1 / 1
最後のambitious japan
しおりを挟む
2023年7月20日 木曜日
いつもの新大阪駅。
平日の夜ともあって、サラリーマンが慌ただしく東京方面の新幹線へと向かう。
大学の講義が終わった少年は、スーツ姿のサラリーマンたちと共に新大阪25番線のホームへ向かうエスカレーターに乗る。
ホームから、今日の東京行き最終の「のぞみ64号」の接近放送がなる。
今日は何やら、スーツ姿のサラリーマンたちの中にちらほらとカメラを構えた者たちが多い。
そう。今日は東海道新幹線の車内チャイム「Ambitious Japan」の最終放送日なのである。
カメラを構える者たちは、このチャイムとの別れをしに新幹線に乗りに来ている。
そして、この少年もその中の1人である。
ホームドアが開く。
博多から来た乗客たちが、車両のドアが開くと同時に足早に降りて一斉に階段へと向かう。
ホーム上で、車掌・運転士が敬礼をし交代する。
ここからは、JR西日本からJR東海へと引き継がれる。
乗務員たちが交代をし、車内に乗り込み終わる頃には、先ほどまで列をなしていた乗客たちも車内に入っている。
ベルが鳴る。
「本日の新横浜 品川 東京へと向かう最終列車です。ご利用のお客様はお近くのドアから車内にお入りください。」
ベルが鳴り終わる
「安全よし」
ホームドアから聴き慣れたチャイムが鳴る
そして、時速300kmで走る風圧に耐える重々しいドアがゆっくりと締まる。
21時24分。
ゆっくりと16両の長い車両が動き出す。
新大阪駅の明るいホームを出ると、新大阪のビル群が夜に煌々と光る。
ビル群を抜け、住宅街が見え始める頃。
「タンタン、タンタターン」
聴き馴染みのあるチャイムが鳴る。
2003年から使われてきたこの曲も今日で最後。
「例えるならばロングトレイン、風切り裂いて走るように」
そう歌われるにふさわしいスピードで走る中、東京に着くまでの停車駅と自由席の案内がなされる。
きっと、この16両の中にも、毎週のように新幹線に乗っていて、今日最後の放送を知りつつ、この音を噛み締めているサラリーマンもいることだろう。
定期列車の中では、表定速度日本最速の新幹線。
心なしか、いつもよりその速さに誇りを持っているかのように速く走る。
放送が終わる。
新幹線の車庫を通過し、阪急線と並走し、田畑を高速で抜けると、緑色のモーターメーカーの看板が煌々と光っている。
さぁ、そろそろだ。
チャイムがなる。
京都駅手前の橋を渡りながら、京都駅到着前のアナウンスが鳴る。
ゆっくりと京都駅のホームへ滑り込む。
少年は、京都で東京へ向かうのぞみ64号を見送った。
帰りは、TOKIOの「ambitious japan!」を聴きながら、新大阪へ向かうのぞみ号の最終でかえる。
終着駅用のメロディを聴き、JR東海の職員の方からの、このメロディへの感謝のメッセージが読み上げられた。
録音機やスマホを各々、天井にあるスピーカーに向ける。
のぞみ64号・のぞみ265号が東京駅・新大阪に着く最終の「 ambitious japan」の放送となった。
20年間、たくさんの「会う」を支えてくれてありがとう。
翌日の「会いに行こう」チャイム公開という、新たな時代への期待を胸に、新大阪で車両を降りる。
いつもの新大阪駅。
平日の夜ともあって、サラリーマンが慌ただしく東京方面の新幹線へと向かう。
大学の講義が終わった少年は、スーツ姿のサラリーマンたちと共に新大阪25番線のホームへ向かうエスカレーターに乗る。
ホームから、今日の東京行き最終の「のぞみ64号」の接近放送がなる。
今日は何やら、スーツ姿のサラリーマンたちの中にちらほらとカメラを構えた者たちが多い。
そう。今日は東海道新幹線の車内チャイム「Ambitious Japan」の最終放送日なのである。
カメラを構える者たちは、このチャイムとの別れをしに新幹線に乗りに来ている。
そして、この少年もその中の1人である。
ホームドアが開く。
博多から来た乗客たちが、車両のドアが開くと同時に足早に降りて一斉に階段へと向かう。
ホーム上で、車掌・運転士が敬礼をし交代する。
ここからは、JR西日本からJR東海へと引き継がれる。
乗務員たちが交代をし、車内に乗り込み終わる頃には、先ほどまで列をなしていた乗客たちも車内に入っている。
ベルが鳴る。
「本日の新横浜 品川 東京へと向かう最終列車です。ご利用のお客様はお近くのドアから車内にお入りください。」
ベルが鳴り終わる
「安全よし」
ホームドアから聴き慣れたチャイムが鳴る
そして、時速300kmで走る風圧に耐える重々しいドアがゆっくりと締まる。
21時24分。
ゆっくりと16両の長い車両が動き出す。
新大阪駅の明るいホームを出ると、新大阪のビル群が夜に煌々と光る。
ビル群を抜け、住宅街が見え始める頃。
「タンタン、タンタターン」
聴き馴染みのあるチャイムが鳴る。
2003年から使われてきたこの曲も今日で最後。
「例えるならばロングトレイン、風切り裂いて走るように」
そう歌われるにふさわしいスピードで走る中、東京に着くまでの停車駅と自由席の案内がなされる。
きっと、この16両の中にも、毎週のように新幹線に乗っていて、今日最後の放送を知りつつ、この音を噛み締めているサラリーマンもいることだろう。
定期列車の中では、表定速度日本最速の新幹線。
心なしか、いつもよりその速さに誇りを持っているかのように速く走る。
放送が終わる。
新幹線の車庫を通過し、阪急線と並走し、田畑を高速で抜けると、緑色のモーターメーカーの看板が煌々と光っている。
さぁ、そろそろだ。
チャイムがなる。
京都駅手前の橋を渡りながら、京都駅到着前のアナウンスが鳴る。
ゆっくりと京都駅のホームへ滑り込む。
少年は、京都で東京へ向かうのぞみ64号を見送った。
帰りは、TOKIOの「ambitious japan!」を聴きながら、新大阪へ向かうのぞみ号の最終でかえる。
終着駅用のメロディを聴き、JR東海の職員の方からの、このメロディへの感謝のメッセージが読み上げられた。
録音機やスマホを各々、天井にあるスピーカーに向ける。
のぞみ64号・のぞみ265号が東京駅・新大阪に着く最終の「 ambitious japan」の放送となった。
20年間、たくさんの「会う」を支えてくれてありがとう。
翌日の「会いに行こう」チャイム公開という、新たな時代への期待を胸に、新大阪で車両を降りる。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる