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プロローグ

プロローグ

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守りたかった。この理不尽なまでの運命から。
涙は見たくなかった。ずっと、笑顔でいてほしかった。
けれど、どんなにそう願っていても、それが叶うことはなかった。
だから諦めた。己の運命から目を背け、今ある現実だけを見るようにしていた。

そんな中、たった一人の少女が僕を助けてくれた。
何もかもを諦めていた僕に未来を、運命を見させてくれた。
深淵に呑まれている僕の心に、光を指してくれた。

そんな少女が今、血だらけになりながら僕を庇うように抱きつき涙を流している。

ああ。なんでここまでさせているのだろう。
なんで、ここまでされて動くことが出来なかったのだろう。

「ふざ...けんな……」

ふつふつと怒りが沸いてきた。

「...こんな……こんな結末。認めてたまるか...」

さっきまで動かすことが出来なかった身体を無理矢理動かす。

全身に電流が迸る感覚に襲われる。

そしてなんとかのことで、死力を尽くし立ち上がった。

後ろで、愛おしくすら感じてくる少女が僕の名前を呼んだ。

少女の方を振り返り、安心するように微笑んだ僕は再び化け物と相対する。

そして、僕はーー

「...もう、二度と...僕の大切は奪わせない」

吠えるようにその言葉を紡いだ。


ここから先は、まだ先のお話。
今から始まるのは運命から逃げ続ける僕とそれを救った彼女の、出会いからのお話だ。
是非、楽しんで行ってほしい。

【これは、僕が幸せになるまでの物語】
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