶきとフラダンスの笑顔が頭から離れねえよ。
 ハワイアンズ、ごめんな。
 お前の楽しさを汚しちまったよ。
 次は頼むから穏やかな場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し落ち着いて、深呼吸したいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 彩花の隠し味と乳酸菌パワーが俺を離してくれねえ。
 ハワイアンズの音楽とヤシの木が頭に残ってて、ちょっと南国な気分になるけど、思い出したら羞恥で震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも静かな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 ロコモコ丼みたいな美味いもん、もうしばらく控えようと思ったけど、彩花がまた持ってきたら断れねえだろうな。
 このトイレのせいで食い物の選択までおかしくなってるんだから、俺の胃とメンタル、どうなってんだよ。
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 ハワイアンズでやらかしただけでも褒めてくれよ、自分。
 あのプールの前でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  
(続く……のか?)  

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