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第一章

魅惑な転校生

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新学期の始まる頃。

きっと大多数の学生が様々な思いを抱きながら学校に行くだろう。

先日までの天国を想う人もいれば休日の間に会えなかった友人に会えると、喜ぶ人もいる。

かくいう僕ーー日宮 優もその一人だった。

勉学という名の拷問をしばらく味わなければいけないと思うとひどく憂鬱になる。

教室に行くための階段を、登る度に身体が重く感じるのはそのためだろう。

あぁ...もう家に帰りたい...
そんな、誰もが学生の頃に持っていたであろう願望を呟く。
まだ登校してきてあまり時間はたっていない。
それなのに、そんなことを考えてしまう。

いよいよ末期か?とも思ったけれど、よくよく考えるとこんなのは日常茶飯事で、特に異常は無いことに気づいた。

考え事をしていると、いつの間にか教室に着いていた。

僕は、深く溜め息を吐くとドアに手をかける。

まだ、朝が早いからだろうか。

生徒は誰も来ていなく、教室は静寂に包まれていた。
僕としては、静かな方が落ち着けるので有難い。

僕の席は窓際で、陽がよく当たる。昼寝には最適な席だ。
自分の席につくと、まるで待っていたかの様に、真っ先に眠気が襲ってくる。

やはり、昨夜徹夜をしたのが原因だろう。

授業中に寝てしまうよりは、今寝て眠気をなくした方がいいだろう。
僕は、そう心の中で結論を出すと眠る体制をとる。

教室に早く来すぎたせいか、まだHRまでは時間がある。
それまでは眠るとしよう。

    *

そこからしばらくたった頃。

意識も朦朧としてきて、眠りにつけそうになっていた。

暖かく、心地が良い。たったそれだけのことに心が支配されていくのが自分でも分かる。
このまま眠り続けていたいと、不覚にもそう思ってしまう。

だが、それも束の間の事。
教室が急速に冷やされていくのを感じ、僕は意識を取り戻した。
普通なら焦る所なのだが僕の心は異常なほど冷静だった。
何故こうまで冷静にいられるかというと、これをやった張本人に心当たりがあるから。としか言うことができない。

「人がせっかく心地よく寝てるのに、この仕打ちは酷いよ...」

しっかりと張本人に聞こえるように喋る

そうしないとやめてくれないからだ。
幼馴染も厄介なものだと、僕は常々思う。

「私を置いていった仕返しよ!...せっかく、優の家まで行ったのに..」

彼女ーー神原 葵が、僕に向かって言い訳をする。
最初の方は聴こえていたが、徐々に声が小さくなっていき、終いには何を言ったのかすらも、聴き取ることが出来なくなった。
何となく気になったので葵に聞く。

「最後の方、なんて言ったの?」

「べ、別になんでもない!」

「そっか。」

聞いてみるも、目を逸らしてはぐらかされてしまった。よく見ると頬を赤く染めている。

あぁ、またか...
葵は、時々こういう反応をする。
それが一体何を思っての反応なのか、僕には分からない。
だからこそ、いずれ聞いてみたいと思う。

だが、今はそれよりもーー

「能力をあまり使うなよ、暴走する可能性もあるし」

そう、そのことだった。

能力なんていう、本来あるはずの無い超常な力。そんなものを使えば使う程、危険は高まる。
そんな力を彼女はくだらないことに使った。
彼女には未来がある。僕と違って幸せになる未来が。
それなのに、彼女は命を危険に陥れることをした。
僕はその事に怒りを隠せないのだ。

危険の一つに暴走というものがある。

暴走。それは、誰だって起こり得る事だ。


────
この世界には能力というものがある。
能力は、人それぞれ違っていて、それが人を傷つけるものでもあるし、逆に救うものでもある。

文献によると、最初に能力が発症したと思われる人間は1918年頃に発見された。場所は北アメリカのLA。何の前触れもなく現れたという。

そして、一人が現れると、また一人、二人と、徐々に能力を扱える人が増えていった。
今では、世界の総人口の八割が能力者になっている。

そこからだ。今の日本のような、能力至上主義社会ができたのは。

だからこそなのだろう。そんな能力を過剰に使う者がでた。
そして、その結果。力が暴走する人が現れたのだ。
まさに悪魔を象った様な姿で、付近にいる人を虐殺した。
どれだけ意思疎通を図ろうとしてもまるで聞く耳を持たない。

警察も止めようとしたが、相手の能力が強いのか。それとも警察が弱いのか。あっという間に殲滅された。

そんな中、暴走した人を止めた人が現れた。
当時、最強とも謳われた【茨の能力者】だったらしい。

【茨の能力者】であるテイラー・スミスは、得意である茨を操つり、暴走した人間を多少強引ではあるが捕縛すると、政府に引き渡したそうだ。

その後政府に引き渡した彼女は全世界にーー

「今後も暴走する人間が現れるかもしれない。私はその度に必ず止めに入ろう!」

と、宣言したらしい。
だが、そう宣言した一ヶ月後、彼女は消息を絶った。

それを知った政府は、科学者に能力に関する研究を進めるようにと施したのだが、結局のところ暴走してしまう条件は謎。ただ一つ分かったのが、一度暴走してしまうと二度と元には戻らないということだけだった。

勿論、能力の研究を進めている間にも暴走する人間は現れ続けていた。

その度に周りにいる能力者が協力して捕縛していたのだが、それも長くは続かなかった。

それもそうだ。わざわざ死にに行くような真似を誰がするだろうか。
たとえ馬鹿でもしないだろう。

次第に、暴走する人間おろか動物までもが暴走するようになった。
暴走体が増えていく中。政府はある決断をした。
それは、暴走体を捕縛、もとい排除することを正当に職業として成り立たせることだった。

その職業は、命を賭ける分、それ相応の給料が支払われる。
そしてまた別に、暴走体の強さによって賞金をつけ、その暴走体を排除したものに賞金が支払われるという、まさに常識外れな職業となった。

政府は、暴走した人間を【禍憑き】と称し、その逆に禍憑きを排除する人を【禍祓い師】と称すと、世間にその事を伝え、着々と全世界へと拡まっていった。

そんな一攫千金を掴むような職業は、世間には好意的に見られ、その職業に就くものが次第に増えていくようになった。

今では【禍祓い師】になる為の専門教育が施される学校もあり、給料の良さからも小学生のなりたい職業ランキング上位には毎年入っているほどにもなっている。

僕と葵が通っている学校も、その道の専門教育が施されている学校だ。

────
「ご、ごめん...」

僕が怒気を含めて言うと、葵は驚いたかの様に目を見開きながら僕に向かって謝る。

だが、僕は謝って欲しいとは言っていない。
ただ、能力を使う際は注意して欲しいだけなのだ。

「ただ、注意して欲しいだけで謝って欲しい訳じゃないよ。それに、葵が僕に能力を使ったのは僕が約束を忘れてしまったのが悪いから。ごめんなさい」

僕は思ったままのことを葵に言いつつ謝る。

「え?あ、うん」

葵は、まるでド肝を抜かしたかのような反応をする。

僕が謝ったのは、そんなに意外だったのか...
と、心の中でつっこむと、僕はあることに気づいた。
それは、もうHRが始まる時間が過ぎている。ということだった。

「もうHRが始まる時間なのに、なんで誰も来ないんだ?」

僕はこの疑問を葵に聞く

「今日、新学期初日だから始業式...。体育館に集合だった......」

葵は何かを思い出したかの様な反応をすると僕に言った。

しまった!何忘れてんだよ僕は...
と、心の中で自分を卑下する。
そして葵に、有無を言わせず急いで教室を出た。

「ちょっと!」

後ろの方で引き留めようとする声が聞こえたが僕は止まらず、体育館へ向かった。

我ながら屑だと思う。

体育館に着いている頃にはもう遅く、とっくのとうに、始業式は始まっていた。

走ってきたからか僕は息切れを起こしていた。
葵も直ぐに追いつき、息切れを起こしている。

僕と葵は息を整えると、静かに、教師にバレないように、校長先生が無駄に長い話をしている体育館に入った。

だが、すぐにそれは無意味となった。

体育館に入った途端、担任の教師である増山 慶子と目が合ったのだ。

まさに、鬼の形相ともいえる表情で僕と葵に距離を縮めてくる。

「ひっ!?」

葵はその表情に恐怖を感じたのか、一歩身を引いた。

かくいう僕も、つられて身を引いてしまった。

早く逃げろ!
と、本能が僕に訴えてくる。
それほどまでに、あの教師の表情は怖い。

同じことを考えたのだろう。
葵は身震いをしていた。

そして怖かったのもあったのだろう。
葵は僕の制服の裾を掴んだ。

こうしている間にも、慶子は距離を縮めてくる。

逃げるか?とも考えたが服の裾を掴まれているせいで逃げることができない。

こうなってしまえばもはやどうすることも出来ない。
そう思い至ると僕は素直に諦めた。

その後、始業式が終わるまで慶子にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。

   *

「はぁ...」
僕は深い溜め息を吐きながら席についた。

教師である慶子に、遅刻した罰として放課後居残りで掃除させられることになったからだ。

正直、早く帰りたかったから憂鬱だ。

葵もそうなのだろうか。表情を曇らせている。

「よし。みんな席についたな、それじゃあ健康観察するぞ~!」

慶子が、全員が席についたことを確認すると健康観察をし始めた。


着々と健康観察が進んでいく中、僕は外を眺めていた。

全くといっていいほど雲がない。
快晴といわれるそれは、僕にいい思いをさせない。

「あの日も、同じ快晴だったな...」

ボソッと、誰にも聞こえないほど小さく呟く。

不安や恐怖、様々な感情が僕の中を渦巻いている。
心を直接抉られている気がして苦しかった。
呼吸が、徐々に荒くなってきたのが自分でも分かる。

今にも、あの時の光景が目に浮かびそうで、思わず外から目を逸らしてしまった。

いい加減、克服しないといけない。
そう分かっていても、僕には行動に移す事が出来なかった。

「...のみや、日宮!」

不意に、誰かに名前を呼ばれた気がした。
驚きながらも名前を呼ばれた方を見る。
どうやら慶子が呼んだみたいだ。

何だ?と思ったが今が健康観察の途中だったことを思い出し聞き返すのをやめた。

気がつくと、さっきまでの恐怖も嘘のようになくなっている。

心の中で、僕を現実に引き戻してくれた慶子に感謝した。

「大丈夫?」

そんな僕の様子を見ていたのか、右隣の席の少女ーー鮎腹 花蓮が心配そうに聞いてくる。

「大丈夫だよ」

「それなら、良いんだけど...」

「心配させちゃって悪いね」

「すごく辛そうな顔してたから、ビックリしちゃったよ」

「あはは...」

未だに心配そうに僕を見てくるから少しきまずい。
コミュ障にこの仕打ちは酷いんではないだろうか。

葵もそうなのだが花蓮も顔は相当整っている。
そのため、普通の少女に心配されるより、かなり緊張するのだ。
なんでもいい。花蓮の意識を僕に向かないようにしたい。

そう思っていた矢先、またもや慶子に助けられた。

「今日から、転校生がうちのクラスに入る。
みんな、仲良くしろよ」

どうやら転校生が来るらしい。
この時期に来るのは珍しい。一体どんな子が来たのだろうか。

「入っていいぞ」

慶子の合図に教室のドアが開く。

教室に入ってきた少女を見て、僕は思わず魅入ってしまった。
気付けば、ざわついていた教室も静まり返っている。

それもそうだ。

だって、入ってきた少女は神秘的なオーラを纏った、容姿端麗という言葉が最も似合うほど美しい少女だったのだから。

   *


凄く綺麗だ。
ごく自然と、僕の心にその言葉が思い浮かんだ。

─── 短く切りそろえられ、きれいなウェーブのかかったプラチナブロンドの髪

─── 誰もが魅了されるほど、美しいブルーの瞳

─── 淡いピンク色の唇にシミのない白く透き通っている肌

彼女の持つそれら全てが、絶世の美少女だということを思い知らせてくる。

彼女ほど、容姿端麗という言葉が似合う人はいないと、なんの根拠もないのに思ってしまう。

アイドルや女優の領域ではない。それよりもさらに上。まさに、別次元の存在。

「か...可愛い……」

不意に、教室にいる誰かがそう呟いた。
そして、その生徒を筆頭に次々と彼女に対する意見を教室中で言い合い始めた。

「可愛いすぎるだろ!!」

「俺...生きててよかった。」

「天使だ...」

そこに、非難の声はない。あるのは、彼女の美貌に対する評価の声だ。

中には、彼女の美貌を見て泣いている人や、手を合わせて拝んでいる人もいる。

幾ら何でも反応が大袈裟すぎではないだろうか。
僕はそう思いながら、転校生の方を見てみる。
すると、見事に顔を引き攣らせていた。
それもそうだろう。初対面でここまでされては誰だってそうなる。

「いい加減静かにしろ!彼女だって困ってるぞ」

その様子を見ていたのか、慶子が静かにするよう促す。
それでも、一向に静かにならない。

すると突如、騒いでいた生徒の頭上に直径1メートルほどの水の塊が生成された。

そして、その水の塊は騒いでいた生徒に滝のように降り注いだ。

教室は、一面水浸しになり、まるで小さな泉のようになっている。

これをやったのは、教師である慶子に他ならない。

慶子は、水の能力者。その名の通り水を支配し操る能力だ。禍祓い師としても有名で、そこそこの権力を持つ。それにもかかわらず教師をやっている変わり者でもある。

当然そんな教師に言いがかりをつけるほど勇気がある生徒はいない。

「はぁ...やっと静かになったか」

静まりかえった教室で、慶子は口を開く。
その表情は僕と葵が遅刻した時に見せた鬼の形相。
やがて、慶子はその表情のまま教室を見渡すと、
はぁ...と、ため息を吐きながらもいつもの表情に戻った。

「あの...増山先生、そろそろ自己紹介した方がいいでしょうか?」

転校生が慶子に問う
彼女の声は、とても透き通っていて心に直接響いてくるようだった。

「あぁ、頼む」

彼女は、喉を鳴らし、喋る準備をすると、周りを見渡しながら口を開く。

「え~と、私の名前は倉橋 琴葉と言います」

倉橋 琴葉と名乗る少女は、一切の迷いなく自己紹介を済ませる。

「え~と、倉橋の席は...あそこだ」

慶子が琴葉の席を指定する。

ただ、指定された席が問題で、僕の席の左なのだ。
当然クラスメートからは妬みの視線が送られる。
思わず身震いしてしまった。

「これからは倉橋と仲良くしろよ?まぁ、お前らのことだから心配はないが...」

慶子は琴葉が席についたのを確認すると、僕等生徒に仲良くするようにと促す。

勿論そこに反論はなかった。

着々とHRが進み、終わった頃。
琴葉の席には人だかりが出来ていた。
見ると、クラスの大半の人が集まっている。

琴葉はクラスメートから質問の嵐に見舞わられていた。

趣味はなんだ?とか、どこから、何のためにこの学校に来たのか?とかの質問が聞いていると多い。

さっきまであんな事があったのに、それらの質問を嫌な顔一つせず答えているのだから肝が太いのだろう。

「凄い人だかりだね、綺麗なのは分かるけど...」

葵が僕の方へ寄ってきて話しかける。
少し呆れたような、そんな声だった。

「そうだね、想像はしていたけど僕も驚いたよ」

僕は思ったことをありのまま葵に話す。

葵は僕の答えを聞くと、そのまま右隣の席にいる花蓮の方へと向かった。

花蓮と葵は仲が良く、部活も一緒なのでよく一緒にいる。
確か、剣道部だったはずだ。
竹刀をいつも掲げているので間違いないはずだ。

「おい日宮、ちょっとツラ貸せや」

自分の席で欠伸をしていると、クラスの不良グループの四人が話しかけてきた。

ここで歯向かうと後から面倒になる。

僕はそう考えると、素直に付いていくことにした。

    *

連れて行かれたのは、トイレだった。

「お前、琴葉ちゃんの隣の席だよな?」

不良グループの一人が僕を睨みながら訊ねる。

「……出会って間もないのにもう名前呼びかよ...」

誰にも聞こえないほど小さく呟く。

「なんか言ったか?」

「何も言ってないよ」

僕は否定する。そうしないと殴られることが目に見えているからだ。

「まぁいい、ここからが本題なんだが...」

どうやら、本題はここかららしい。
嫌な予感がする。

「お前、琴葉ちゃんに話しかけるなよ」

不良グループの一人の発言に思わず眉をしかめる。
意味が分からない
何故それを僕に言った?

「いや、それだけじゃないこれからは葵ちゃんや花蓮ちゃんとも話すな」

後を付け足すように、もう一人の不良が僕に言う。

ここまでの不良グループの発言でようやく僕は理解する。

葵や花蓮、両者美少女と言われてもおかしくない容姿だ。

そんな二人と、僕は仲がいい
不良グループの連中はタダでさえそれが気に食わなかったのだ。

そんな中、倉橋 琴葉と名乗る少女が転校してきた。
琴葉は僕の席の隣になった。
そのため、僕が彼女をとるとでも考えたのだろう。
当然、不良グループは言いがかりを付けてくる。
そのついでに、今まで気に食わなかったことを言っているのだろう。

「ちゃんと言うこと聞けよ?」

僕を睨みながら、不良グループはトイレから出ていく。

それを見て、僕は深いため息を吐いた。

寝ているところを無理矢理起こされ、始業式には遅刻して、担任の教師からは怒られ、放課後掃除を命じられ、綺麗な転校生が来て、その子の席は僕の隣で、クラスメートから嫉妬の目線を送られ、挙句に不良グループに絡まれる。

これだけ考えて、僕は今日がかなりの厄日だと知る。

きっと今日、他にも厄があるだろう。
これだけの事が短時間で起きているのだ。
必ず他のことも起きる。
そう考えるとイラつきが抑えられなくなった。

不良に好き勝手言われたのがイラつく。

そしてなにより、言い返すことができなかった情けない自分にイラついた。

「クソが!!」

怒りの感情を腕に乗せトイレの壁に当たる。

強く当たりすぎたせいか、腕は衝撃で激痛に襲われ、更には拳の肉が抉れ、血が出ていた。

ふと、横にあった鏡に目がいった 。

目にかかるほどの長い黒髪、そしてその間を覗く真紅の瞳。

その瞳からは血を連想させ、悲哀を感じさせる。

僕は自分への嫌悪感からか、鏡に映る自分を睨みつける。

それによって、何かが変わることはない。
そう分かっていても、僕は無意識的にやってしまった。

相変わらず拳からは血が出ていて、腕は激痛に襲われている。

それでもあまり気にはならなかった。
きっとイラついているのもあるのだろう。

僕は心を落ち着かせるために再び深いため息を吐くと、トイレのドアに手をかけ、そして開けた。

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