前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第211話:ハワイアンズのポリネシアンショーで南国の熱気が大混乱!? もう恥ずかしくてステージに上がりたくねえよ!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯は嫌いじゃないけど、最近は控えめにしてるつもりだ。
 友達の手料理も優しい味を頼みたいのに、つい刺激的なもんに手が伸びちまう。
 それでも俺の胃は、たまの妙な食い物でやられちまう。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズで、温泉エリアの露天風呂「与市」をカオスに変えてしまった。
 その前はウォーターパークのフラダンスステージで南国ムードを汚してしまったし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 美月が「太一、ハワイアンズのショー見た気分で!」って持ってきた手作りロミロミサーモン丼を食ったんだ。
「優しい味にしたよ!」って言ってたけど、隠し味のジンジャーが効きすぎてたのか、胃がザワついたみたいだ。
 丼自体はサーモンの鮮やかさと野菜のシャキシャキ感が効いてて美味かったけど、食べ終わった後にじわじわ来る感じで、「美月の優しさにもスパイスが潜んでるのか……」って実感したよ。
 それに加えて、昨日ハワイアンズの温泉でやらかしたショックで胃が弱ってたから、ついコンビニで「腸活サポート!」ってパッケージの乳酸菌タブレット飲んじまった。
「トイレの呪いに三度目の正直だ!」なんてバカなこと考えたのが間違いだった。
 ロミロミサーモン丼のジンジャーと乳酸菌タブレットの腸活パワーが胃の中でケンカしてる感じだ。  
 学校から帰って少しスマホ見てたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 熱気とポリネシアンミュージックの激しいドラム音が鼻と耳に飛び込んできた。
 目の前には福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ、ポリネシアンショーのメインステージ前。
 俺の便器は、そのステージエリアのど真ん中、ファイヤーダンスの演目が繰り広げられる客席最前列にポツンと出現。  
「うおっ、ハワイアンズ!? またかよ! 今度はポリネシアンショー!?」  
 ステージエリアではファイヤーダンサーが「オッ!」と叫びながら燃えるトーチを振り回し、ドラムが「ドンドコドン!」と熱気を煽ってる。
 観客が「すげえ!」って拍手と歓声を上げ、子供が「火、かっこいい!」って目をキラキラさせてる。
 ステージの背景にはヤシの木とポリネシアンな装飾が南国ムードを盛り上げ、照明が「ピカピカ!」とダンサーを照らす。
 この熱気と興奮に満ちたポリネシアンショーのど真ん中に、俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺がショーの新パフォーマーみたいになってるよ。
 ハワイアンズのショーの盛り上がりと南国感が俺の便器でぶち壊しになってて、どうしていいか分かんねえよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 美月のロミロミサーモン丼と乳酸菌タブレットの組み合わせが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、ハワイアンズのポリネシアンショー最前列で、どうやって集中しろって言うんだよ!
 ダンサーが「ハッ!」と火のトーチを投げ上げ、観客が「うおおお!」って盛り上がってる。
 子供が「もっと火!」って俺の便器の横で跳ね回ってるし、カップルが「このショー最高!」って手を叩いてる。
 ドラムの「ドンドコ!」と観客の「ワー!」が耳に響いてて、熱気すぎるこの状況が逆に焦りを増してくる。
 おばさんが「何か変な気配するね?」って俺の便器の方チラ見してるけど、見えてないはずだよな……?  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する――って、熱気で息が詰まりそう!
 その瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 ステージの熱気が一瞬止まった気がして、カップルが「え、何!?」って振り返る。
「ドラムの音かな?」ってガイドが誤魔化すけど、子供が「変な音だ!」って指さす。
 観客のおじいさんが「腹減ったかな?」って笑うけど、俺の腹音がバレかけてて、心臓バクバクだ。
 見えてないはずなのに、こんな熱狂的な場所で注目されるなんて、俺、自分の腹に「ポリネシアンショー壊すなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、熱気を破る音がステージ前に響いた!」  
 ドラムの「ドンドコ!」に混じって音が響き、観客が「何だ!?」って一斉にざわつく。
 子供が「何か鳴った!」って笑い出し、おばさんが「何!?」って目を丸くする。
 見えてないはずなのに、音が熱気を切り裂いてバレちまったじゃん!
 カップルが「え、変な音!」って顔見合わせ、ガイドが「皆様、落ち着いて! ショーの効果音です!」って誤魔化そうとするけど、すぐに匂いが漂ってきて混乱が広がる。
 おじいさんが「この臭い、何だ!?」って鼻押さえ、観客が「ハワイの匂いじゃないよね?」って騒ぎ出す。
 トーチの「ゴオオ!」とドラムの「ドンドコ!」が妙に大きく聞こえ、ステージ前が異様な空気に包まれる。
 ステージエリア全体が「謎の音と匂い」でカオスになって、俺、このハワイアンズのショーの熱気を台無しにしちまった罪悪感で頭おかしくなりそうだよ!
 ガイドが「ポリネシアンショーはハワイアンズの目玉です、楽しんで!」って叫ぶけど、誰も聞いてねえ。  
「待て待て、俺はファイヤーダンサーじゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回はハワイアンズの熱気と南国ムードを汚した焦りと羞恥しかない。
 子供が「オナラショーだ!」って走り回り、観客が「これもショーの一部?」って笑ってる。
 カップルが「せっかくのデートが……」って言い争い、ガイドが「次は別の席へ移動します、落ち着いて!」って必死に誘導するけど、誰も動かねえ。
 ファイヤーダンサーが「オッ!」とトーチを振り続ける中、俺のせいで「オナラポリネシアン事件」なんて語られたらどうすんだよ!
 この南国の熱気の聖域が俺のせいで汚れちまった罪悪感で、笑うどころかステージに上がりたくねえよ!  
「いや、ハワイアンズ、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って恥ずかしくて死にそう!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、ハワイアンズのショーの熱気を汚した羞恥がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズでポリネシアンショーを台無しにするなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、観客の歓声とファイヤーダンスの熱気が俺を追い詰めた。
 あのステージの前で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でも美月のロミロミサーモン丼と乳酸菌タブレットの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯や激辛、トイレにちなんだ食い物は控えめにしたいけど、つい手が伸びちまうんだよな。
 美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や観光地をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は南国の熱気を汚しちまったよ。
 あのファイヤーダンスの炎とドラムの響きが頭から離れねえよ。
 ハワイアンズ、ごめんな。
 お前のショーを汚しちまったよ。
 次は頼むから穏やかな場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し落ち着いて、深呼吸したいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 美月の隠し味と乳酸菌パワーが俺を離してくれねえ。
 ハワイアンズのトーチとヤシの木が頭に残ってて、ちょっと熱い気分になるけど、思い出したら羞恥で震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも静かな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 ロミロミサーモン丼みたいな美味いもん、もうしばらく控えようと思ったけど、美月がまた持ってきたら断れねえだろうな。
 このトイレのせいで食い物の選択までおかしくなってるんだから、俺の胃とメンタル、どうなってんだよ。
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 ハワイアンズで三度やらかしただけでも褒めてくれよ、自分。
 あのステージの前でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  
(続く……のか?)  

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