前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第236話:舟塚山古墳で古代の聖地がまさかの大混乱!? もう恥ずかしくて古墳に埋もれたいよ!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯は嫌いじゃないけど、最近は控えめにしてるつもりだ。
 友達の手料理も優しい味を頼みたいのに、つい刺激的なもんに手が伸びちまう。
 それでも俺の胃は、たまの妙な食い物でやられちまう。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は茨城県北茨城市の常陸大津の御船祭で、国指定無形民俗文化財をカオスに変えてしまった。
 その前は常陸太田市の西山荘で水戸黄門の隠居地を汚してしまったし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 美月が「太一、古代の歴史に合うよ!」って持ってきた手作りきのこ汁を食ったんだ。
「優しい味にしたよ!」って言ってたけど、隠し味の柚子胡椒が効きすぎてたのか、胃がザワついたみたいだ。
 汁自体はきのこの香りと出汁の深みが効いてて美味かったけど、食べ終わった後にじわじわ来る感じで、「美月の優しさにもスパイスが潜んでるのか……」って実感したよ。
 それに加えて、御船祭でやらかしたショックで胃が弱ってたから、ついコンビニで「腸活サポート!」ってパッケージの乳酸菌タブレット飲んじまった。
「トイレの呪いに勝つぞ!」なんてバカなこと考えたのが間違いだった。
 きのこ汁の柚子胡椒と乳酸菌タブレットの腸活パワーが胃の中でケンカしてる感じだ。  
 学校から帰って少し音楽聞いてたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 土と草の匂いと、遠くの霞ヶ浦の水面の気配が鼻と耳に飛び込んできた。
 目の前には茨城県石岡市の舟塚山古墳、県内最大の前方後円墳。
 俺の便器は、その古墳のど真ん中、墳丘の前方部展望ポイントの真前にポツンと出現。  
「うおっ、舟塚山古墳!? 古代の王の墓かよ!?」  
 古墳の墳丘は全長186メートル、3段に盛られた土が威厳を放ち、恋瀬川の河口近くの台地上に堂々とそびえてる。
 遠くに霞ヶ浦の水面がキラキラ光り、筑波山の紫峰が西に望める景勝地だ。
 観光客が「でかいな……」って静かに写真撮ってて、カップルが「歴史感じるね」って寄り添ってる。
 ガイドが「舟塚山古墳は5世紀前半の築造、茨城国造の墓と推定されます」って説明してるし、風が「サー」って草を揺らしてる。
 この厳粛で歴史的な舟塚山古墳のど真ん中に、俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺が古代豪族の新遺物みたいになってるよ。
 舟塚山古墳の静寂と威厳が俺の便器でぶち壊しになってて、どうしていいか分かんねえよ!  

「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 美月のきのこ汁と乳酸菌タブレットの組み合わせが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、舟塚山古墳の前方部で、どうやって集中しろって言うんだよ!
 カップルが「ここでプロポーズしたいな」って囁き合ってるし、観光客が「ヤマト政権と繋がってたんだ!」ってスマホで撮ってる。
 風の「サー」と草の「サワサワ」が耳に響いてて、厳かすぎるこの状況が逆に焦りを増してくる。
 おばさんが「何か変な気配するね?」って俺の便器の方チラ見してるけど、見えてないはずだよな……?  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 古墳の静寂が一瞬止まって、カップルが「え、何!?」って振り返る。
「風の音かな?」ってガイドが誤魔化すけど、子供が「変な音だ!」って指さす。
 観光客のおじいさんが「腹減ったかな?」って笑うけど、俺の腹音がバレかけてて、心臓バクバクだ。
 見えてないはずなのに、こんな歴史的な場所で注目されるなんて、俺、自分の腹に「舟塚山古墳の威厳壊すなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、静寂を破る音が墳丘に響いた!」  
 古墳の静けさに音が反響して、観光客が「何だ!?」って一斉にざわつく。
 子供が「何か鳴った!」って笑い出し、おばさんが「何!?」って目を丸くする。
 見えてないはずなのに、音が静寂を切り裂いてバレちまったじゃん!
 カップルが「え、変な音!」って顔見合わせ、ガイドが「皆様、落ち着いて! 自然の響きです!」って誤魔化そうとするけど、すぐに匂いが漂ってきて混乱が広がる。
 おじいさんが「この臭い、何だ!?」って鼻押さえ、観光客が「古墳の匂いじゃないよね?」って騒ぎ出す。
 風が「サー!」と草を揺らし、霞ヶ浦の水面が「キラキラ!」と光る。
 古墳全体が「謎の音と匂い」でカオスになって、俺、この舟塚山古墳の歴史を台無しにしちまった罪悪感で頭おかしくなりそうだよ!
 ガイドが「舟塚山古墳は茨城県最大の史跡です、静かに!」って叫ぶけど、誰も聞いてねえ。  
「待て待て、俺は茨城国造じゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回は古墳の厳粛な雰囲気と歴史を汚した焦りと羞恥しかない。
 子供が「オナラ古墳だ!」って走り回り、観光客が「これも古代の風習?」って笑ってる。
 カップルが「せっかくのデートが……」って言い争い、ガイドが「次は駐車場へ戻ります、落ち着いて!」って必死に誘導するけど、誰も動かねえ。
 舟塚山古墳の墳丘が静かに霞ヶ浦を見下ろす中、俺のせいで「オナラ古墳事件」なんて語られたらどうすんだよ!
 この古代豪族の聖地が俺のせいで汚れちまった罪悪感で、笑うどころか古墳に埋もれたくなるよ!  
「いや、舟塚山古墳、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って恥ずかしくて死にそう!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、舟塚山古墳の歴史を汚した羞恥がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 茨城県石岡市の舟塚山古墳で県内最大の古墳を台無しにするなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、観光客のざわめきと古墳の静けさが俺を追い詰めた。
 あの墳丘の前で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でも美月のきのこ汁と乳酸菌タブレットの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯や激辛、トイレにちなんだ食い物は控えめにしたいけど、つい手が伸びちまうんだよな。
 美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や観光地をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は古代の王の墓を汚しちまったよ。
 あの舟塚山古墳の墳丘と霞ヶ浦の風景が頭から離れねえよ。
 舟塚山古墳、ごめんな。
 お前の威厳を汚しちまったよ。
 次は頼むから穏やかな場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し落ち着いて、深呼吸したいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 美月の隠し味と乳酸菌パワーが俺を離してくれねえ。
 舟塚山古墳の土の匂いと風の音が頭に残ってて、ちょっと歴史的な気分になるけど、思い出したら羞恥で震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも静かな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 きのこ汁みたいな美味いもん、もうしばらく控えようと思ったけど、美月がまた持ってきたら断れねえだろうな。
 このトイレのせいで食い物の選択までおかしくなってるんだから、俺の胃とメンタル、どうなってんだよ。
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 舟塚山古墳でやらかしただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの古墳の前でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  
(続く……のか?)  

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